【賃貸OK】配信者向け防音対策完全ガイド｜壁を傷つけずにできる吸音・遮音テクニック

「配信を始めたいけど、賃貸だから防音対策ができない…」

そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。実は、壁に穴を開けたり大掛かりな工事をしなくても、賃貸物件で十分な防音対策は可能です。

配信者に防音対策が必要な理由

配信において防音対策が重要な理由は大きく2つあります。

1. 音質向上のため

部屋の反響音（エコー・リバーブ）がマイクに入ると、声がこもって聞こえたり、不快な残響が発生します。これは視聴者の離脱原因になります。

2. 騒音対策のため

特に賃貸では、配信中の声が隣室や階下に漏れることへの配慮が必要です。深夜帯の配信なら、なおさら重要になります。

吸音と遮音の違いを理解しよう

防音対策を始める前に、「吸音」と「遮音」の違いを理解することが重要です。

吸音材の役割

吸音材は音のエネルギーを熱に変換して吸収します。これにより、部屋の中の反響が抑えられ、マイクに入る音がクリアになります。

配信での効果：

• 声の明瞭度アップ
• エコー・リバーブの軽減
• より「近い」音質に

遮音材の役割

遮音材は音を跳ね返して、外部への漏れを防ぎます。質量のある素材ほど遮音効果が高くなります。

配信での効果：

• 近隣への音漏れ軽減
• 外部騒音の侵入防止
• プライバシー保護

賃貸でできる防音対策の優先順位

限られた予算で最大の効果を得るために、以下の優先順位で対策を進めましょう。

優先度	対策箇所	予算目安	効果
1	マイク周辺	3,000〜5,000円	音質向上に直結
2	デスク周り	4,000〜8,000円	反響軽減・集中力UP
3	窓	2,000〜15,000円	外部騒音・音漏れ対策
4	壁面	4,000〜20,000円	全体的な音響改善

おすすめ防音グッズ【予算別】

【5,000円以下】まずはここから

吸音材（壁貼りタイプ）

設置のコツ：

• 賃貸では両面テープより「マスキングテープ+両面テープ」の二重貼りがおすすめ
• まずはマイクの正面と左右に3枚から始める
• 角に設置すると低音の吸収効果がアップ

デスクパーティション（三面タイプ）

デスクパーティションは工事不要で、置くだけで効果を発揮する最も手軽な防音対策です。三面タイプなら、マイク周辺の反響を大幅に軽減できます。

【10,000円前後】本格的な防音環境

吸音材（厚手タイプ）

厚みのある吸音材は、特に低音域（男性の低い声やゲーム音の重低音）の吸収に効果的です。

遮音シート

遮音シートは吸音材と組み合わせて使うことで、より効果的な防音が実現できます。吸音材の下に敷くことで、音漏れを大幅に軽減できます。

【15,000円以上】プロ級の防音環境

防音カーテン（高性能タイプ）

窓は音漏れの主要な原因です。防音カーテンは窓からの音漏れと外部騒音の侵入を同時に防げます。

ウッド調吸音パネル（インテリア性重視）

見た目にもこだわりたい方には、ウッド調の吸音パネルがおすすめ。配信背景としても映えます。

配信者向け防音対策の設置例

基本セットアップ（予算10,000円）

必要なもの：
- 吸音材 5枚（約4,000円）
- デスクパーティション（約4,000円）
- マスキングテープ（約300円）

設置方法：

1. デスクパーティションを設置

   • マイクを囲むように三面を展開
   • モニターの視界は確保する

2. 吸音材をマイク正面に設置

   • マスキングテープ→両面テープの順で壁に貼る
   • マイクの高さに合わせて配置

3. 残りの吸音材を左右に配置

   • 音の反射が気になる方向を優先

中級セットアップ（予算20,000円）

追加するもの：
- 遮音シート（約4,000円）
- 厚手吸音材 5枚（約5,000円）
- 防音カーテン（約2,000〜7,000円）

設置方法：

1. 基本セットアップに加えて、窓に防音カーテンを設置
2. 遮音シート→吸音材の順で重ねて壁に設置
3. 部屋の角に厚手吸音材を設置（低音対策）

防音効果を最大化するテクニック

マイクの指向性を活用する

単一指向性マイクを使用している場合、マイクの背面方向の音はほとんど拾いません。この特性を活かして、吸音材はマイクの正面（声が反射してくる方向）に設置するのが効果的です。

隙間を埋める

音は隙間から漏れます。以下の箇所をチェックしましょう：

• ドアの下の隙間 → 隙間テープで対策
• 窓の隙間 → 防音テープで対策
• エアコンの通気口 → 配信時は換気扇を止める

家具の配置を工夫する

本棚やクローゼットを壁際に配置すると、それだけで簡易的な防音効果が得られます。特に、本が詰まった本棚は優れた吸音材になります。

部屋の構造別・防音対策アプローチ

部屋の構造によって、効果的な防音対策は異なります。自分の部屋がどのタイプか確認して、適切な対策を選びましょう。

鉄筋コンクリート（RC）造の場合

RC造は壁自体の遮音性が高いため、主に吸音対策に集中できます。

特徴：

• 壁からの音漏れは比較的少ない
• 窓とドアが主な音漏れポイント
• 部屋内の反響が気になりやすい

対策の優先順位：

1. 窓に防音カーテン
2. マイク周りに吸音材
3. ドアの隙間対策

軽量鉄骨造の場合

軽量鉄骨造は壁が薄いため、吸音と遮音の両方が必要です。

特徴：

• 隣室への音漏れが発生しやすい
• 上下階の音も伝わりやすい
• 足音などの振動音も問題になることがある

対策の優先順位：

1. 遮音シート＋吸音材の重ね貼り
2. 防音カーテン
3. 床にカーペット/防音マット
4. 隙間テープ

木造の場合

木造は最も遮音性が低いため、総合的な対策が必要です。

特徴：

• 壁・床・天井すべてから音漏れ
• 深夜の配信は特に注意が必要
• 外部の音も入りやすい

対策の優先順位：

1. 遮音シート＋吸音材（できるだけ広範囲に）
2. 防音カーテン（厚手のもの）
3. 防音マットで床対策
4. 配信時間帯の工夫

音響的に良い配信環境を作る配置のコツ

防音グッズを設置するだけでなく、部屋全体のレイアウトを工夫することで、さらに音響環境を改善できます。

デスクの配置

おすすめ：壁から少し離す

壁にぴったりつけると、声が壁に反射して直接マイクに入ります。30〜50cm程度離すだけで、反響が軽減されます。

避けるべき配置：

• 部屋の中央（四方から反響が来る）
• 窓の正面（外部騒音を拾いやすい）
• ドアの正面（出入りの音が入る）

吸音材の戦略的配置

吸音材は「やみくもに貼る」より「計算して貼る」方が効果的です。

一次反射点を狙う：

音声がマイクに届くまでに、最初に反射する点を「一次反射点」と呼びます。この一次反射点に吸音材を設置すると、少ない枚数で最大の効果が得られます。

【一次反射点の見つけ方】
1. 壁に鏡を置く
2. マイク位置から鏡を見る
3. 鏡に口元が映る位置 = 一次反射点
4. その位置に吸音材を設置

コーナー処理

部屋の角（コーナー）は低音が溜まりやすい場所です。

対策：

• 厚手の吸音材をコーナーに設置
• コーナーベーストラップを使用
• 大きめのクッションや収納ボックスで代用

配信中のノイズ対策テクニック

防音グッズだけでなく、配信中のテクニックでもノイズを軽減できます。

マイクテクニック

近接効果の活用：

マイクに近づくと低音が強調される「近接効果」を利用して、マイクと口の距離を10〜15cmに保ちます。これにより、環境音よりも声が優先的に拾われます。

オフアクシス・リジェクション：

単一指向性マイクの背面・側面は音を拾いにくい特性があります。ノイズ源（PC、エアコンなど）がマイクの背面を向くように配置しましょう。

OBSでのノイズ処理

ノイズ抑制フィルター：

1. マイクソースを右クリック→「フィルタ」
2. 「＋」→「ノイズ抑制」を追加
3. 方式：「RNNoise」（推奨）
4. 抑制レベル：-30dB程度から調整

ノイズゲート： 一定音量以下の音をカットするフィルターです。

設定例：
- 閉鎖しきい値：-40dB
- 開放しきい値：-35dB
- アタックタイム：10ms
- ホールドタイム：200ms
- リリースタイム：100ms

DIY防音パネルの作り方

既製品より安く、カスタマイズ性の高いDIY防音パネルを作ることもできます。

材料（1枚分）

- 有孔ボード（パンチングボード）60×90cm：約1,000円
- グラスウール吸音材（32K、厚さ50mm）：約500円
- 木枠用の角材（30×40mm）：約500円
- 布（表面用）：約500円
- タッカー/両面テープ：約300円

合計：約2,800円

作り方

1. 角材で木枠を作る（有孔ボードのサイズに合わせる）
2. 木枠の中にグラスウールを敷く
3. 有孔ボードを表面に取り付け
4. 布でグラスウールが見えないようにカバー
5. 壁に立てかけるか、フックで吊るす

メリット：

• 市販品の半額以下で作れる
• サイズを自由にカスタマイズ可能
• 表面の布で好きなデザインにできる

配信時間帯と音量の配慮

防音対策をしても、完全な遮音は難しいのが現実です。以下の点も併せて配慮しましょう：

時間帯	推奨音量	注意点
〜21時	通常	特に制限なし
21〜23時	やや控えめ	BGM音量を下げる
23時〜	控えめ	ヘッドホン使用推奨

おすすめの音量設定

• マイクゲイン：口元から15〜20cm離れて、-12dB〜-6dB程度になる設定
• BGM：マイク音量の20〜30%程度
• ゲーム音：マイク音量の40〜50%程度

防音対策の効果測定方法

防音対策の効果を客観的に確認する方法を紹介します。

スマホアプリで簡易測定

騒音計アプリ（iOS: デシベルX、Android: Sound Meter）を使えば、防音対策の前後で音圧レベルを比較できます。

測定方法：

1. 配信で使う音量で声を出す
2. 部屋の外（廊下、隣室など）でアプリを起動
3. dB値を記録
4. 防音対策後に同じ条件で測定
5. 数値の変化を確認

目安：

• 5dB低下：体感でも違いがわかる
• 10dB低下：音が半分程度に聞こえる
• 20dB低下：かなり静かになる

録音して反響を確認

OBSで録音したファイルを聴いて、反響の変化を確認する方法もあります。

ポイント：

• 対策前後で同じ文章を読む
• 音量を揃えて比較
• ヘッドホンで細かい音も確認

季節ごとの防音対策の注意点

夏場の注意点

• エアコンの音がマイクに入りやすい
• 窓を開けられないため室温管理が重要
• 扇風機は位置に注意（マイクの背面に配置）

対策：

• 静音タイプのエアコンに切り替え検討
• サーキュレーターで空気を循環
• 配信前に部屋を十分冷やしておく

冬場の注意点

• 暖房器具の音（ファンヒーターなど）
• 乾燥による静電気ノイズ
• 窓の結露による防音カーテンの劣化

対策：

• オイルヒーターなど静音暖房を使用
• 加湿器で適度な湿度を維持
• 防音カーテンは定期的に乾燥させる

よくある質問

まとめ

防音対策は一度にすべてを揃える必要はありません。まずはマイク周りの対策から始めて、必要に応じて範囲を広げていくのが、予算的にも効果的にもベストな方法です。

快適な配信環境を整えて、クリアな音質でリスナーに届けましょう！