PR: この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。購入により当サイトに手数料が支払われることがあります。
【配信者の確定申告】ストリーマー・YouTuber向け税金ガイド|経費計上から節税テクニックまで
【配信者の確定申告】ストリーマー・YouTuber向け税金ガイド|経費計上から節税テクニックまで
YouTubeやTwitchで収益を上げ始めた配信者にとって、避けて通れないのが確定申告です。「いくらから申告が必要なの?」「配信機材は経費になる?」「どうやって帳簿をつければいいの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、ストリーマーやYouTuberが知っておくべき税金の基礎知識から、経費計上のポイント、節税テクニック、よくあるミスまで、実践的な情報を網羅的に解説します。
本記事は2025年12月時点での一般的な税務情報を提供するものであり、個別の税務相談に代わるものではありません。税法は毎年改正される可能性があり、個々の状況によって適用される規定が異なります。
必ず税理士等の専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行動された結果について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
配信者はいくらから確定申告が必要?
確定申告の義務は、あなたの働き方と収入額によって決まります。多くの配信者が気になるのは「いくらから申告しなければならないのか」という点でしょう。
副業配信者の場合(給与所得あり)
会社員やアルバイトをしながら配信活動をしている場合、年間20万円を超える配信収入があれば確定申告が必要です。
| 配信収入の種類 | YouTube広告収入、スーパーチャット、メンバーシップ、Twitchサブスク等 |
|---|---|
| 年間所得基準 | 20万円超で申告義務あり(所得 |
| 所得の種類 | 雑所得または事業所得 |
| 注意点 | 住民税は20万円以下でも申告が必要な場合あり(自治体により異なる) |
重要なポイント:
- この20万円は「所得」(収入から経費を差し引いた金額)です
- 複数のプラットフォームからの所得は合算して計算します
- YouTube、Twitch、投げ銭、スポンサー収入など、すべての配信関連所得を合計します
よくある誤解として「収入20万円」と言われますが、正確には「所得20万円」です。所得 = 収入 − 経費なので、例えば収入30万円でも経費が15万円あれば所得は15万円となり、確定申告は不要です(ただし住民税の申告は別途必要な場合があります)。
専業配信者の場合(給与所得なし)
配信活動が主な収入源である場合、年間48万円を超える所得(収入から経費を引いた額)があれば確定申告が必要です。
| 所得基準 | 48万円超で申告義務あり(基礎控除額) |
|---|---|
| 所得の計算 | 収入 − 経費 |
| 所得の種類 | 事業所得(青色申告を推奨) |
| 扶養の影響 | 48万円を超えると親の扶養から外れる可能性 |
よくある誤解として、「専業なら20万円まで申告不要」というものがありますが、これは誤りです。給与所得がない場合は基礎控除(48万円)が適用されるため、所得が48万円以下なら所得税はかかりませんが、住民税の申告は別途必要になる場合があります(自治体により異なります)。
20万円以下でも申告した方が良いケース
確定申告義務がなくても、以下のケースでは申告することでメリットがあります:
-
源泉徴収された税金が還付される場合
- YouTubeの広告収入では源泉徴収されていませんが、企業案件などで源泉徴収された場合、経費を計上することで税金が戻ってくる可能性があります
-
翌年以降の青色申告特別控除を受けるため
- 青色申告は事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出が必要です
- 収入が少ないうちから準備しておくと、収入が増えた時にスムーズに移行できます
-
損失を繰り越したい場合
- 青色申告であれば、赤字を3年間繰り越すことができます
- 初期投資が大きく赤字になった年は、申告しておくと翌年以降の節税につながります
配信者の収入の種類と課税対象
配信者の収入は多岐にわたり、それぞれ税務上の扱いが異なります。すべての収入源を正確に把握することが、適切な確定申告の第一歩です。
YouTube収入
| 広告収入 | AdSenseからの広告収益(最も一般的) |
|---|---|
| スーパーチャット | 配信中の投げ銭(Super Chat & Super Stickers) |
| チャンネルメンバーシップ | 月額課金による会員収入 |
| YouTube Premium収益 | Premium会員の視聴時間に応じた収益 |
| YouTube ショッピング | 商品販売によるコミッション |
| 企業案件 | スポンサー動画の制作費 |
YouTube AdSenseの場合:
- Googleから毎月「お支払い」として入金されます
- 源泉徴収は基本的にされていません(日本居住者の場合)
- AdSenseの管理画面から収益レポートをダウンロードし、記録として保管しましょう
2021年以降、GoogleはYouTubeクリエイターに対して米国税務情報の提出を求めています。これは米国の視聴者からの収益に対する源泉徴収に関するものです。適切に「日本在住」として情報を提出すれば、日本在住者への影響は限定的ですが、必ず対応しておきましょう。
Twitch収入
| サブスクリプション | 月額課金(Tier 1/2/3) |
|---|---|
| ビッツ | 配信中の投げ銭システム |
| 広告収入 | 配信内広告による収益 |
| バウンティボード | ゲーム宣伝による報酬 |
| スポンサーシップ | 企業とのスポンサー契約 |
Twitchの場合:
- Twitchアフィリエイト/パートナーからの収入は、基本的に源泉徴収されていません
- 支払い明細(Payout)をダウンロードして記録を残します
- ドル建てで受け取る場合、為替レートの記録も必要です(入金日のレート)
その他のプラットフォーム収入
投げ銭サービス:
- Streamlabs、Doneru、OFUSE、Fantiaなど
- 各プラットフォームの手数料を差し引いた実際の入金額を記録
企業案件・スポンサーシップ:
- 案件動画の制作費
- スポンサー契約による固定報酬
- アフィリエイト収入(Amazon、楽天など)
物販・グッズ販売:
- オリジナルグッズの販売収入
- BOOTHやSUZURIなどでの売上
暗号資産(仮想通貨)・NFT収入の扱い
2024-2025年の重要トピック:
配信者の中には、暗号資産やNFTでの収益を得ている方もいます。これらは雑所得として申告が必要です。
| 暗号資産での投げ銭 | 受け取った時点の時価(円換算)が収入 |
|---|---|
| NFT販売 | 販売価格から制作費等を差し引いた利益が所得 |
| 計算方法 | 移動平均法または総平均法で取得価額を計算 |
| 税率 | 雑所得として総合課税(最高税率55%) |
| 損益通算 | 他の所得との損益通算は不可 |
暗号資産の売買や暗号資産での収益は、取引ごとの時価評価が必要で、計算が非常に複雑です。専用の損益計算ツール(Cryptact、Gtaxなど)を使うか、税理士に相談することを強くおすすめします。
また、暗号資産は「雑所得」扱いのため、株式投資のような分離課税(一律20.315%)ではなく、総合課税(最高55%)となる点に注意が必要です。
海外からの収入(Google AdSense等)
YouTube AdSenseはGoogle Ireland Limitedからの支払いであり、海外源泉所得となります。
| AdSense収入 | 日本居住者は国内所得として申告(全世界所得課税) |
|---|---|
| 為替レート | 入金日のTTBレート(仲値)で円換算 |
| 源泉徴収 | 米国税務情報を正しく提出していれば日本居住者への源泉徴収なし |
| 外国税額控除 | 源泉徴収された場合は外国税額控除の適用可能 |
GoogleはYouTubeクリエイターに対して米国税務情報(W-8BENフォーム相当)の提出を求めています。これを提出しないと、米国視聴者からの収益に対して最大24%の源泉徴収がされる可能性があります。
AdSenseの管理画面から「お支払い」→「設定」→「米国の税務情報」で提出できますので、必ず対応しましょう。
プラットフォームごとの入金タイミングと記帳
収入の計上時期は「実際に入金された日」(現金主義)または「収入が確定した日」(発生主義)のいずれかで統一する必要があります。個人事業主の場合、現金主義が一般的です。
| YouTube AdSense | 前月の収益が翌月21〜26日頃に入金(8,000円以上) |
|---|---|
| Twitch | 月末締め、翌月15日頃に入金(100ドル以上) |
| 投げ銭サービス | サービスにより異なる(即時〜翌月末) |
| 企業案件 | 納品後30〜60日(契約による) |
| アフィリエイト | 2〜3ヶ月後(Amazon: 翌々月末、楽天: 翌々月10日など) |
記帳のポイント:
- 入金ベースで記帳する場合、実際に銀行口座に入金された日を「収入日」とする
- 12月の配信収益が翌年1月に入金される場合、翌年の収入として計上(現金主義の場合)
- 発生主義を採用する場合は、収益が確定した時点で「売掛金」として計上
収入が複数のプラットフォームに分散している場合、Excelやスプレッドシートで「収入管理表」を作成し、月ごとに各プラットフォームからの入金を記録することをおすすめします。確定申告の時期になって慌てることを防げます。
2024-2025年の税制改正ポイント
配信者に影響がある可能性のある税制改正をまとめました。
電子帳簿保存法の完全義務化(2024年1月〜)
2024年1月以降、電子取引(メールやWebで受け取った請求書・領収書)のデータ保存が完全義務化されました。
| 対象 | メールやWebサイトで受領した請求書・領収書・契約書 |
|---|---|
| 保存方法 | PDFなどのデータ形式で保存(紙に印刷して保存は不可) |
| 検索機能 | 日付・金額・取引先で検索できるようにする |
| 罰則 | 違反した場合、青色申告の承認取消や推計課税のリスク |
配信者が対応すべきこと:
- Amazon、楽天などのネット購入は必ずPDF領収書をダウンロード
- 企業案件の請求書・契約書をPDFで保存
- 会計ソフトのデータ保存機能を活用(freee、マネーフォワードは対応済み)
基礎控除48万円の維持(2024-2025年)
基礎控除は48万円のまま据え置きです。専業配信者は所得48万円以下なら所得税はかかりません。
- 2019年まで: 38万円
- 2020年〜現在: 48万円
増額により、専業配信者の課税最低限が引き上げられました。
少額減価償却資産の特例の延長
青色申告者の特例「30万円未満の資産を一括経費計上」は、2026年3月31日まで延長されています。
| 対象 | 青色申告者(65万円控除または10万円控除) |
|---|---|
| 金額 | 取得価額30万円未満の資産 |
| 上限 | 年間合計300万円まで |
| 期限 | 2026年3月31日まで延長 |
活用例:
- ゲーミングPC 25万円 → 購入年に全額経費
- 4Kモニター 8万円 → 購入年に全額経費
- マイク 3万円 → 購入年に全額経費
消費税インボイス制度の経過措置(2023-2029年)
2023年10月に開始したインボイス制度ですが、免税事業者からの仕入れについて経過措置があります。
| 2023年10月〜2026年9月 | 免税事業者からの仕入れの80%を控除可能 |
|---|---|
| 2026年10月〜2029年9月 | 免税事業者からの仕入れの50%を控除可能 |
| 2029年10月〜 | 免税事業者からの仕入れは控除不可 |
配信者への影響:
- 売上1,000万円以下でインボイス登録していない場合、企業案件で不利になる可能性
- ただし、AdSenseやTwitchなど一般消費者向け収入は影響なし
暗号資産の損益通算・繰越控除(検討中)
2025年時点では未実現ですが、今後の動向に注目:
現在、暗号資産の所得は雑所得として総合課税(最高55%)ですが、分離課税(20%程度)への移行や損益通算・繰越控除の適用が検討されています。
金融庁や税制調査会で議論が続いていますが、2025年時点では具体的な改正は未定です。暗号資産で大きな収益を得ている配信者は、今後の税制改正に注意しましょう。
青色申告 vs 白色申告:どちらを選ぶべき?
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。配信で安定した収入を得ているなら、青色申告を選択することを強くおすすめします。
青色申告のメリット
- 最大65万円の特別控除:電子申告(e-Tax)を使えば65万円、書面なら55万円の控除が受けられる
- 赤字の繰越:3年間赤字を繰り越せるため、初期投資が大きい年の損失を翌年以降の利益と相殺できる
- 家族への給与を経費にできる:青色事業専従者給与として、配偶者や親族への給与を経費計上可能
- 30万円未満の固定資産を一括経費計上:高額な配信機材も一度に経費にできる(少額減価償却資産の特例)
- 貸倒引当金の計上:売掛金に対する貸倒引当金を経費にできる
青色申告のデメリット
- 事前申請が必要:開業から2ヶ月以内、または申告する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要がある
- 帳簿の記帳が複雑:複式簿記による記帳が求められる(会計ソフトを使えば解決)
- 書類保存義務:帳簿や領収書を7年間保存する必要がある
白色申告のメリット・デメリット
- 手続きが簡単:事前申請不要で、単式簿記(簡単な記帳)でOK
- 初心者でも取り組みやすい:会計知識が少なくても対応しやすい
- 特別控除なし:青色申告のような65万円の控除がない
- 赤字繰越不可:その年の赤字を翌年以降に繰り越せない
- 経費計上の幅が狭い:専従者給与も「控除」扱いで金額に上限がある(配偶者86万円、その他の親族50万円)
どちらを選ぶべきか?
白色申告でもOKな人
- 配信収入が年間50万円未満で、今後も大きく増える見込みがない
- とりあえず試しに配信を始めたばかり
- 会計の勉強に時間をかけたくない
現実的なアドバイス: 配信で月5万円以上の収入がある、または今後増やしていきたいと考えているなら、最初から青色申告で始めることをおすすめします。会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生など)を使えば、複式簿記の知識がなくても青色申告は十分可能です。
青色申告を始める手順
- 開業届を提出(税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出)
- 青色申告承認申請書を提出(開業から2ヶ月以内、または3月15日まで)
- 会計ソフトを導入(後述のおすすめソフトを参照)
- 日々の取引を記帳(収入・支出を記録)
- 確定申告書を作成・提出(翌年2月16日〜3月15日)
「開業届を出すと会社にバレる?」という質問をよく見かけますが、開業届自体が会社に通知されることはありません。ただし、確定申告で住民税の納付方法を「特別徴収」(給与天引き)にすると、会社に副業の存在が知られる可能性があります。副業を会社に知られたくない場合は、住民税を「普通徴収」(自分で納付)にチェックしましょう。
配信者が計上できる経費の種類
経費を正しく計上することは、節税の基本です。配信者が経費にできるものを具体的に見ていきましょう。
配信機材・設備費
| PC・ゲーム機 | 配信用デスクトップPC、ゲーミングPC、PS5、Switch等 |
|---|---|
| 音響機材 | マイク、オーディオインターフェース、ヘッドホン、ミキサー |
| 映像機材 | Webカメラ、ビデオカメラ、キャプチャーボード、照明機材 |
| 周辺機器 | キーボード、マウス、ゲームパッド、配信デッキ(Stream Deck) |
| モニター | ゲーミングモニター、サブディスプレイ |
| 配信環境 | グリーンバック、防音材、デスク、チェア |
10万円以上の機材の扱い:
- 白色申告・青色申告(10万円控除)の場合:10万円以上の機材は「減価償却資産」として、耐用年数に応じて複数年にわたり経費計上
- 青色申告(65万円控除)の場合:30万円未満の機材は「少額減価償却資産の特例」で一括経費計上が可能(年間300万円まで)
レシートや領収書の電子保存には、ドキュメントスキャナーが便利です。PFU ScanSnap iX1600などの製品を使えば、タッチパネル操作で簡単にPDF化でき、クラウド連携で会計ソフトへ自動取込も可能です。
※ 価格は変動する場合があります。
例:30万円のゲーミングPCを購入した場合
- 白色申告:4年間(PCの法定耐用年数)で減価償却 → 1年あたり75,000円を経費計上
- 青色申告(65万円控除):購入年に30万円全額を経費計上可能
通信費(インターネット・スマホ)
配信活動に不可欠なインターネット回線やスマホ代は、按分して経費計上します。
| 光回線(月額5,000円) | 配信利用80% → 月4,000円を経費計上 |
|---|---|
| スマホ代(月額8,000円) | 配信関連50% → 月4,000円を経費計上 |
| 按分の根拠 | 使用時間、利用目的、通話履歴などで合理的に算出 |
| 記録の重要性 | 按分比率の根拠を説明できるようメモを残す |
按分の考え方:
- 配信専用回線:100%経費計上可能
- 自宅の回線を配信とプライベートで共用:使用時間や用途に応じて按分(例:配信・動画編集で70%、プライベート30%)
- スマホ:配信関連の連絡や情報収集に使う時間で按分
按分比率に法律で定められた明確な基準はありません。重要なのは「合理的に説明できるか」です。「毎日8時間配信している」「週5日は配信関連で使用」など、客観的な根拠があれば問題ありません。極端に100%にすると税務調査で指摘される可能性があるため、実態に即した割合を設定しましょう。
水道光熱費(電気代)
配信で使用するPCや照明の電気代も、按分して経費にできます。
| 自宅の電気代(月額12,000円) | 配信部屋の占有率30% × 配信時間50% |
|---|---|
| 按分の計算式 | 電気代 × 配信スペースの面積割合 × 配信時間割合 |
| 根拠の例 | 配信用の部屋が全体の30%、配信時間が1日12時間(50%)など |
按分の目安:
- 配信専用の部屋がある場合:部屋の面積割合 × 配信時間割合
- ワンルームの場合:配信スペースの割合 × 配信時間割合
- 実際の使用状況に基づいて20〜40%程度が一般的
家賃(自宅兼事務所の場合)
自宅を配信場所として使用している場合、家賃の一部を「地代家賃」として経費計上できます。
| 家賃(月額10万円) | 配信部屋の面積30% → 月3万円を経費計上 |
|---|---|
| 按分の根拠 | 配信専用部屋の面積 ÷ 自宅全体の面積 |
| 注意点 | 寝室やリビングと兼用の場合は使用時間も加味 |
| 持ち家の場合 | 減価償却費や固定資産税、住宅ローン利息も按分可能 |
按分の具体例:
- 2LDK(60㎡)のうち1部屋(12㎡)を配信専用 → 20%を経費計上
- ワンルーム(30㎡)の一角(6㎡)を配信スペース → 20%を経費計上
持ち家の場合、家賃の代わりに以下を按分して経費計上できます:
- 建物の減価償却費(土地は対象外)
- 固定資産税
- 住宅ローンの利息(元金は対象外)
- 修繕費
ソフトウェア・サブスクリプション
| 動画編集ソフト | Adobe Premiere Pro、Final Cut Pro、DaVinci Resolve等 |
|---|---|
| 配信ソフト | OBS Studio(無料)、XSplit(有料版)、vMix等 |
| デザインツール | Adobe Photoshop、Illustrator、Canva Pro等 |
| 音楽・効果音 | Epidemic Sound、Artlist、AudioStockなど |
| 会計ソフト | freee、マネーフォワード、弥生会計 |
| クラウドストレージ | Google Drive、Dropbox、OneDrive等 |
年間契約の場合:
- 1年分を前払いした場合でも、「短期前払費用の特例」により、支払った年に全額経費計上可能(条件:1年以内のサービス、継続的契約、支払時に債務確定)
ゲームソフト・課金
配信で使用するゲームソフトや課金アイテムは「消耗品費」または「研究開発費」として経費計上できます。
| ゲームソフト | 配信で使用するPS5、Switch、Steamゲーム等 |
|---|---|
| ゲーム課金 | ガチャ、スキン、バトルパスなど配信で使用する課金 |
| サブスク | PlayStation Plus、Nintendo Switch Online、Xbox Game Pass等 |
| 攻略本・資料 | 配信で使用するゲームの攻略本や情報サイト |
注意点:
- 配信で使用することが前提:プライベートで遊ぶだけのゲームは経費にできません
- 記録を残す:どの配信で使用したか、配信アーカイブやメモで記録を残しましょう
- 按分が必要な場合も:プライベートでも遊ぶゲームは、配信での使用割合で按分
ゲームソフトや課金を「消耗品費」ではなく「研究開発費」や「図書研究費」として記帳することで、配信コンテンツのための調査・研究であることを明確にできます。税務調査で「趣味ではないか」と指摘されにくくなります。
取材費・交通費
| イベント参加費 | ゲームショウ、コミケ、VTuberイベント等の入場料 |
|---|---|
| 交通費 | イベント会場までの電車・バス・タクシー代 |
| 宿泊費 | 遠方イベント参加時のホテル代 |
| 取材用ゲーム | イベント限定版や先行体験のためのゲーム購入 |
| 名刺・グッズ | 配信者として配布する名刺やステッカー |
記録の残し方:
- 交通系ICカードの利用履歴を印刷
- タクシーは領収書をもらう
- イベント参加は、配信やSNS投稿で「業務として参加した」証拠を残す
外注費
| 動画編集代行 | 外注編集者への支払い |
|---|---|
| イラスト・デザイン | サムネイル、配信オーバーレイ、グッズデザイン |
| BGM・効果音制作 | オリジナル音源の制作依頼 |
| Webサイト制作 | 公式サイトや LP の制作費用 |
| 翻訳・字幕 | 海外向け配信の翻訳・字幕作成 |
外注時の注意点:
- 年間100万円以上を1人に支払う場合、支払調書の提出が必要
- 外注先が法人か個人か、源泉徴収の要否を確認
- 契約書や請求書、納品物を保管
その他の経費
| 消耗品費 | 文房具、プリンターインク、梱包材、USBメモリ等 |
|---|---|
| 接待交際費 | コラボ配信者との打ち合わせ飲食代(個人事業主は全額経費可) |
| 広告宣伝費 | Twitter広告、YouTube広告、グッズ配布など |
| 手数料 | 銀行振込手数料、PayPalやStripeの決済手数料 |
| 税理士報酬 | 税理士への顧問料、確定申告代行費用 |
| 書籍・情報 | 配信ノウハウ本、ビジネス書、業界誌など |
経費にできないもの
- 配信と無関係な支出:プライベートの飲食、旅行、趣味のゲーム
- 罰金・反則金:駐車違反、税金の延滞税など
- 所得税・住民税:税金そのものは経費にならない(消費税や事業税は経費可)
- 生活費:食費、衣服、娯楽費(配信で使用する場合を除く)
- 元金の返済:借入金の元金(利息は経費)
経費計上の大原則は「事業に直接関係があるか」です。以下の3点を満たせば、基本的に経費として認められます:
- 配信活動に直接関係がある
- 事業として必要な支出である
- プライベートと明確に区別できる
迷った時は、「税務調査で説明できるか」を基準に考えましょう。領収書にメモを残す、配信での使用状況を記録するなど、証拠を残すことが重要です。
帳簿のつけ方と会計ソフトの選び方
青色申告で65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による記帳が必要です。しかし、会計の知識がなくても会計ソフトを使えば自動化できます。
おすすめ会計ソフト比較
| freee(フリー) | 初心者向け、自動仕訳が優秀、月額1,628円〜 |
|---|---|
| マネーフォワード クラウド | 機能豊富、中級者向け、月額1,408円〜 |
| 弥生会計オンライン | 老舗の信頼性、初年度無料、月額1,078円〜 |
1. freee(フリー)
- 初心者に優しいUI:簿記知識ゼロでも使える設計
- 銀行・クレカ自動連携:取引を自動取込&仕訳
- スマホアプリが充実:レシート撮影で自動記帳
- 確定申告書の自動作成:質問に答えるだけで完成
- サポートが手厚い:チャット・メールサポートあり
- 月額料金がやや高め:個人事業主プランで月1,628円(年払い19,800円)
- 自由度が低い:簿記に詳しい人には物足りない場合も
- 仕訳の自動化が過剰:間違った仕訳も自動で提案されることがある
freeeがおすすめの人:
- 簿記の知識が全くない
- とにかく簡単に確定申告を済ませたい
- スマホで領収書管理したい
2. マネーフォワード クラウド確定申告
- 家計簿アプリとの連携:マネーフォワードMEユーザーなら相性抜群
- 豊富な機能:請求書作成、給与計算などの連携サービスが充実
- AI自動仕訳:学習機能で仕訳精度が向上
- コスパが良い:月額1,408円(年払い16,896円)
- 初心者にはやや複雑:freeeより会計用語が多い
- 自動仕訳の精度:初期設定が必要
マネーフォワードがおすすめの人:
- すでにマネーフォワードMEを使っている
- 請求書や経費精算も一元管理したい
- ある程度簿記の知識がある
3. 弥生会計 オンライン
- 初年度無料:最初の1年間は無料で使える
- 老舗の安心感:会計ソフトシェアNo.1の実績
- サポートが充実:電話・メール・チャットサポート
- 料金が安い:2年目以降も月1,078円(年払い12,936円)
- UIがやや古い:freeeやマネーフォワードより洗練されていない
- スマホアプリが弱い:PC中心の設計
弥生会計がおすすめの人:
- 初年度はコストをかけたくない
- PCでしっかり帳簿をつけたい
- 電話サポートが欲しい
会計ソフトを使わずに手書きで帳簿をつけたい方や、会計ソフトのバックアップとして紙の帳簿を残しておきたい方には、コクヨの経費帳などのシンプルな帳簿が便利です。
※ ただし、青色申告65万円控除を受けるには複式簿記が必要なため、会計ソフトの使用を強くおすすめします。
会計ソフトを使った記帳の流れ
-
銀行口座・クレジットカードを連携
- freee、マネーフォワード、弥生すべてで、銀行やクレカと自動連携が可能
- 入出金履歴が自動取込されるため、手入力の手間が大幅に削減されます
-
取引を仕訳
- 自動提案された仕訳を確認・修正
- 勘定科目(収入や経費の種類)を選択
- 摘要欄に取引内容のメモを残す
-
レシートを記録
- スマホアプリでレシート撮影
- 自動的にデータ化され、仕訳候補が作成される
- 撮影した画像は電子保存として認められます(電子帳簿保存法対応)
-
月次で確認
- 毎月末に収支を確認
- 仕訳漏れがないかチェック
- 利益や経費のバランスを把握
-
確定申告書を作成
- 会計ソフトが自動で確定申告書を作成
- 青色申告決算書も自動生成
- e-Taxで電子申告(65万円控除の条件)
freee、マネーフォワード、弥生はすべて無料体験期間があります(30日間)。実際に触ってみて、自分に合ったものを選びましょう。迷ったら、初心者にはfreee、コスパ重視ならマネーフォワード、初年度無料で試すなら弥生がおすすめです。
領収書・レシートの管理方法
青色申告では、領収書やレシートを7年間保存する義務があります。紙で保存するのは大変なので、電子化がおすすめです。
電子帳簿保存法対応の方法:
-
スキャナ保存
- スマホアプリやスキャナでレシート撮影
- freee、マネーフォワードのアプリならタイムスタンプ付与で正式な電子保存として認められる
- スキャン後の原本は破棄可能(2022年1月以降の緩和措置)
-
電子取引データの保存
- Amazon、楽天などのネット購入は、領収書や請求書のPDFをダウンロード
- メールで受け取った請求書もPDF保存
- Googleドライブやクラウド会計ソフトに保存
-
紙の領収書の整理
- 月ごとにクリアファイルに分けて保存
- 項目別(交通費、通信費など)に分類
- ファイルボックスで年度ごとに管理
スキャンしない紙の領収書は、月別・項目別にクリアファイルやポケットファイルで整理しましょう。コクヨの領収書ファイルなどを使えば、24ポケットで1年分の領収書を見出し付きで分類できます。
※ 7年間の保存義務があるため、年度ごとにファイルボックスで管理するのがおすすめです。
2024年1月以降、電子取引(メールやWebでの請求書受領)のデータ保存が完全義務化されました。紙に印刷して保存するだけでは認められず、PDF等のデータで保存する必要があります。会計ソフトやクラウドストレージを活用しましょう。
配信者のための実践的ツールとテンプレート
確定申告をスムーズに進めるためには、日々の記録が重要です。ここでは、配信者が使える実践的なツールとテンプレートを紹介します。
収入管理表(Excelテンプレート)
複数のプラットフォームから収入がある場合、月次で収入を一覧管理すると確定申告時に役立ちます。
| 日付 | 入金日 |
|---|---|
| プラットフォーム | YouTube、Twitch、企業案件など |
| 収入種別 | 広告収入、スパチャ、サブスク、案件費など |
| 金額(円) | 実際の入金額 |
| 備考 | 案件名、月次レポート番号など |
Googleスプレッドシートでの管理例:
| 日付 | プラットフォーム | 収入種別 | 金額 | 備考 |
|------------|------------------|--------------|-----------|--------------------------|
| 2025/01/22 | YouTube AdSense | 広告収入 | 45,678円 | 12月分収益 |
| 2025/01/15 | Twitch | サブスク | 28,000円 | 12月分サブスク |
| 2025/01/30 | 企業案件 | スポンサー料 | 100,000円 | ○○社ゲーム案件 |
| 合計 | | | 173,678円 | |
経費管理表(項目別集計)
経費を勘定科目ごとに集計しておくと、確定申告時の入力が楽になります。
| 通信費 | インターネット回線、スマホ代(按分後) |
|---|---|
| 水道光熱費 | 電気代(按分後) |
| 地代家賃 | 家賃・住宅ローン(按分後) |
| 消耗品費 | ゲームソフト、文房具、USBメモリなど |
| 新聞図書費 | 攻略本、ビジネス書、業界誌 |
| 外注費 | 動画編集代行、イラスト制作費 |
| 広告宣伝費 | Twitter広告、YouTube広告 |
| 接待交際費 | コラボ配信者との打ち合わせ飲食代 |
| 旅費交通費 | イベント参加の交通費、宿泊費 |
按分計算シート(家賃・通信費・電気代)
按分比率を一度設定しておけば、毎月自動計算できます。
按分計算例(家賃):
自宅面積:60㎡
配信部屋面積:12㎡
按分比率:12㎡ ÷ 60㎡ = 20%
月額家賃:100,000円
経費計上額:100,000円 × 20% = 20,000円/月
年間経費:20,000円 × 12ヶ月 = 240,000円
按分計算例(電気代):
月額電気代:12,000円
配信部屋の面積比率:30%
配信時間比率:50%(1日12時間)
按分比率:30% × 50% = 15%
経費計上額:12,000円 × 15% = 1,800円/月
月次チェックリスト
毎月末にチェックすることで、記帳漏れを防げます。
| □ YouTube AdSense入金確認 | 収益レポートと入金額が一致しているか |
|---|---|
| □ Twitch入金確認 | Payout履歴と入金額が一致しているか |
| □ その他収入の記録 | 投げ銭、企業案件、アフィリエイトなど |
| □ 経費の記帳 | レシート・領収書をすべて記帳したか |
| □ クレジットカード明細確認 | 会計ソフトとの連携が正常か |
| □ 銀行口座残高確認 | 会計ソフトの残高と実際の残高が一致しているか |
| □ 按分経費の計上 | 家賃、通信費、電気代の按分計上を忘れていないか |
| □ 領収書の整理 | 月別ファイルに保管したか |
四半期チェックリスト
3ヶ月ごとに見直すことで、年間の収支を把握できます。
| □ 収支の確認 | 今期の利益(所得)はいくらか |
|---|---|
| □ 予定納税の準備 | 前年の所得税が15万円以上なら7月・11月に納税 |
| □ 節税対策の検討 | 小規模企業共済、iDeCoの掛金見直し |
| □ 高額機材の購入検討 | 少額減価償却資産の特例を活用(30万円未満) |
| □ 税理士への相談 | 所得が増えてきたら税理士に相談すべきか検討 |
年間チェックリスト(確定申告前)
確定申告の前に必ず確認しましょう。
| □ 全収入の確認 | すべてのプラットフォームからの収入を記帳済みか |
|---|---|
| □ 全経費の確認 | 領収書と会計ソフトの記録が一致しているか |
| □ 12月分の経費計上 | 年内に支払った経費をすべて計上したか |
| □ 売掛金・買掛金の確認 | 発生主義の場合、未入金・未払いの処理 |
| □ 控除証明書の確認 | 生命保険料、社会保険料、小規模企業共済など |
| □ 減価償却の計算 | 10万円以上の資産の減価償却費を計算 |
| □ e-Taxの準備 | マイナンバーカード・ICカードリーダーの動作確認 |
| □ 青色申告決算書の作成 | 会計ソフトで自動作成 |
| □ 確定申告書の作成 | 2月16日〜3月15日に提出 |
確定申告の手順(e-Taxで電子申告)
青色申告で65万円の特別控除を受けるには、e-Tax(電子申告)が必須です(2020年分以降)。書面提出の場合は55万円控除に減額されます。
e-Taxに必要なもの
| マイナンバーカード | マイナンバーカード + ICカードリーダー(スマホでも可) |
|---|---|
| または | 税務署で発行するID・パスワード |
| 会計ソフト | freee、マネーフォワード、弥生など(e-Tax連携機能あり) |
| PC or スマホ | 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」利用 |
e-Taxの2つの方法:
-
マイナンバーカード方式
- マイナンバーカード + スマホ(NFC対応)またはICカードリーダー
- 本人確認が厳格で、今後の行政手続きにも使える
-
ID・パスワード方式
- 税務署で事前発行したID・パスワードでログイン
- カードリーダー不要で手軽だが、暫定措置(将来廃止の可能性)
e-Tax初回セットアップガイド
初めてe-Taxを使う場合、事前準備が必要です。以下の手順で進めましょう。
パターン1: マイナンバーカード方式(推奨)
-
マイナンバーカードの取得
- 市区町村で申請(交付まで約1ヶ月)
- 既に持っている場合は、署名用電子証明書の有効期限を確認
-
スマホまたはICカードリーダーの準備
- スマホ: NFC(おサイフケータイ)対応のiPhoneまたはAndroid端末
- ICカードリーダー: Amazon等で2,000〜3,000円で購入可能
-
マイナポータルアプリのインストール(スマホの場合)
- iPhoneはApp Store、AndroidはGoogle Playから「マイナポータル」をインストール
-
e-Tax利用開始登録
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- 「マイナンバーカード方式」を選択
- マイナンバーカードで本人確認
- 利用者識別番号が自動発行される
パターン2: ID・パスワード方式(暫定措置)
-
税務署で対面手続き
- 本人確認書類(運転免許証など)を持参
- 税務署の職員がその場でID・パスワードを発行
-
発行された情報を保管
- 利用者識別番号(16桁)
- 暗証番号
- 紛失した場合は再発行が必要
- マイナンバーカード方式: 本人確認が厳格、将来的にも推奨される方法
- ID・パスワード方式: マイナンバーカードが普及するまでの暫定措置、将来廃止の可能性あり
初めて確定申告する方は、今後も使えるマイナンバーカード方式をおすすめします。
e-Taxによる確定申告の流れ
1. 会計ソフトで帳簿を完成させる
- 1月1日〜12月31日の全取引を記帳
- 仕訳漏れ、勘定科目ミスがないか確認
- 銀行残高、現金残高が実際と一致しているか確認
2. 青色申告決算書を作成
- 会計ソフトが自動で「損益計算書」「貸借対照表」を作成
- 控除額(65万円)を入力
3. 確定申告書Bを作成
- 会計ソフトまたは国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作成
- 所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除など)を入力
- 税額を自動計算
4. e-Taxで電子申告
- 会計ソフトから直接送信、または確定申告書等作成コーナーから送信
- マイナンバーカードで電子署名
- 送信完了後、受信通知を保存
5. 納税または還付
- 納税の場合:振替納税(口座引落)、クレジットカード納付、銀行窓口納付など
- 還付の場合:申告から1〜2ヶ月後に指定口座に振込
確定申告のスケジュール
| 1月 | 前年分の帳簿最終チェック、源泉徴収票・控除証明書の確認 |
|---|---|
| 2月16日 | 確定申告受付開始 |
| 3月15日 | 確定申告期限(この日までに提出・納税) |
| 3月末〜4月 | 振替納税の場合、自動引落(申告から約1ヶ月後) |
| 5月〜6月 | 住民税決定通知書が届く |
確定申告を期限までに行わなかった場合、以下のペナルティがあります:
- 無申告加算税:本税の15〜20%
- 延滞税:年7.3〜14.6%(期限の翌日から)
- 青色申告の取消:2年連続で期限後申告すると青色申告の承認が取消される可能性
体調不良や災害などやむを得ない理由がある場合、税務署に相談すれば期限延長が認められることもあります。
節税テクニック:配信者が使える控除と制度
確定申告では、所得控除や税額控除を活用することで税金を減らせます。配信者が特に活用すべき制度を紹介します。
青色申告特別控除(最大65万円)
すでに説明した通り、青色申告で複式簿記 + e-Tax申告をすれば、65万円の特別控除が受けられます。
例:所得300万円の場合
- 青色申告特別控除65万円 → 課税所得235万円
- 所得税:235万円 × 10% − 97,500円 = 137,500円
- 白色申告の場合:300万円 × 10% − 97,500円 = 202,500円
- 差額:65,000円の節税
小規模企業共済(最大84万円の所得控除)
| 制度概要 | 個人事業主向けの退職金制度(国の機関が運営) |
|---|---|
| 掛金 | 月1,000円〜70,000円(年間最大84万円) |
| 所得控除 | 掛金全額が所得控除の対象 |
| 受取時 | 廃業時に一括または分割で受取(退職所得控除または公的年金控除が適用) |
| メリット | 節税 + 将来の退職金積立 |
節税効果の例(所得500万円、掛金月7万円の場合):
- 年間掛金:84万円
- 所得税率20%と仮定 → 84万円 × 20% = 168,000円の節税
- 住民税10% → 84万円 × 10% = 84,000円の節税
- 合計:年間252,000円の節税
- 掛金全額が所得控除:iDeCoより控除額が大きい(iDeCoは年間最大81.6万円)
- 貸付制度あり:掛金の範囲内で低金利で借入可能
- 受取時の税負担が軽い:退職所得控除で大幅に非課税
- 解約時に元本割れリスク:20年未満で任意解約すると元本割れ
- 資金が拘束される:原則、廃業・退職まで引き出せない
iDeCo(個人型確定拠出年金)
| 制度概要 | 個人で積み立てる私的年金(運用益非課税) |
|---|---|
| 掛金 | 月5,000円〜68,000円(自営業の場合) |
| 所得控除 | 掛金全額が所得控除 |
| 運用益 | 運用益が非課税 |
| 受取時 | 60歳以降に一括または年金形式で受取 |
小規模企業共済との違い:
- iDeCo:投資信託で運用(リスク・リターンあり)、60歳まで引出不可
- 小規模企業共済:元本保証、貸付制度あり
小規模企業共済とiDeCoは併用可能です。年間168万円(小規模84万円 + iDeCo 84万円)まで所得控除を受けられるため、所得が高い配信者には非常に有効です。
ふるさと納税
配信で所得が増えた年は、ふるさと納税で実質2,000円の負担で返礼品がもらえます。
| 寄付限度額 | 年収・所得に応じて上限あり(シミュレーションサイトで計算) |
|---|---|
| 返礼品 | 寄付額の30%相当の地域特産品 |
| 控除 | 寄付額 − 2,000円が翌年の住民税から控除 |
| 確定申告 | ワンストップ特例(確定申告不要)は使えない(個人事業主は確定申告必須) |
寄付限度額の目安(独身・社会保険料12%の場合):
- 年収300万円 → 約28,000円
- 年収500万円 → 約61,000円
- 年収700万円 → 約108,000円
配信者向けおすすめ返礼品:
- ゲーミングチェア(高額寄付)
- 地域の食材(米、肉、果物など配信中の食事に)
- 家電製品(PC周辺機器など)
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
| 制度概要 | 取引先倒産時の資金繰り対策(独立行政法人が運営) |
|---|---|
| 掛金 | 月5,000円〜200,000円(年間最大240万円) |
| 損金算入 | 掛金全額が経費(所得控除ではなく経費扱い) |
| 解約手当金 | 40ヶ月以上加入で100%戻る |
| メリット | 全額経費 + 貸付制度 |
小規模企業共済との違い:
- 小規模企業共済:所得控除(税率分だけ節税)
- 経営セーフティ共済:経費(所得を直接減らせる)
経営セーフティ共済は本来、取引先の倒産リスクに備える制度ですが、配信者の場合はYouTubeやTwitchが倒産することは考えにくいです。ただし、年間240万円まで経費にできるため、収入が急増した年の節税手段として活用できます。
ただし、解約時に戻ってきた掛金は収入として課税されるため、「課税の繰延」に過ぎない点に注意が必要です。
配偶者や家族への給与(青色事業専従者給与)
青色申告をしていれば、配偶者や親族に支払った給与を経費にできます。
| 対象者 | 配偶者または15歳以上の親族 |
|---|---|
| 条件 | 年間6ヶ月以上、事業に専従していること |
| 手続き | 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出(事前) |
| 給与額 | 労働内容に見合った妥当な金額(税務署の審査あり) |
| メリット | 給与全額が経費、配偶者控除より節税効果が高い場合がある |
例:配偶者に月8万円(年96万円)の給与を支払う場合
- 経費として96万円を所得から差し引ける
- 所得税率20%の場合 → 96万円 × 20% = 192,000円の節税
- 配偶者の所得税:96万円 − 基礎控除48万円 − 給与所得控除55万円 = 0円(非課税)
配偶者控除(38万円)を受けるか、青色事業専従者給与を支払うかは、所得によって有利不利が変わります。一般的に、配偶者が実際に事業を手伝っており、年間100万円以上の給与を支払える場合は、専従者給与の方が節税効果が高くなります。
少額減価償却資産の特例(30万円未満の一括経費)
青色申告者は、取得価額30万円未満の資産を一括で経費計上できます(年間合計300万円まで)。
例:配信機材を購入した場合
- ゲーミングPC 25万円 → 購入年に全額経費
- 4Kモニター 8万円 → 購入年に全額経費
- マイク 3万円 → 購入年に全額経費
白色申告の場合:
- 10万円以上の資産は減価償却が必要
- ゲーミングPC 25万円 → 4年間で分割して経費計上(1年あたり6.25万円)
年末に高額な機材を購入すると、その年の所得を一気に減らせるため節税効果が大きいです。ただし、本当に必要なものだけを購入しましょう。無駄な支出をして「節税したつもりが損をした」という本末転倒にならないように注意が必要です。
法人化を検討すべきタイミング
配信収入が増えてくると、「個人事業主のままがいいのか、法人化すべきか」という疑問が生じます。
法人化のメリット
- 税率が有利:所得800万円超で法人税の方が税率が低くなる(個人:23〜33%、法人:約23%)
- 社会保険に加入できる:将来の年金額が増える、健康保険の給付が手厚い
- 経費の幅が広がる:社宅、退職金、生命保険など個人では計上できない経費が認められる
- 信用力が上がる:企業案件やスポンサー契約が取りやすい
- 赤字繰越が10年:個人の3年から10年に延長
- 消費税の免税期間:法人成り後2年間は消費税免税(売上1,000万円以下の場合)
法人化のデメリット
- 設立費用:株式会社約25万円、合同会社約10万円
- 赤字でも税金:法人住民税均等割(年7万円)が最低限かかる
- 社会保険料の負担増:厚生年金・健康保険が強制加入(年間数十万円)
- 会計・税務が複雑:税理士への依頼が必須(顧問料月3〜5万円)
- 事務負担増:決算申告、役員変更登記など手続きが多い
法人化の目安
| 所得500万円以下 | 個人事業主のままでOK |
|---|---|
| 所得500〜800万円 | ケースバイケース(税理士に相談) |
| 所得800万円以上 | 法人化を検討すべき |
| 所得1,000万円以上 | 法人化がほぼ確実に有利 |
シミュレーション例(所得800万円の場合):
個人事業主の場合:
- 所得税:約77万円
- 住民税:約80万円
- 個人事業税:約29万円
- 国民健康保険:約80万円
- 国民年金:約20万円
- 合計:約286万円
法人(社長1人、役員報酬月40万円)の場合:
- 法人税:約60万円
- 法人住民税:約10万円
- 法人事業税:約10万円
- 社長の所得税:約30万円
- 社長の住民税:約40万円
- 社会保険料(会社 + 個人):約140万円
- 合計:約290万円
→ ほぼ同等ですが、法人の方が将来の年金額が多い、経費計上の幅が広いなどのメリットがあります。
単発で大きな収入があった年だけ法人化しても、翌年収入が減ると赤字でも法人住民税を支払う必要があり損をします。年間所得が安定して800万円以上見込める場合に法人化を検討しましょう。
また、法人化には「将来への投資」という側面もあります。企業案件を取りやすくする、従業員を雇う、事業を拡大するといった目的があれば、所得が低くても法人化するメリットがあります。
法人化の手順
- 定款作成(会社の基本ルール)
- 公証役場で定款認証(株式会社の場合のみ)
- 資本金の払込
- 法務局で登記申請
- 税務署・都道府県・市区町村に届出
- 社会保険の手続き
- 銀行口座開設
専門家への依頼がおすすめ:
- 司法書士:登記手続き(報酬約10万円)
- 税理士:税務手続き・顧問契約(月3〜5万円)
配信者のための記録管理ベストプラクティス
確定申告を成功させるカギは、日々の記録管理にあります。ここでは、配信者が実践すべき記録管理の方法を詳しく解説します。
収入の記録管理
1. プラットフォームごとの収益レポート保管
各プラットフォームから提供される収益レポートは、必ずダウンロードして保管しましょう。
| YouTube AdSense | 月次レポートをPDFまたはCSVで保存 |
|---|---|
| Twitch | Payout履歴をスクリーンショットまたはPDF保存 |
| 投げ銭サービス | 取引履歴をCSVまたはPDFで保存 |
| 企業案件 | 請求書・契約書・支払通知書をPDF保存 |
| アフィリエイト | 月次レポートをPDFで保存 |
保管場所の推奨:
- Googleドライブ、Dropbox、OneDriveなどのクラウドストレージ
- フォルダ構成例:
/2025年/収入/YouTube/01月_AdSense収益レポート.pdf - 年度ごと、プラットフォームごと、月ごとに整理
2. 入金確認の記録
収益レポートと実際の入金額が一致しているか、毎月確認しましょう。
チェック項目:
- AdSenseの収益レポート金額 = 銀行口座への入金額
- Twitchの Payout金額 × 為替レート = 入金額
- 手数料が引かれている場合は、手数料も記録
不一致がある場合の対処:
- プラットフォームのサポートに問い合わせ
- 為替レートの変動による差額(Twitchなど)
- 源泉徴収がある場合は、控除額を確認
3. 為替レートの記録(外貨収入の場合)
Twitchなどドル建てで収入を得ている場合、入金日の為替レートを記録する必要があります。
| 基準レート | TTB(対顧客直物電信買相場)または仲値 |
|---|---|
| 参照元 | 三菱UFJ銀行、みずほ銀行などの公表レート |
| 記録タイミング | 実際に入金された日のレート |
| 計算例 | Payout 500ドル × TTB 150円 |
為替レート参照サイト:
- 三菱UFJ銀行: https://www.bk.mufg.jp/gdocs/kinri/list_j/kinri/kawase.html
- みずほ銀行: https://www.mizuhobank.co.jp/rate/market/index.html
経費の記録管理
1. レシート・領収書の即座記録
経費を使った瞬間に記録する習慣をつけましょう。
おすすめの記録方法:
パターンA: 会計ソフトのスマホアプリ
- レシートを受け取ったらその場でスマホ撮影
- freee、マネーフォワードのアプリで自動読み取り
- 勘定科目と摘要を入力して保存
- 原本は月別ファイルに保管
パターンB: メモアプリ + 後日記帳
- レシートをもらったらスマホのメモアプリに記録
- 例:「2025/01/15 ヨドバシカメラ USBメモリ 2,980円 消耗品費」
- 帰宅後、会計ソフトに入力
- レシートは月別ファイルに保管
パターンC: Evernote・Notion活用
- レシートをスマホ撮影してEvernote/Notionにアップロード
- タグ付け(例:#経費 #通信費 #2025年01月)
- 月末に一括で会計ソフトに転記
2. 経費の「摘要欄」記入のコツ
会計ソフトの「摘要欄」には、できるだけ詳しく記録しましょう。税務調査で説明しやすくなります。
| ゲームソフト購入 | 「○○(ゲーム名)購入 配信日2025/01/20」 |
|---|---|
| 交通費 | 「東京ビッグサイト コミケ取材 往復交通費」 |
| 通信費 | 「インターネット回線1月分 按分80%」 |
| 外注費 | 「動画編集代行 ○○氏 1月分5本」 |
| 接待交際費 | 「○○氏とコラボ打ち合わせ カフェ代」 |
悪い例(NG):
- 「ゲーム」← どのゲームか、何の目的か不明
- 「交通費」← どこへ行ったのか不明
- 「外注」← 誰に何を依頼したのか不明
良い例(OK):
- 「スプラトゥーン3購入 1/15配信で使用」
- 「秋葉原→東京ビッグサイト コミケ取材往復」
- 「動画編集代行 山田氏 1月分5本 @10,000円」
3. 按分経費の記録方法
按分する経費(家賃、通信費、電気代など)は、按分比率の根拠を記録しておきましょう。
家賃の按分根拠記録例:
【2025年度 家賃按分計算】
自宅住所:東京都○○区○○ ○○マンション101号室
間取り:2LDK
総面積:60㎡
配信専用部屋:洋室6畳(約10㎡)
按分比率:10㎡ ÷ 60㎡ = 16.7% → 切り捨てて16%
月額家賃:100,000円
経費計上額:100,000円 × 16% = 16,000円/月
年間経費:16,000円 × 12ヶ月 = 192,000円
根拠:配信専用部屋として使用している洋室の面積比率
通信費の按分根拠記録例:
【2025年度 通信費按分計算】
契約内容:光回線 月額5,000円
配信での使用時間:週35時間(1日5時間×7日)
プライベート使用時間:週7時間(1日1時間×7日)
按分比率:35時間 ÷ (35時間 + 7時間) = 83.3% → 切り捨てて80%
経費計上額:5,000円 × 80% = 4,000円/月
根拠:配信・動画編集での使用時間が大半を占めるため
クレジットカード・銀行口座の使い分け
1. 事業用口座・カードの開設
配信事業用の銀行口座とクレジットカードを分けると、記帳が格段に楽になります。
- 記帳が楽: 事業用口座の取引はすべて経費 or 収入なので仕訳が明確
- プライベートと混同しない: 税務調査でプライベート支出を疑われるリスク減
- 会計ソフト連携が簡単: 事業用口座のみ連携すればOK
- 事業の収支が見える化: 配信事業の利益が一目瞭然
おすすめの事業用銀行口座:
- 住信SBIネット銀行: 振込手数料が安い、API連携が充実
- 楽天銀行: 楽天経済圏を使っている方におすすめ
- GMOあおぞらネット銀行: 振込手数料が安い、ビジネス向け
おすすめの事業用クレジットカード:
- 楽天ビジネスカード: ポイント還元率高い、楽天市場でお得
- 三井住友カード ビジネスオーナーズ: 年会費無料、ポイント還元あり
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス: ビジネス特典が豊富
2. 現金経費の記録方法
現金で支払った経費は、レシートがあれば問題ありません。レシートがない場合は「出金伝票」を作成します。
出金伝票の書き方:
【出金伝票】
日付:2025年1月15日
支払先:秋葉原駅→東京駅(電車代)
金額:200円
摘要:コミケ取材のための交通費
勘定科目:旅費交通費
出金伝票を作成すべきケース:
- 自動販売機での飲み物購入(配信中の飲料)
- 電車・バスの交通費(Suica履歴があればOK)
- 小規模な購入でレシートがない場合
3. プライベート支出との混同を避ける
事業用カードでうっかりプライベートな買い物をしてしまった場合の処理方法:
パターン1: 少額(数千円以下)
- 会計ソフトで「事業主貸」として処理
- 摘要欄に「プライベート支出(誤使用)」と記載
パターン2: 高額(数万円以上)
- すぐに事業用口座から個人口座へ振り戻す
- または、個人口座から事業用口座へ同額を振り込む
デジタル記録の整理方法
1. クラウドストレージの活用
すべての証憑書類をクラウドに保管することで、紛失リスクを減らせます。
フォルダ構成例:
/2025年度確定申告
/収入関連
/YouTube
- 01月_AdSense収益レポート.pdf
- 02月_AdSense収益レポート.pdf
/Twitch
- 01月_Payout明細.pdf
/企業案件
- ○○社_契約書.pdf
- ○○社_請求書.pdf
/経費関連
/レシート(スキャン)
- 2025-01-15_ヨドバシカメラ_USBメモリ.pdf
- 2025-01-20_Amazon_マイク.pdf
/請求書
- ○○編集者_1月分請求書.pdf
/その他
- 開業届.pdf
- 青色申告承認申請書.pdf
- 源泉徴収票.pdf
2. 会計ソフトとの連携
freee、マネーフォワードは、Googleドライブ、Dropboxと連携できます。領収書をクラウドにアップロードするだけで自動取込できます。
3. バックアップの重要性
クラウドストレージでも、念のためローカルHDDや外付けSSDにバックアップを取りましょう。
バックアップ推奨頻度:
- 月次バックアップ:毎月末に全データをバックアップ
- 年次バックアップ:確定申告後に全データをDVD-Rや外付けHDDに保存(7年間保管)
税務調査で指摘されやすいポイント
税務調査は「高額所得者」や「経費が多い事業者」に入りやすい傾向があります。配信者が特に注意すべきポイントを解説します。
よくある指摘事項
- プライベートと事業の混同:ゲームや機材を私的利用しているのに全額経費計上
- 按分比率が不合理:家賃や通信費を100%経費にしている
- 領収書がない:現金で払った経費の領収書を紛失
- 売上の計上漏れ:投げ銭やスポンサー収入を申告していない
- 架空経費:実際には購入していないものを経費計上
- 家族への給与が過大:実際の労働内容に見合わない高額給与
税務調査に備えた対策
税務調査が来やすい配信者の特徴
| 高額所得 | 年間所得1,000万円以上 |
|---|---|
| 経費率が高い | 売上の70%以上が経費(業種平均より高い) |
| 急激な所得変動 | 前年比で所得が2倍以上増えた |
| 無申告・期限後申告 | 過去に申告していない、または遅延がある |
| タレコミ | SNSで高級品を自慢、豪遊を公開 |
税務調査の連絡が来ても、慌てる必要はありません。以下の対応を取りましょう:
- 税理士に相談:顧問税理士がいれば立ち会いを依頼
- 帳簿・領収書を準備:調査対象年分の資料を整理
- 正直に対応:嘘をつかず、分からないことは「確認します」と答える
- 修正申告が必要なら従う:指摘された内容が正しければ修正申告を行う
税務調査の結果、追加納税が必要になった場合でも、過少申告加算税(10〜15%)を支払えば済むケースがほとんどです。隠蔽や偽装がない限り、重加算税(35%)は課されません。
税理士に依頼すべきタイミング
配信収入が増えてくると、「税理士に依頼すべきか」という疑問が出てきます。
税理士に依頼するメリット
- 確定申告の負担ゼロ:帳簿作成から申告まで丸投げできる
- 正確な申告:税務リスクを最小化
- 節税アドバイス:最新の税制を活用した節税提案
- 税務調査対応:立ち会いや交渉を代行
- 時間の節約:配信活動に専念できる
税理士費用の相場
| 記帳代行 | 月1〜2万円(レシート丸投げの場合) |
|---|---|
| 顧問料 | 月1〜3万円(相談・アドバイス込み) |
| 確定申告 | 10〜20万円(年1回のスポット依頼) |
| 法人の場合 | 月3〜5万円 + 決算料20〜30万円 |
コストパフォーマンス:
- 年間所得300万円以下:自分で会計ソフトを使う方がコスパが良い
- 年間所得300〜800万円:記帳は自分で、確定申告のみ依頼(年10〜15万円)
- 年間所得800万円以上:顧問契約を結んで丸投げ(月2〜3万円 + 申告料)
- 税理士紹介サイト:税理士ドットコム、弥生の税理士紹介など
- 知人の紹介:同業の配信者やフリーランスから紹介してもらう
- 地域の税理士会:無料相談会で相性を確認
- クラウド税理士:オンライン完結で全国対応、料金が安い傾向
選ぶポイント:
- 配信者・クリエイター業界に詳しいか
- クラウド会計ソフトに対応しているか
- レスポンスが早いか
- 料金体系が明確か
インボイス制度と消費税の扱い
2023年10月から開始したインボイス制度は、配信者にも影響があります。
インボイス制度とは
| 正式名称 | 適格請求書等保存方式 |
|---|---|
| 目的 | 消費税の適正な徴収(益税の排除) |
| 対象 | 課税事業者(売上1,000万円超)と、登録した免税事業者 |
| 影響 | 登録しないと取引先が消費税控除できない → 取引に影響 |
配信者はインボイス登録すべきか?
登録が必要なケース:
- 企業案件が多く、取引先から「インボイスを発行してほしい」と求められる
- 売上が1,000万円を超えている(課税事業者)
登録不要なケース:
- YouTube AdSense、Twitchサブスクなど、一般消費者向けの収入が中心
- 企業案件がほとんどない
YouTubeやTwitchからの広告収入、投げ銭、メンバーシップ収入は「一般消費者向けサービス」であり、取引先(GoogleやAmazon)は仕入税額控除を受けません。そのため、インボイスを発行する必要はありません。
一方、企業案件やスポンサー契約は「事業者間取引」なので、取引先がインボイスを求める可能性があります。
インボイス登録のメリット・デメリット
- 企業案件を失わない:取引先が消費税控除できるため、取引継続しやすい
- 消費税を請求できる:報酬に消費税を上乗せして請求可能
- 消費税の納税義務:売上1,000万円以下でも消費税を納める必要がある
- 事務負担増:インボイス発行、消費税申告の手間
- 実質的な減収:免税事業者の場合、消費税分が減収になる
簡易課税制度の活用: 売上5,000万円以下の事業者は、「簡易課税制度」を選択できます。みなし仕入率(業種により40〜90%)を使うことで、実際の経費を集計せずに消費税を計算できます。
配信者の場合(第5種事業:みなし仕入率50%):
- 売上1,000万円(税込1,100万円)
- 預かった消費税:100万円
- 仕入にかかった消費税(みなし):100万円 × 50% = 50万円
- 納税額:100万円 − 50万円 = 50万円
売上1,000万円以下の配信者がインボイス登録すると、年間数十万円の消費税を新たに納めることになります。企業案件の比率が低い場合は、登録しない選択肢も検討しましょう。
予定納税とは?前年の税金が多いと翌年も納税
前年の所得税額が一定額を超えると、翌年に予定納税が発生します。
予定納税の仕組み
| 対象 | 前年の所得税額が15万円以上の人 |
|---|---|
| 納付回数 | 年3回(7月、11月、翌年3月) |
| 納税額 | 前年の所得税額の1/3ずつ |
| 通知 | 税務署から6月頃に「予定納税通知書」が届く |
例:前年の所得税が60万円だった場合
- 第1期(7月):20万円
- 第2期(11月):20万円
- 確定申告時(翌年3月):実際の税額との差額を精算
収入が減った場合の救済措置
前年より収入が大幅に減った場合、「予定納税額の減額申請」ができます。
| 申請時期 | 第1期:7月15日まで、第2期:11月15日まで |
|---|---|
| 条件 | 今年の所得が前年より明らかに少ない見込み |
| 提出書類 | 予定納税額の減額申請書(税務署) |
| 効果 | 承認されれば予定納税額が減額される |
予定納税の通知が来たにもかかわらず納付しないと、延滞税(年7.3〜14.6%)がかかります。必ず期限内に納付しましょう。振替納税を利用すれば、自動引落で納付忘れを防げます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
まとめ
配信者の確定申告は、収入の種類が多岐にわたり、経費の按分など独特のポイントがありますが、基本を押さえれば自分でも十分対応可能です。重要なポイントをおさらい:
- 副業なら20万円超、専業なら48万円超で確定申告が必要
- 青色申告で65万円の特別控除を受けるには、複式簿記 + e-Tax申告
- 配信機材、通信費、家賃、ゲームソフトなど幅広く経費計上可能(按分が重要)
- 会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)を使えば複式簿記も簡単
- 所得800万円以上なら法人化を検討
- 税理士への依頼は所得300万円以上が目安
配信活動に専念するためにも、税金の知識を身につけ、適切に確定申告を行いましょう。不安な点は税理士に相談し、正しい節税を実践することが、長く配信を続ける秘訣です。
本記事で提供している情報は、2025年12月時点での一般的な税務知識であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
以下の点にご注意ください:
- 税法は毎年改正される可能性があります
- 個々の状況により適用される規定が異なります
- 本記事の情報に基づいて申告した結果について、当サイトは一切の責任を負いません
- 具体的な税務処理や節税対策については、必ず税理士等の専門家にご相談ください
- 確定申告に不安がある方、所得が300万円を超える方は、税理士への依頼を強くおすすめします
税理士への相談方法:
- 税理士紹介サイト: 税理士ドットコム、弥生の税理士紹介など
- 税務署の無料相談会: 確定申告時期に実施(予約制)
- 各地の税理士会: 無料相談窓口あり
画像クレジット
本記事で使用している画像の一部は Unsplash より提供されています。
- Glasses and pen on tax form: Photo by Supannee U-prapruit on Unsplash
- Tax time note: Photo by Supannee U-prapruit on Unsplash
- Desk with papers and calculator: Photo by Cht Gsml on Unsplash
- Pencil on opened notebook: Photo by JESHOOTS.COM on Unsplash
- Blank notebook cover: Photo by Kelly Sikkema on Unsplash
- Office desk with files: Photo by HANVIN CHEONG on Unsplash
関連トピック完全ガイド
【配信者の確定申告】ストリーマー・YouTuber向け税金ガイド|経費計上から節税テクニックまで
【配信者の確定申告】ストリーマー・YouTuber向け税金ガイド|経費計上から節税テクニック
詳細解説記事
このトピックに関する5件の記事で、 包括的な情報を提供しています。