【OBS軽量化】低スペックPCでも快適に配信する設定方法|カクつき・コマ落ち解消テクニック
「OBSで配信しようとしたら、カクカクして全然使えない…」
PCのスペックが低いと、OBSの設定次第では配信がまともにできないことがあります。しかし、適切な設定を行えば、低スペックPCでも快適な配信は可能です。
OBSが重くなる原因を理解しよう
OBSの処理フロー
OBSで配信する際、PCは以下の処理を同時に行っています。
ゲーム描画(GPU)
↓
画面キャプチャ(CPU/GPU)
↓
シーン合成(ソース重ね合わせ)
↓
エンコード(CPU or GPU)
↓
配信サーバーへ送信
このどこかがボトルネックになると、カクつきやコマ落ちが発生します。
負荷の原因ランキング
| 順位 | 原因 | 影響度 | 対策難易度 |
|---|---|---|---|
| 1 | エンコード設定 | 大 | 簡単 |
| 2 | 出力解像度・FPS | 大 | 簡単 |
| 3 | ゲームの負荷 | 大 | 中 |
| 4 | ソース・フィルター数 | 中 | 簡単 |
| 5 | プレビュー表示 | 小 | 簡単 |
これらを一つずつ最適化していきましょう。
エンコーダーの選び方
エンコーダーの種類
OBSで使えるエンコーダーは主に4種類あります。
| x264 | CPU使用 / 高画質だが高負荷 / どのPCでも使用可 |
|---|---|
| NVENC | NVIDIA GPU使用 / 低負荷で高画質 / NVIDIA専用 |
| AMD AMF | AMD GPU使用 / 低負荷 / AMD専用 |
| Intel QSV | Intel内蔵GPU使用 / 低負荷 / Intel CPU専用 |
選び方フローチャート
NVIDIA GPUあり?
→ Yes → NVENCを使用(最もおすすめ)
→ No →
AMD GPUあり?
→ Yes → AMD AMFを使用
→ No →
Intel CPUあり?
→ Yes → Intel QSVを検討
→ No → x264(負荷に注意)
エンコーダー設定の確認方法
- OBSを開く
- 「設定」→「出力」→「出力モード:詳細」
- 「配信」タブ→「エンコーダ」を確認
NVENCが選択肢にない場合:
- NVIDIA GPUがない
- ドライバーが古い
- OBSが古い
低スペックPC向けOBS設定
出力設定(配信タブ)
推奨設定:
エンコーダ:NVENC(またはAMF/QSV)
※なければx264
レート制御:CBR
ビットレート:3000〜4500 Kbps(720p)/ 4500〜6000 Kbps(1080p)
【NVENCの場合】
プリセット:P5: Slow(品質重視)またはP4: Medium
※カクつく場合はP3以下に
マルチパスモード:1パス
プロファイル:high
Look-ahead:オフ
心理視覚チューニング:オン
【x264の場合】
CPUプリセット:veryfast(最重要!)
※カクつく場合はsuperfast/ultrafastに
プロファイル:main
チューン:なし
映像設定
推奨設定:
基本(キャンバス)解像度:1920×1080(モニター解像度に合わせる)
出力(スケーリング)解像度:1280×720(低スペック推奨)
縮小フィルタ:バイリニア(最も軽い)
FPS:30(安定重視)または 60(滑らか重視)
解像度とFPSの組み合わせ:
| 設定 | 負荷 | 画質 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| 720p/30fps | 低 | △ | 雑談配信 |
| 720p/60fps | 中 | ○ | 軽いゲーム配信 |
| 1080p/30fps | 中 | ○ | 実況・解説配信 |
| 1080p/60fps | 高 | ◎ | 高スペックPC向け |
詳細設定
推奨設定:
プロセス優先度:通常以上
※高にするとゲームに影響する場合あり
レンダラー:Direct3D 11
カラーフォーマット:NV12
色空間:709
色範囲:一部
ソースとフィルターの最適化
不要なソースを削除
使っていないソース(画像、テキスト、ブラウザソースなど)は、非表示ではなく削除しましょう。非表示でもメモリを消費します。
ブラウザソースの注意点
ブラウザソースは意外と重いです。
軽量化のコツ:
- アラートやチャット表示は1つにまとめる
- 更新頻度を下げる
- 使わないときは削除する
- WebSocketを使うオーバーレイは負荷が高い
フィルターの使用を最小限に
フィルターはリアルタイム処理のため、数が増えると負荷も増えます。
負荷の高いフィルター:
- クロマキー(グリーンバック)
- LUT(色調補正)
- シャープ化
- ぼかし
比較的軽いフィルター:
- 色補正(明るさ・コントラスト程度)
- ゲイン(音量調整)
- ノイズ抑制(RNNoise)
プレビュー関連の軽量化
スタジオモードを無効化
スタジオモード(プレビューと配信画面を分けて表示)は便利ですが、負荷が増えます。低スペックPCでは無効にしましょう。
プレビューの無効化
配信中は右クリック→「プレビューを有効にする」のチェックを外すと、さらに軽くなります。
ただし、画面を確認できなくなるため、安定した配信が確立できてから試しましょう。
ゲーム側の設定
OBSだけでなく、ゲーム側の設定も重要です。
フレームレート制限
ゲームのFPSを無制限にすると、GPUが全力で動作して配信に回すリソースがなくなります。
推奨設定:
- 配信30fpsなら、ゲーム60fps上限
- 配信60fpsなら、ゲーム60〜120fps上限
グラフィック設定を下げる
| 設定項目 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 解像度 | フルHD以下 | GPUメモリ節約 |
| 影の品質 | 低〜中 | 描画負荷大幅減 |
| アンチエイリアス | FXAA or オフ | GPU負荷軽減 |
| テクスチャ | 中 | VRAM節約 |
| エフェクト | 低〜中 | CPU/GPU両方に影響 |
ゲームモード・フルスクリーン
- Windowsの「ゲームモード」をオンにする
- ゲームは「フルスクリーン」または「ボーダーレスウィンドウ」で実行
- OBSでのキャプチャは「ゲームキャプチャ」を使用(ウィンドウキャプチャより軽い)
キャプチャ方式の選び方
キャプチャ方式の比較
| 方式 | 負荷 | 対応範囲 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ゲームキャプチャ | 低 | DirectX/OpenGL/Vulkanゲーム | 最もおすすめ |
| ウィンドウキャプチャ | 中 | ほぼすべてのウィンドウ | 汎用的 |
| 画面キャプチャ | 高 | 全画面 | 最終手段 |
基本方針:ゲームキャプチャ > ウィンドウキャプチャ > 画面キャプチャ
ゲームキャプチャの設定
モード:特定のウィンドウをキャプチャ
ウィンドウ:対象のゲームを選択
カーソルをキャプチャ:ゲームに応じてオン/オフ
アンチチート互換性フックを使用する:オフ(問題があればオン)
トラブルシューティング
「エンコードが高負荷」警告が出る
原因:エンコード処理が間に合っていない
対策:
- x264の場合→プリセットをsuperfast/ultrafastに
- ビットレートを下げる
- 解像度を720pに下げる
- FPSを30に下げる
「レンダリングラグ」が発生する
原因:GPU側の処理が間に合っていない
対策:
- ゲームのグラフィック設定を下げる
- ゲームのFPSを制限する
- NVENCを使用(GPUリソースを効率的に使う)
- プレビューを無効化
配信画面がカクカクするがゲームは滑らか
原因:配信側のFPSが落ちている
対策:
- 出力FPSを30に下げる
- キャプチャ方式を「ゲームキャプチャ」に変更
- OBSのプロセス優先度を上げる
配信プラットフォーム別・最適設定
YouTube Live
特徴:
- 高ビットレートに対応(最大51Mbps)
- 解像度やFPSの制限が緩い
- アーカイブ自動保存
低スペックPC向け推奨設定:
解像度:1280×720
FPS:30
ビットレート:3000〜4500 Kbps
エンコーダ:NVENC推奨
キーフレーム間隔:2秒
YouTubeは高ビットレートに対応しているため、720p/30fpsでもビットレートを高めに設定することで、見栄えの良い配信が可能です。
Twitch
特徴:
- ビットレート上限6000 Kbps
- アフィリエイト以上でトランスコード
- 低遅延モードがデフォルト
低スペックPC向け推奨設定:
解像度:1280×720
FPS:30または60
ビットレート:3000〜4500 Kbps
エンコーダ:NVENC推奨
キーフレーム間隔:2秒
Twitchは6000 Kbps上限があるため、720p/60fpsで4500 Kbpsが現実的なバランスです。
ニコニコ生放送
特徴:
- ビットレート上限が低め
- プレミアム会員でも制限あり
- コメント機能が特徴的
低スペックPC向け推奨設定:
解像度:1280×720
FPS:30
ビットレート:2000〜3000 Kbps
エンコーダ:NVENC推奨
キーフレーム間隔:2秒
ニコ生はビットレート制限が厳しいため、無理に高画質を狙わず安定性を重視しましょう。
ツイキャス
特徴:
- スマホ配信がメイン層
- コミュニティ機能が充実
- 配信時間制限あり
低スペックPC向け推奨設定:
解像度:1280×720または864×480
FPS:30
ビットレート:2000〜3000 Kbps
ツイキャスは視聴者の多くがスマホのため、720p以下でも問題ありません。
配信ジャンル別・OBS設定のコツ
ゲーム実況
ポイント:
- 動きの激しいゲームはビットレートを高めに
- FPSを60に上げると滑らかに見える
- ゲームキャプチャを使うと負荷軽減
設定例(低スペック):
解像度:720p
FPS:60(カクつくなら30)
ビットレート:4000〜4500 Kbps
ゲームのFPS制限:60fps
ゲームの画質:中〜低
雑談配信
ポイント:
- 動きが少ないため低ビットレートでOK
- 30fpsで十分
- カメラ映像は意外と軽い
設定例(低スペック):
解像度:720p
FPS:30
ビットレート:2500〜3500 Kbps
カメラ解像度:720p以下
お絵かき・作業配信
ポイント:
- 画面の変化が少ないため低ビットレートでOK
- 高解像度の方がディテールが伝わる
- ウィンドウキャプチャで十分
設定例(低スペック):
解像度:720p(余裕があれば1080p)
FPS:30
ビットレート:2500〜4000 Kbps
キャプチャ方式:ウィンドウキャプチャ
歌枠・音楽配信
ポイント:
- 音質を重視(オーディオビットレートは下げない)
- 映像は720p/30fpsで十分
- 音声エンコーダ設定に注意
設定例(低スペック):
解像度:720p
FPS:30
映像ビットレート:3000 Kbps
音声ビットレート:160〜192 Kbps(下げすぎない)
音声サンプリングレート:48kHz
OBS以外の軽量化テクニック
Windows設定の最適化
ゲームモードをオン:
設定 → ゲーム → ゲームモード → オン
視覚効果を最小化:
システムの詳細設定 → パフォーマンス → 視覚効果
→「パフォーマンスを優先する」に変更
バックグラウンドアプリを無効化:
設定 → プライバシーとセキュリティ → バックグラウンドアプリ
→ 不要なアプリをオフに
不要なプロセスを終了
配信中は以下のアプリを終了しましょう:
- ブラウザ(配信用以外)
- クラウドストレージ同期(OneDrive、Dropboxなど)
- Windows Update(配信前にチェック)
- ウイルス対策ソフトのフルスキャン
- その他の常駐アプリ
GPUの設定(NVIDIA)
NVIDIAコントロールパネル設定:
- 「3D設定の管理」を開く
- 「プログラム設定」でOBSを追加
- 以下を設定:
- 電源管理モード:パフォーマンス最大化を優先
- スレッドによる最適化:オン
- 低遅延モード:オン
回線の安定化
配信が途切れる原因はPCだけでなく、回線の問題も多いです。
チェックポイント:
- 有線LAN接続にする(WiFiは不安定)
- ルーターを再起動する
- 同時に大容量ダウンロードをしない
- 家族のネット利用状況を確認
パフォーマンス監視のすすめ
OBS統計パネルの見方
配信中は「表示」→「統計」でパフォーマンスを監視できます。
注目すべき項目:
| 項目 | 正常値 | 問題発生 |
|---|---|---|
| レンダリングラグ | 0% | 1%以上で注意 |
| エンコードラグ | 0% | 1%以上で注意 |
| ドロップフレーム | 0% | 発生したら回線を確認 |
| CPU使用率 | 50%以下 | 70%超えで注意 |
タスクマネージャーでの確認
Ctrl+Shift+Escでタスクマネージャーを開き、以下を確認:
- CPU使用率:80%を超えていないか
- GPU使用率:NVENC使用時は100%でもOK
- メモリ使用率:80%を超えていないか
- ネットワーク使用率:配信ビットレートと比較
設定の段階的な調整方法
ステップ1:最低設定から始める
まずは確実に安定する設定から:
解像度:720p
FPS:30
ビットレート:2500 Kbps
エンコーダ:NVENC(なければx264 superfast)
ステップ2:安定を確認
10分程度配信して以下をチェック:
- カクつきがないか
- コマ落ちがないか
- 配信が途切れないか
- CPU使用率が70%以下か
ステップ3:段階的に上げる
安定していれば、以下の順で設定を上げる:
- FPSを60に(最も効果が大きい)
- ビットレートを上げる(500 Kbpsずつ)
- 解像度を1080pに(余裕があれば)
ステップ4:限界を見極める
カクつきや警告が出たら、一段階前の設定に戻す。 安定 > 高画質 を常に意識しましょう。
スペック別おすすめ設定
超低スペック(Core i3以下/メモリ8GB以下)
解像度:1280×720(720p)
FPS:30
エンコーダ:ハードウェア優先(NVENC/AMF/QSV)
なければx264 ultrafast
ビットレート:2500〜3500 Kbps
低スペック(Core i5/メモリ8〜16GB)
解像度:1280×720(720p)
FPS:60
エンコーダ:ハードウェア優先
x264ならveryfast
ビットレート:3500〜4500 Kbps
中スペック(Core i5以上/メモリ16GB/GPU搭載)
解像度:1920×1080(1080p)
FPS:60
エンコーダ:NVENC/AMF
x264ならfaster
ビットレート:5000〜6000 Kbps
よくある質問
まとめ
まとめ
低スペックPCでOBSを軽量化するポイント- ハードウェアエンコーダー(NVENC/AMF/QSV)を最優先で使用
- x264なら「veryfast」以上の高速プリセットを選択
- 720p/30fpsから始めて、安定したら徐々に上げる
- ゲームキャプチャを使用して負荷を軽減
- ゲーム側のグラフィック設定も最適化する
- 不要なソース・フィルターは削除してメモリ節約
- OBS統計パネルでパフォーマンスを常時監視
- Windows設定の最適化も忘れずに実施
低スペックPCでも、設定を最適化すれば十分に配信できます。最初から高画質を目指すのではなく、まずは安定した配信環境を構築してから、徐々に設定を上げていきましょう。
配信は画質よりも「途切れないこと」が大切です。カクつきや配信落ちのない、安定した配信を目指して、視聴者に快適な視聴体験を届けましょう!
よくある質問
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