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【予算別】賃貸でもできるDIY防音ブース構築ガイド|3万円/5万円/10万円コース完全解説

【予算別】賃貸でもできるDIY防音ブース構築ガイド|3万円/5万円/10万円コース完全解説

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「配信の声がエコーして聞き取りにくい」「深夜配信で近隣に迷惑をかけている気がする」「市販の防音ブースは高すぎて手が出ない」——配信者なら誰もが直面する防音問題

市販の簡易防音ブース(だんぼっち等)は効果的ですが、最低でも20万円以上かかります。そこで注目されているのが、DIYでの防音ブース構築です。

この記事では、予算別(3万円/5万円/10万円)の具体的な防音ブース構築プランを紹介します。必要な材料リスト、設置手順、期待できる効果まで、実践的に解説します。

既存の「防音パネルおすすめ30選」のような商品羅列型記事とは異なり、実際に防音ブースを組み立てる手順を具体的に説明するため、初心者でも迷わず実践できます。

この記事でわかること - 防音と吸音の違いと、配信に必要な対策 - 予算3万円/5万円/10万円での具体的な構築プラン - 各コースで必要な材料一覧と購入リンク - 賃貸でもできる原状回復可能な設置方法 - 効果的な吸音材の配置パターン - 遮音シートの正しい使い方 - 市販の簡易防音ブースとDIYの比較

配信者向けDIY防音ブース


配信者が防音対策すべき理由

配信活動において、防音対策は配信の質継続性の両面で重要です。

理由1:視聴者は音質に敏感

一般的に、視聴者は音声品質に非常に敏感であることが知られています。映像が多少乱れても視聴を続ける人は多いですが、音声にノイズやエコーがあると、すぐに離脱されてしまいます。

部屋の反響が大きい環境で配信すると、声がエコーがかかったように聞こえ、リスナーにとって聞き取りにくい配信になってしまいます。

プロの配信者やVTuberの配信を聞くと、声がクリアで聞きやすいのは、適切な吸音処理がされているためです。

理由2:近隣トラブルの防止

特に夜配信がメインの場合、22時以降の騒音は近隣住民にとって大きなストレスになります。

一度トラブルになると、配信活動自体を続けられなくなるリスクがあります。最悪の場合、退去を求められることもあるため、予防的な対策が重要です。

理由3:集中できる環境の構築

外部からの騒音を遮断することで、配信に集中できる環境が作れます。

特にASMRや歌配信では、外の車の音や隣室のテレビ音が致命的なノイズになります。静かな環境を確保することで、クオリティの高いコンテンツ制作が可能になります。


遮音等級(D値)の基礎知識

防音性能を理解する上で重要な指標が遮音等級(D値)です。D値は「どの程度音を遮断できるか」を数値化したもので、建築基準や賃貸物件の防音性能を判断する際に使われます。

D値の見方

D値は「D-30」「D-40」のように表記され、数値が大きいほど遮音性能が高くなります。

D値と遮音性能の目安
D-30普通の声が聞こえる(会話内容はわからない)
D-35大きな声が小さく聞こえる
D-40大きな声が辛うじて聞こえる
D-45大きな声が聞こえない
D-50楽器音やテレビ音が聞こえない(高性能)
D-55ピアノやドラムも問題なし(防音室レベル)

賃貸物件のD値目安

一般的な賃貸物件の遮音性能は以下の通りです。

構造D値の目安音漏れの特徴
木造アパートD-30〜35普通の会話も聞こえやすい
軽量鉄骨造D-35〜40大きな声やテレビ音が聞こえる
RC造(鉄筋コンクリート)D-40〜50通常の生活音はほぼ聞こえない
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)D-50〜55高性能な遮音性

配信活動を行う場合、最低でもD-40以上の物件が望ましいです。木造・軽量鉄骨造の場合は、DIY防音対策が必須になります。

DIY防音でどれだけD値を上げられるか

この記事で紹介する各コースの遮音性能向上目安は以下の通りです。

  • 3万円コース:D値の向上はほぼなし(吸音がメイン)
  • 5万円コース:+5〜10dB程度の遮音性能向上(D値で約+5)
  • 10万円コース:+15〜20dB程度の遮音性能向上(D値で約+10〜15)

例えば、D-35の木造アパートで10万円コースを施工すると、D-45〜50相当の遮音性能に改善できる可能性があります。

dB(デシベル)の減衰量について

音の大きさは「dB(デシベル)」で表され、人間の耳は10dBの減衰で音量が半分に感じます。

dBの減衰と体感音量の関係 - -3dB:わずかに小さくなった程度 - -10dB:音量が半分に感じる - -20dB:音量が1/4に感じる - -30dB:ほとんど聞こえなくなる

遮音シートや吸音材による防音対策で-10〜20dBの減衰が得られれば、近隣への音漏れを大幅に軽減できます。


防音材の種類と特徴詳細

防音材には大きく分けて「吸音材」と「遮音材」があり、それぞれ特性が異なります。適切な組み合わせが効果的な防音対策の鍵です。

吸音材の種類と特徴

1. グラスウール

特徴:

  • ガラス繊維を綿状にした素材
  • 建築用断熱材としても使われる
  • 低価格で高い吸音性能
  • 厚さ50mm以上が効果的

メリット:

  • コストパフォーマンスが非常に高い
  • 幅広い周波数帯域を吸音
  • 耐火性・断熱性にも優れる

デメリット:

  • 繊維が飛散するため、むき出しで使えない(不織布で包む必要がある)
  • 見た目が工業的
  • 湿気を吸うとカビが生えやすい

価格目安: 約¥500〜1,000/㎡

2. ロックウール

特徴:

  • 岩石を溶かして繊維化した素材
  • グラスウールと似た性質
  • より耐火性に優れる

メリット:

  • 高い吸音性能
  • 耐火性が非常に高い(不燃材料)
  • 長期間劣化しにくい

デメリット:

  • グラスウールより高価
  • 同じく繊維飛散対策が必要

価格目安: 約¥800〜1,500/㎡

3. ウレタンフォーム(ピラミッド型・波型)

特徴:

  • スポンジ状の発泡素材
  • ピラミッド型や波型の凹凸で音を拡散・吸収
  • レコーディングスタジオでよく使われる

メリット:

  • 見た目がプロフェッショナル
  • 軽量で施工が簡単
  • 中〜高音域の吸音に優れる

デメリット:

  • 低音域の吸音は弱い(厚さ5cm以上必要)
  • 紫外線で劣化しやすい
  • 防火性能が低い(難燃加工品を選ぶ)

価格目安: 約¥2,000〜4,000/㎡

4. フェルト系吸音材

特徴:

  • ポリエステルフェルトを高密度に圧縮
  • 繊維飛散がなく、安全
  • カラーバリエーションが豊富

メリット:

  • 見た目がきれい(インテリアとしても使える)
  • 繊維飛散がない
  • 厚さ0.9cm程度でも効果あり
  • 低〜中音域の吸音に優れる

デメリット:

  • 高音域の吸音はウレタンフォームに劣る
  • やや高価

価格目安: 約¥3,000〜5,000/㎡

遮音材の種類と特徴

1. 遮音シート(鉛入り・非鉛)

特徴:

  • 薄くて重い素材(質量則による遮音)
  • 厚さ1〜2mm程度
  • 柔軟性があり、施工しやすい

メリット:

  • 薄いのに高い遮音性能
  • 壁に貼るだけで施工可能
  • 非鉛タイプは安全性が高い

デメリット:

  • 単体では効果が限定的(吸音材との併用が必須)
  • 重いため、固定方法に工夫が必要

価格目安: 約¥1,500〜3,000/㎡

2. 石膏ボード

特徴:

  • 石膏を芯材に、両面を紙で挟んだボード
  • 厚さ9.5mm〜12.5mm
  • 建築材料として一般的

メリット:

  • 高い遮音性能(質量がある)
  • 耐火性に優れる
  • 安価

デメリット:

  • 重い(施工に力が必要)
  • カットに専用工具が必要
  • 見た目が無機質

価格目安: 約¥300〜500/枚(910mm×1,820mm)

吸音材と遮音材の組み合わせ方

効果的な防音には、「遮音→吸音」の順番で施工することが重要です。

【理想的な防音構造】

外部 → 遮音シート → 吸音材 → 室内
        ↓           ↓
      音を反射    反射音を吸収

遮音材だけでは音が反射して室内で反響し、吸音材だけでは音が外に漏れます。両方を組み合わせることで、「音を遮断しつつ、反響も抑える」理想的な防音環境が作れます。


防音の基礎知識:吸音と遮音の違い

防音対策を始める前に、吸音遮音の違いを理解しておくことが重要です。

吸音とは

吸音は、音のエネルギーを吸収して反響を減らすことです。

部屋の中で声が響きすぎる、マイクにエコーが入るといった問題を解決します。吸音材として使われるのは、ウレタンフォームやグラスウール、フェルトなどの多孔質素材です。

吸音の効果:

  • 部屋の反響(エコー)を抑える
  • マイクに入る音質を改善
  • クリアな声で配信できる

遮音とは

遮音は、音を遮断して外に漏らさない・外から入れないことです。

近隣への音漏れ防止や、外部の騒音をシャットアウトする効果があります。遮音には質量のある素材(遮音シート、石膏ボード、コンクリートなど)が有効です。

遮音の効果:

  • 部屋から外への音漏れを防ぐ
  • 外部の騒音を室内に入れない
  • 近隣トラブルを防止

ホームスタジオのセットアップ

配信者に必要なのは両方

配信者の防音対策ポイント 吸音:マイクへの反響を減らし、クリアな音質を実現 遮音:近隣への音漏れを防止し、トラブルを回避

両方を組み合わせることで、配信に適した環境が作れます。


予算別DIY防音ブース構築プラン

ここからは、予算別の具体的な構築プランを紹介します。


【予算3万円コース】デスク周りだけ吸音

コンセプト: マイク周辺の反響を抑えて、配信音質を改善

このコースは吸音がメインで、近隣への音漏れ防止効果は限定的です。一方、配信の音質は大幅に改善します。

必要な材料リスト

項目製品数量価格用途購入先
吸音パネル(フェルト系)YOPIN 高密度吸音材 24枚2セット¥9,996デスク背面・側面Amazon
吸音パネル(ウレタンフォーム)Vedcpel ピラミッド吸音材 12枚2セット¥4,652マイク正面(自分の背中側)Amazon
リフレクションフィルターMarantz Pro Sound Shield1個¥8,000マイク背後の反響防止Amazon・サウンドハウス
マイクアームAmazonベーシック マイクアーム1本¥3,500マイク位置の最適化Amazon
虫ピン・押しピン各種適量¥500吸音材の固定100均・ホームセンター
合計約¥26,648
作業時間目安約1〜2時間

設置手順

ステップ1:マイク背面の壁に吸音材を設置

  1. デスクの背面の壁に、YOPIN吸音材を縦90cm×横120cm程度の範囲に設置(約12枚)
  2. 虫ピンで固定(賃貸OK)
  3. 高さは座った時の肩〜頭の高さに合わせる

ポイント: マイクの真後ろを中心に、声が反射する壁面をカバーします。

ステップ2:マイク正面(自分の背後)に吸音材を設置

  1. 自分が座る位置の背後の壁に、ウレタンフォーム吸音材を設置(12枚程度)
  2. ピラミッド形状が音を拡散・吸収
  3. 同じく虫ピンで固定

ポイント: 自分の声がマイクに届く前に、背後の壁で反射した音を吸収します。

ステップ3:デスク左右の壁に吸音材を設置

  1. 残ったYOPIN吸音材をデスク左右の壁に分散配置(各6枚程度)
  2. フラッターエコー(平行する壁の間での反響)を抑制

ステップ4:リフレクションフィルターを設置

  1. マイクアームにリフレクションフィルターを取り付け
  2. マイクの背後に配置し、デスク背面からの反射音を防ぐ

ステップ5:マイクの位置調整

  1. マイクを口元5〜10cmの位置に配置
  2. 角度は口の正面ではなく、斜め15〜45度

吸音パネルの設置例

期待できる効果

  • 部屋の反響が大幅に減少
  • マイクに入る音がクリアになる
  • 配信音質が明らかに向上
  • 原状回復が容易(虫ピンの穴は目立たない)
  • 近隣への音漏れ防止効果は限定的
  • 深夜の大声配信には不向き
  • 外部からの騒音は入ってくる

このコースがおすすめの人

  • 配信音質を改善したい
  • 予算を抑えたい
  • RC造など、ある程度の遮音性がある物件に住んでいる
  • 深夜配信はせず、常識的な時間帯に配信する

【予算5万円コース】壁一面+天井の吸音+遮音シート

コンセプト: 吸音+遮音の組み合わせで、本格的な防音対策

このコースは吸音+遮音を組み合わせ、音質改善と音漏れ軽減の両方を狙います。

必要な材料リスト

項目製品数量価格用途購入先
吸音パネル(フェルト系)Moon River 吸音材 36枚2セット¥17,160壁一面+天井Amazon
遮音シートsaegiri 日本製遮音シート 12枚3セット¥8,340吸音材の下地Amazon・楽天
吸音パネル(ウレタンフォーム)YOPIN ピラミッド吸音材 24枚1セット¥5,083天井用Amazon
リフレクションフィルターsE Electronics Reflexion Filter X1個¥15,000マイク背後サウンドハウス・Amazon
マイクアームRODE PSA11本¥13,200高品質アームサウンドハウス・Amazon
両面テープ(剥がせる)3M はがせる両面テープ3巻¥2,400遮音シート固定Amazon・ホームセンター
合計約¥61,183
作業時間目安約2〜3時間

※予算を5万円以内に抑える場合は、リフレクションフィルターとマイクアームを3万円コースの製品に変更してください(約¥11,500の削減)。

設置手順

ステップ1:遮音シートを壁に貼る

  1. デスク背面の壁一面(約3.6m × 2.4m)に遮音シートを貼る
  2. 剥がせる両面テープで固定(賃貸OK)
  3. シート同士は隙間なく密着させる
  4. 重ねて貼ることで遮音効果が向上

ポイント: 遮音シートは吸音材の下地として使います。音を反射させず、吸音材に届く前に遮音します。

ステップ2:吸音材を壁全体に設置

  1. 遮音シートの上から、Moon River吸音材を壁一面に貼る(約50〜60枚)
  2. 虫ピンまたは剥がせる両面テープで固定
  3. 市松模様やランダムパターンで配置すると見た目も良い

ステップ3:天井に吸音材を設置

  1. デスク上部の天井(約1.8m × 1.2m)にウレタンフォーム吸音材を設置(約12〜18枚)
  2. 剥がせる両面テープで固定
  3. ピラミッド形状が天井からの反射を抑制

ポイント: 天井からの反射は見落とされがちですが、配信音質に大きく影響します。

ステップ4:リフレクションフィルターとマイク設置

  1. マイクアームにリフレクションフィルターを取り付け
  2. マイクを口元5〜10cmの位置に配置

ホームスタジオの音響設備

期待できる効果

  • 部屋の反響がほぼゼロになる
  • 近隣への音漏れが約10〜15dB軽減(音量が半分以下に)
  • 外部からの騒音も軽減
  • プロレベルの配信音質
  • 壁全面の施工は時間がかかる(2〜3時間)
  • 遮音シートだけでは完全防音にはならない
  • 部屋の見た目が大きく変わる

このコースがおすすめの人

  • 本格的に配信活動を続けたい
  • 深夜配信もしたい(ただし大声は控えめに)
  • 木造・軽量鉄骨造など、遮音性が低い物件に住んでいる
  • 長期的に同じ部屋で配信する予定

【予算10万円コース】簡易防音ブース構築

コンセプト: デスク周りを囲む簡易防音ブースを自作

このコースは、市販の「だんぼっち」のような簡易防音ブースをDIYで構築します。

必要な材料リスト

項目製品数量価格用途購入先
遮音シートセンタビ屋 遮音シート 10m4巻¥15,840ブースの外壁Amazon・楽天
吸音パネル(フェルト系)大容量吸音パネル 120枚1セット¥21,880ブース内壁Amazon
吸音パネル(ウレタンフォーム)TroyStudio 吸音材 36枚2セット¥14,998天井+補強Amazon
木材(2×4材)長さ240cm×6本、180cm×4本1セット¥8,000ブースのフレームホームセンター(カット依頼可)
石膏ボード厚さ12.5mm 3枚3枚¥3,600遮音強化ホームセンター
突っ張り式パーツLABRICO アジャスター6個¥6,000柱の固定(賃貸OK)Amazon・ホームセンター
リフレクションフィルターsE Electronics RF Pro1個¥27,500マイク背後サウンドハウス・Amazon
換気ファン(USB)小型換気ファン1個¥3,500ブース内の換気Amazon
合計約¥101,318
作業時間目安約5〜8時間(1日作業)

必要な工具リスト

10万円コースは本格的なDIYになるため、以下の工具が必要です。

工具用途価格目安購入先
電動ドライバー石膏ボードの固定¥5,000〜ホームセンター・Amazon
ノコギリまたは丸ノコ木材のカット¥1,000〜(ノコギリ)/ ¥8,000〜(丸ノコ)ホームセンター
メジャー・水平器寸法測定・水平確認¥1,000〜100均・ホームセンター
カッターナイフ遮音シート・吸音材のカット¥300〜100均・ホームセンター
定規(長尺)直線カット用¥500〜ホームセンター

工具がない場合のコスト削減方法:

  • 木材カットはホームセンターで依頼(1カット50円程度)
  • 電動ドライバーはレンタル(1日500円〜)
  • 友人・家族から借りる

設置手順

ステップ1:ブースのフレームを組む

  1. 2×4材とLABRICOアジャスターで、デスク周りに柱を立てる(賃貸OK)
  2. 4本の柱で四角形のフレームを作る
  3. 天井までの高さ(約240cm)で設置

サイズ目安: 幅150cm × 奥行き120cm × 高さ240cm(デスクと椅子が入るサイズ)

ステップ2:フレームに石膏ボードを取り付ける

  1. フレームの外側に石膏ボードを3面(背面・左右)に取り付け
  2. ネジで固定(LABRICO使用なら天井に穴を開けない)
  3. 石膏ボードは質量のある遮音材として機能

ステップ3:遮音シートを貼る

  1. 石膏ボードの上から、遮音シートを全面に貼る
  2. 隙間なく密着させることが重要
  3. 両面テープで固定

ステップ4:吸音パネルを内壁に貼る

  1. ブース内側の壁全面に、フェルト系吸音パネルを貼る(約80〜100枚)
  2. 虫ピンまたは両面テープで固定
  3. デッドな音響環境を作る

ステップ5:天井に吸音材を設置

  1. ブース上部の天井にウレタンフォーム吸音材を貼る(約30枚)
  2. ピラミッド形状で反射を防ぐ

ステップ6:換気ファンを設置

  1. ブース上部または側面に小型換気ファンを設置
  2. USB電源で動作
  3. 長時間配信時の換気対策

防音スタジオの内部

期待できる効果

  • 簡易防音ブースと同等の遮音性能(約-20〜25dB)
  • 市販品(だんぼっち約23万円)の半額以下
  • 完全にカスタマイズ可能
  • 深夜配信でも近隣への音漏れを大幅軽減
  • 施工に時間がかかる(1日作業)
  • DIYスキルが必要
  • 部屋のスペースを大きく占有
  • 夏場は暑い(換気ファン必須)
  • 見た目が本格的すぎる

このコースがおすすめの人

  • DIYが得意で時間がある
  • 深夜配信やゲーム実況で大声を出す
  • 長期的に本気で配信活動を続ける
  • 市販の簡易防音ブースを買う予算がない

賃貸でも安心な設置方法(傷をつけない工夫)

賃貸物件では原状回復義務があるため、壁や天井に傷をつけない施工が重要です。

吸音材の固定方法

方法1:虫ピン・押しピン(おすすめ)

特徴:

  • 穴が小さく、退去時に目立たない
  • 100均で購入可能
  • 軽い吸音材(フェルト系・ウレタンフォーム)に最適

使い方:

  1. 吸音材の四隅に虫ピンを刺す
  2. 壁に押し込む
  3. 1枚あたり4〜6本使用

方法2:剥がせる両面テープ

特徴:

  • 3Mの「はがせる両面テープ」が定番
  • 壁紙を傷めずに剥がせる
  • やや重い素材にも対応

使い方:

  1. 吸音材の裏面に両面テープを貼る
  2. 壁に押し付けて固定
  3. 剥がす時はゆっくり引っ張る

方法3:マジックテープ

特徴:

  • 着脱が簡単
  • 何度でも付け替え可能
  • 配置を変えたい時に便利

使い方:

  1. 吸音材にマジックテープ(フック側)を貼る
  2. 壁にマジックテープ(ループ側)を両面テープで貼る
  3. 取り外し可能

遮音シートの固定方法

遮音シートは重いため、剥がせる両面テープ+養生テープの併用がおすすめです。

手順:

  1. 遮音シートの四辺に剥がせる両面テープを貼る
  2. 壁に貼り付ける
  3. 継ぎ目を養生テープで補強
  4. 剥がす時は両面テープごとゆっくり引っ張る

柱の立て方(10万円コース)

LABRICO(ラブリコ)アジャスターを使用すれば、天井・床に穴を開けずに柱を立てられます。

仕組み:

  • 2×4材の上下にLABRICOアジャスターを取り付け
  • 突っ張り棒の要領で天井と床の間に固定
  • 耐荷重は約20kg(柱1本あたり)

効果を最大化する吸音材の配置パターン

吸音材は「どこに貼るか」が重要です。

基本原則:音の反射経路を遮断する

音は壁に当たって反射し、マイクに戻ってきます。この反射経路を吸音材で遮断することが重要です。

吸音材を配置すべき優先順位
1位マイクの真後ろの壁(最優先)
2位話者の背後の壁
3位左右の壁(平行面)
4位天井
5位床(カーペット・ラグで代用可)

デスク周りの吸音パターン

【上から見た図】

        壁(背面)
    吸音材●●●●●●
         │
    ┌────┴────┐
壁  │  デスク   │  壁
●  │          │  ●
●  │    🪑    │  ●
●  │   人     │  ●
    │          │
    └──────────┘
      マイク🎤
        ↓
    吸音材●●●

ポイント:

  • マイクの後ろ(デスク背面の壁)を最優先
  • 次に人の背後(マイク正面の壁)
  • 左右の壁は平行するため、フラッターエコー対策として両方に配置

天井の吸音パターン

天井からの反射は見落とされがちですが、声が上に向かって反射し、マイクに戻ってきます。

推奨配置:

  • デスク上部の天井(約1.8m × 1.2m)に集中配置
  • ピラミッド形状のウレタンフォームが効果的
  • 全面を覆う必要はなく、ポイントを押さえる

完成後のメンテナンス

防音ブースを構築した後も、定期的なメンテナンスが必要です。適切な手入れで長期間効果を維持できます。

吸音材の掃除方法

吸音材は埃を吸着しやすいため、定期的な掃除が必要です。

フェルト系吸音材

掃除頻度: 3ヶ月に1回

方法:

  1. 掃除機のブラシアタッチメントで表面の埃を吸い取る
  2. 軽く叩いて埃を落とす
  3. 汚れがひどい場合は、中性洗剤で手洗い可能(よく乾燥させる)

ウレタンフォーム系吸音材

掃除頻度: 6ヶ月に1回

方法:

  1. 掃除機のブラシアタッチメントで表面の埃を吸い取る
  2. 水洗い不可(変形・劣化の原因)
  3. 消臭スプレー(無香料)で消臭可能

吸音材の交換時期

吸音材は消耗品のため、定期的な交換が必要です。

吸音材の交換時期目安
フェルト系吸音材3〜5年(へたりや変色が目安)
ウレタンフォーム2〜3年(紫外線劣化・変形が目安)
遮音シート半永久的(物理的な破損がなければ交換不要)

交換のサイン:

  • 吸音材が変色している
  • 表面がボロボロになっている
  • 厚みが薄くなっている(圧縮された状態)
  • カビが生えている

カビ対策

防音ブースは密閉空間のため、湿気がこもりやすくカビが発生するリスクがあります。

予防策

  1. 定期的な換気

    • 配信後は必ず換気する(5〜10分)
    • 除湿機・サーキュレーターを使用
    • 夏場は特に注意
  2. 除湿剤の設置

    • ブース内の隅に除湿剤を置く
    • 2ヶ月に1回交換
  3. 換気ファンの常時稼働

    • 10万円コースの換気ファンは常時稼働推奨
    • USB扇風機で空気を循環させる

カビが生えてしまった場合

  1. 該当部分の吸音材を撤去・廃棄
  2. 壁をアルコール除菌
  3. 完全に乾燥させてから新しい吸音材を設置
  4. カビの原因(換気不足・湿気)を解決

遮音シートの点検

遮音シートは半永久的に使えますが、定期的な点検が必要です。

点検項目:

  • 両面テープが剥がれていないか
  • シート同士の継ぎ目に隙間ができていないか
  • 破れや穴がないか

剥がれや隙間があると遮音効果が低下するため、養生テープで補強しましょう。


簡易防音ブース vs DIY 詳細コスト比較

市販の簡易防音ブースとDIYを詳細に比較します。

市販の簡易防音ブース一覧

製品名価格遮音性能サイズメリットデメリット
だんぼっち¥229,900〜-30dB程度幅110×奥行110×高さ164cm組み立て簡単・デザイン良好非常に高価・夏場暑い
VERY-Q VQ880SS¥159,500〜-25dB程度幅88×奥行88×高さ200cm比較的安価・コンパクト狭い・遮音性能は控えめ
VERY-Q VQP960¥347,600〜-30dB程度幅96×奥行96×高さ200cm高性能・広い非常に高価
Amazonオリジナル防音ブース¥89,800〜-15〜20dB程度幅90×奥行90×高さ180cm価格が安い遮音性能が低い

DIY vs 市販品の詳細比較

項目DIY 3万円DIY 5万円DIY 10万円だんぼっちVERY-Q VQ880SS
初期費用¥26,648¥61,183¥101,318¥229,900¥159,500
遮音性能ほぼなし-10〜15dB-20〜25dB-30dB-25dB
吸音性能
組み立て時間1〜2時間2〜3時間5〜8時間1〜2時間1〜2時間
DIYスキル不要ほぼ不要必要不要不要
カスタマイズ性高い高い非常に高い低い低い
見た目DIY感ありDIY感あり本格的洗練シンプル
原状回復容易容易やや手間容易容易
換気性良好良好要工夫悪い悪い
拡張性高い高い高い低い低い

コストパフォーマンス分析

DIYが有利なケース:

  • 予算を抑えたい(10万円以下)
  • 配信音質の改善がメイン目的
  • カスタマイズしたい(サイズ・色・配置)
  • DIYを楽しめる

市販品が有利なケース:

  • 予算が20万円以上ある
  • すぐに使いたい(組み立て時間を節約)
  • DIYスキルがない
  • デザイン性を重視
  • 高い遮音性能が必要(だんぼっちレベル)

長期的なコスト比較(5年間)

コース初期費用メンテナンス費用(5年)合計
DIY 3万円¥26,648¥10,000(吸音材交換)¥36,648
DIY 5万円¥61,183¥15,000(吸音材交換)¥76,183
DIY 10万円¥101,318¥20,000(吸音材交換)¥121,318
だんぼっち¥229,900¥30,000(吸音材・換気ファン交換)¥259,900

5年間の総コストで見ても、DIYは市販品の約半額で済みます。


防音ブースの安全性と注意事項

防音ブースは密閉空間になるため、安全性への配慮が重要です。

換気の重要性:CO2濃度と酸欠のリスク

密閉された防音ブースで長時間配信すると、CO2濃度が上昇し、酸欠状態になるリスクがあります。

CO2濃度と人体への影響 - 400〜1,000ppm:正常(屋外と同等) - 1,000〜2,000ppm:眠気・集中力低下 - 2,000〜5,000ppm:頭痛・倦怠感 - 5,000ppm以上:酸欠症状・健康被害

簡易防音ブースでは、30分〜1時間で1,000ppmを超えることがあります。

換気対策

必須対策

  1. 換気ファンの設置(10万円コース必須)

    • USB式の小型換気ファンをブース上部に設置
    • 常時稼働または30分ごとに換気
  2. 定期的な換気休憩

    • 1時間ごとに5分間の換気休憩
    • ブースのドア・カーテンを開けて外気を入れる
  3. CO2センサーの設置(推奨)

    • 小型CO2センサー(¥3,000〜)で濃度をモニタリング
    • 1,500ppmを超えたらアラームが鳴る設定

推奨対策

  • サーキュレーターで室内全体の空気を循環
  • 配信中もブースの隙間を少し開けておく(遮音性は若干低下)
  • 深夜の長時間配信は避ける

防火性能についての注意事項

吸音材の多くは可燃性素材のため、火災リスクへの配慮が必要です。

防火対策

  1. 難燃加工品を選ぶ

    • ウレタンフォームは「難燃加工」「防炎加工」の製品を選ぶ
    • フェルト系はポリエステル製が比較的安全
  2. 火気を近づけない

    • ブース内でタバコを吸わない
    • 照明は発熱しないLED照明を使用
    • ヒーターなどの暖房器具を置かない
  3. 配線に注意

    • 電源タップの過負荷に注意(容量1,500W以下)
    • 配線が吸音材に挟まれないようにする
    • たこ足配線は避ける
  4. 火災報知器の設置

    • 部屋に火災報知器を設置(賃貸なら確認)
    • ブース内に煙感知器を設置(推奨)

その他の注意事項

  • 長時間配信での健康管理:適度な休憩・水分補給
  • 閉所恐怖症の方:簡易ブースは向かない(3〜5万円コース推奨)
  • 地震対策:LABRICO使用時は耐震マットで補強

よくある質問

吸音材を貼りすぎると声がこもりますか?
はい、吸音しすぎると「デッド」な音響になり、声が不自然にこもります。特にウレタンフォームは高音域を強く吸音するため、適度な配置が重要です。フェルト系とウレタンフォームを組み合わせることで、バランスの良い音響が作れます。
遮音シートだけで防音できますか?
遮音シートだけでは不十分です。遮音シートは音を反射させるため、吸音材と組み合わせないと部屋の中で音が反響してしまいます。「遮音シート→吸音材」の順で施工することで、音を遮断しつつ反響も抑えられます。
床にも吸音材を敷くべきですか?
床は優先順位が低いです。カーペットやラグで十分な効果が得られます。予算が余った場合や、足音対策が必要な場合に検討しましょう。
市販の簡易防音ブース(だんぼっち)と比較してどうですか?
DIYの10万円コースは、だんぼっち(約23万円)と同等の遮音性能が期待できます。ただし、施工に時間がかかり、見た目も本格的になります。一方、だんぼっちは組み立てが簡単で、デザインも洗練されています。DIYスキルと予算次第で選びましょう。

まとめ:予算と目的に合わせて選ぼう

この記事では、予算別の防音ブース構築プランを紹介しました。

まとめ

予算別おすすめコース 3万円コース:配信音質の改善がメイン。賃貸RC造で深夜配信しない人向け。

5万円コース:吸音+遮音の本格対策。木造・軽量鉄骨造で深夜配信もしたい人向け。

10万円コース:簡易防音ブースをDIY。市販品の半額で本格的な遮音性能を実現。DIYスキルがある人向け。

まとめ

重要なポイント 1. 吸音と遮音を組み合わせる:音質改善と音漏れ防止の両方が重要 2. マイク周辺から始める:全面施工は不要、ポイントを押さえる 3. 賃貸でも原状回復可能:虫ピンや剥がせる両面テープを使用 4. 段階的に拡張:まず3万円コースから始めて、必要に応じて追加

防音対策は一度に完璧を目指す必要はありません。まずは3万円コースから始めて、効果を実感してから拡張していくことをおすすめします。

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画像クレジット

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  • A professional recording studio with soundproofing and equipment: Photo by Soundsitive Studio on Unsplash
  • a desk with a computer and a chair in a room: Photo by Nubelson Fernandes on Unsplash
  • A close up of a wall with a number of objects on it: Photo by Şahin Sezer Dinçer on Unsplash
  • Recording studio with keyboard, microphone, and guitar: Photo by Soundsitive Studio on Unsplash
  • black flat screen tv turned on near white wall: Photo by Chuck Fortner on Unsplash

よくある質問

Q3万円でどの程度の防音効果が得られますか?
A
3万円コースは「吸音」がメインで、部屋の反響を抑えて配信音質を向上させる効果があります。近隣への音漏れを完全に防ぐことはできませんが、デスク周りの音環境を大幅に改善できます。マイクに入る反響が減り、声がクリアに聞こえるようになります。
Q賃貸でも原状回復できますか?
A
はい、この記事で紹介する全ての方法は原状回復可能です。壁への取り付けは虫ピンや剥がせる両面テープを使用し、遮音シートも貼るだけで施工できます。退去時に元に戻せるように設計されています。
Q防音と吸音の違いは何ですか?
A
防音(遮音)は音を外に漏らさない・外から入れないこと、吸音は部屋の中で音が反響するのを抑えることです。配信では両方が重要で、吸音で音質を改善し、遮音で近隣への音漏れを防ぎます。
Q壁一面に吸音材を貼る場合、何枚必要ですか?
A
6畳部屋の壁一面(約3.6m × 2.4m)をカバーする場合、30cm×30cmの吸音パネルなら約96枚必要です。ただし、全面を覆う必要はなく、マイク周辺を中心に2〜3㎡(約20〜30枚)から始めることをおすすめします。
Q簡易防音ブースと吸音材施工、どちらがおすすめ?
A
予算が15万円以上あり、近隣への音漏れが心配なら簡易防音ブース(だんぼっち等)がおすすめです。一方、配信音質の改善がメインで予算を抑えたい場合は、吸音材+遮音シートの組み合わせが効果的です。
Q防音ブースは夏場暑くないですか?
A
簡易防音ブースは密閉空間のため、夏場は非常に暑くなります。換気ファンの設置(オプション)やUSB扇風機の導入、配信時間を涼しい時間帯にずらすなどの対策が必要です。スポットクーラーの導入も効果的ですが、高価です。
Q吸音材の厚さはどれくらいが良いですか?
A
フェルト系吸音材は0.9cm以上、ウレタンフォーム系は5cm程度が効果的です。薄すぎると吸音効果が限定的で、特に低音域の吸音には厚めの素材が必要です。予算と効果のバランスを考えて選びましょう。

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DIY防音ブース構築ガイド

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この記事を書いた人

TK

モリミー

Webエンジニア / テクニカルライター / マーケター

都内で働くWebエンジニア。テクニカルライターをしています。 映画やゲームが好きです。

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