MrBeastがフィンテックアプリ「Step」を買収|クリエイターが金融ビジネスに進出する時代が来た
MrBeastがフィンテックアプリ「Step」を買収|クリエイターが金融ビジネスに進出する時代が来た
「YouTuberの収入源はアドセンスとスポンサー案件」——そんな常識が、いよいよ過去のものになりつつあります。
2026年2月、世界最大のYouTuberであるMrBeast(ミスタービースト)が、Gen Z向けフィンテックアプリ「Step」を買収したことが報じられました。チョコレートブランド「Feastables」、ハンバーガーチェーン「MrBeast Burger」に続く大型ビジネス展開です。
この記事では、MrBeastのStep買収が意味すること、クリエイターエコノミーが金融業界に拡大する背景、そして日本のYouTuberや配信者が今から学ぶべきビジネス多角化の戦略を解説します。
MrBeastのStep買収とは何が起きたのか
Stepとはどんなアプリか
Step(ステップ)は、主にGen Z(Z世代)をターゲットにした米国のフィンテックアプリです。2020年にサービスを開始し、以下の機能を提供しています。
- デビットカード機能: 銀行口座不要で利用できるティーン向けカード
- 金融リテラシー教育: アプリ内で貯蓄や投資の基礎を学べるコンテンツ
- ペアレンタルコントロール: 保護者がリアルタイムで子どもの支出を管理
- 報酬プログラム: 利用額に応じたキャッシュバックやポイント
Stepはサービス開始からわずか数年で数百万人のユーザーを獲得し、累計で2億ドル以上の資金調達を行っていました。
なぜMrBeastがフィンテックに手を出したのか
MrBeastのチャンネル登録者数は3億人を超えており、その視聴者層の中心はまさに10代〜20代前半のGen Zです。Stepのターゲット層と完全に一致しています。
MrBeastのビジネス展開には一貫したパターンがあります。
- 自身の視聴者データを活用する: 何千万人もの若年層ファンベースを持つ
- 既存ブランドに依存しない: 自ら商品・サービスを作るか買収する
- コンテンツとビジネスを統合する: 動画企画とビジネスを相互に強化する
Feastablesは「チョコレート工場を買った」動画で爆発的に認知を広げました。MrBeast Burgerはデリバリー専門のゴーストキッチンとしてスタートし、全米でフランチャイズ展開しました。そして今回のStepは、「若者の金融リテラシー」というMrBeastのコンテンツテーマとも自然に接続できる領域です。
買収の規模と戦略的意味
MrBeastの会社が買収したStepの詳細な買収額は公表されていませんが、The Vergeの報道によると、MrBeast率いる企業体がStep社を直接取得したとされています。
この動きが注目される理由は明確です。
- クリエイターが「メディア企業」から「金融企業」へ: コンテンツ制作者がテクノロジー企業を所有する時代
- インフルエンサーマーケティングの次のフェーズ: 商品を紹介するのではなく、商品そのものを持つ
- ファンベースの「経済圏化」: 視聴者を顧客に変える仕組みの構築
クリエイターエコノミーの進化|なぜ「本業以外」が重要になったのか
アドセンス依存の限界
YouTubeの広告収入(AdSense)は、クリエイターにとって最も基本的な収入源です。しかし、その限界はすでに明らかになっています。
| 指標 | 現実 |
|---|---|
| CPM(1000回再生あたりの広告収入) | 日本市場で300〜800円が相場 |
| 収益の変動 | 広告市場の景気に左右される |
| プラットフォーム依存 | YouTube側のポリシー変更で急変する |
| 競争の激化 | 新規参入者の増加でCPMは長期的に下落傾向 |
月100万回再生を達成しても、アドセンスだけでは月30万〜80万円程度。これだけで安定した生活基盤を築くのは困難です。
多角化の3つのフェーズ
クリエイターのビジネス多角化は、以下の3段階で進化してきました。
フェーズ1: コンテンツ収益(2010年代前半)
- YouTube AdSense
- スーパーチャット・メンバーシップ
- 配信の投げ銭
フェーズ2: ブランド連携&自社商品(2010年代後半〜2020年代前半)
- スポンサー案件・タイアップ
- オリジナルグッズ販売
- ファンクラブ・サブスクリプション
フェーズ3: 事業投資・企業買収(2020年代後半〜現在)
- 自社ブランドの立ち上げ(D2C)
- テクノロジー企業への投資・買収
- 金融・教育・ヘルスケアなど異業種への進出
MrBeastのStep買収は、このフェーズ3の象徴的な事例です。
海外クリエイターの多角化事例
MrBeast以外にも、多くの海外クリエイターがビジネスの多角化に成功しています。
Logan Paul & KSI → PRIME エナジードリンクブランド「PRIME」を共同設立。発売初年度で約2.5億ドルの売上を達成し、全米のスーパーで取り扱われるまでに成長しました。
Emma Chamberlain → Chamberlain Coffee コーヒーブランドを立ち上げ、D2Cからスタートして大手小売チェーンへの卸売りにも拡大。推定企業価値は数千万ドル規模です。
Marques Brownlee(MKBHD)→ Panels テック系YouTuberのMKBHDは壁紙アプリ「Panels」をリリース。テクノロジーレビューの知見を活かしたプロダクト開発に乗り出しました。
Ryan Kaji → Ryan's World 子ども向けチャンネルから始まり、おもちゃ、衣類、歯ブラシまで300以上の商品をライセンス展開。年間売上は推定数億ドル規模です。
これらの事例に共通するのは、「自分の視聴者が何を求めているか」を深く理解し、その需要にダイレクトに応えるプロダクトを提供していることです。
日本のクリエイターが学ぶべき5つの教訓
1. ファンベースを「顧客基盤」として再定義する
多くのYouTuberは登録者数や再生回数をKPIにしていますが、MrBeastはファンベースを「潜在顧客」として捉えています。
日本のクリエイターでも、HIKAKINのブランド展開やはじめしゃちょーのプロデュース活動など、ファンベースを活用したビジネスが増えています。ただし、海外と比較するとまだ規模は小さく、成長の余地は大きいと言えます。
2. 「自分が使うもの」から事業アイデアを見つける
Step買収が巧みなのは、MrBeast自身が「若者の金融教育」に関心を持ち、自分のコンテンツとも自然にリンクする領域だったことです。
ビジネスアイデアの見つけ方として、以下のフレームワークが有効です。
- 自分が日常的に使っているツールやサービス → それを自分で作れないか?
- 視聴者からよく聞かれる質問 → その答えを商品化できないか?
- 配信・編集のワークフローで不満に思うこと → その解決策を提供できないか?
たとえば、配信者なら「初心者向けの配信セットアップキット」をキュレーション販売する、ゲーム実況者なら「おすすめゲーミングデバイスのサブスクボックス」を展開する、といった発想が考えられます。
3. コンテンツとビジネスの「相互強化ループ」を作る
MrBeastの強みは、ビジネスとコンテンツが互いに強化し合う仕組みを持っていることです。
コンテンツ → 認知拡大 → ビジネスの顧客獲得
↑ ↓
ネタ・企画 ← ビジネスの展開や裏側
Feastablesの工場見学動画は数千万回再生を記録し、それ自体がチョコレートの宣伝になっています。Step買収後も、「金融アプリを作ったらどうなるか」「若者にお金の使い方を教えてみた」といった企画が容易に想像できます。
日本のクリエイターも、グッズ販売なら「グッズ制作の裏側」を動画にする、イベントを開催するなら「イベント準備のドキュメンタリー」を配信するなど、ビジネス活動そのものをコンテンツに昇華させることが可能です。
4. 段階的に規模を拡大する
MrBeastのビジネス拡大は一気に進んだわけではありません。
| 時期 | ビジネス | 規模 |
|---|---|---|
| 初期 | オリジナルグッズ | 数百万円規模 |
| 中期 | Feastables(チョコレート) | 推定数十億円 |
| 中期 | MrBeast Burger | 全米フランチャイズ |
| 現在 | Step(フィンテック) | テクノロジー企業の買収 |
いきなり企業を買収する必要はありません。日本のクリエイターが参考にすべきステップは以下の通りです。
- オリジナルグッズ: SUZURIやBASEで低リスクに始める
- デジタルコンテンツ: 有料note、オンライン講座、テンプレート販売
- 自社ブランド: OEMで自分ブランドの商品を作る
- 事業展開: 法人化してサービスや店舗を運営
5. 「クリエイター=メディア企業」のマインドセットを持つ
MrBeastは自身を「YouTuber」ではなく「メディア企業のCEO」と位置づけています。数百人のスタッフを抱え、複数のチャンネルと事業を運営する組織です。
もちろん、すべてのクリエイターがこの規模を目指す必要はありません。しかし、「個人の趣味」から「ビジネス」への意識転換は、収益を安定させるうえで極めて重要です。
具体的には、以下のマインドシフトが求められます。
- 「再生数を追う」→「収益構造を設計する」: 再生数が伸びなくても利益が出る仕組みを考える
- 「バズを狙う」→「資産を積み上げる」: 一時的なバズより、長期的に価値が残るコンテンツやブランドを構築する
- 「一人でやる」→「チームを作る」: 編集、企画、営業など、得意でない部分を任せられる体制を作る
クリエイターエコノミーの未来|金融・テクノロジーとの融合
「クリエイターバンク」の可能性
MrBeastのStep買収は、クリエイターが金融サービスを直接提供する時代の幕開けを示唆しています。
今後予想される展開として、以下が挙げられます。
- クリエイター独自のポイント経済圏: ファンコミュニティ内で使えるトークンやポイント
- 金融教育コンテンツとサービスの統合: 動画で学び、アプリで実践する
- クリエイターブランドのクレジットカード: ファンが日常的に使うカードにクリエイターブランドを載せる
プラットフォーム側の動き
YouTube、TikTok、Instagramなどのプラットフォーム側も、クリエイターのビジネス展開を後押しする機能を次々と追加しています。
- YouTube Shopping: 動画内で直接商品を販売できる機能
- TikTok Shop: ライブ配信中に商品を販売できるeコマース機能(日本でもクリエイター20万人が参加)
- Instagram Subscriptions: 月額課金型のファンサブスクリプション
これらの機能は、クリエイターが「広告収入に頼らない収益モデル」を構築するための土台となっています。
日本市場の可能性と課題
日本のクリエイターエコノミー市場は成長中ですが、海外と比較すると以下の課題があります。
- ファンの熱量が高く、課金率が世界トップクラス
- メンバーシップやスーパーチャットの利用率が高い
- 「推し活」文化がビジネスと自然に結びつく
- D2Cブランド立ち上げのノウハウが不足
- 投資・買収に踏み切れるクリエイターが少ない
- 法人化やビジネス運営の知識が共有されていない
- 「YouTuber=タレント」のイメージが根強く、経営者としての認知が薄い
ただし、この課題はそのまま「先行者利益を得られるチャンス」でもあります。日本で最初にクリエイター発の金融サービスやテクノロジープロダクトが登場すれば、大きな注目を集める可能性があります。
今日から始める3ステップ
MrBeastのような大規模な買収をする必要はありません。ただし、「コンテンツ以外の収入源」を考え始めることは、すべてのクリエイターにとって重要です。
- すぐにできること: YouTube Studioの「視聴者」タブを確認し、自分のファン層の年齢・性別・興味を分析する(5分)
- 今週中にやること: 自分のファンが「お金を払ってでも欲しいもの」を3つリストアップし、SNSでアンケートを取る
- 1ヶ月以内にやること: リストアップした中から1つ選び、最小限のコストで試してみる(デジタルコンテンツ販売が最もリスクが低い)
まとめ
まとめ
この記事のポイント - MrBeastがGen Z向けフィンテックアプリ「Step」を買収し、クリエイターの事業領域が金融にまで拡大した - クリエイターエコノミーは「広告収入」→「自社ブランド」→「企業買収・投資」と3段階で進化している - 日本のクリエイターも、ファンベースを「顧客基盤」として捉え、段階的にビジネスを多角化すべき今日からできること: YouTube Studioで自分のファン層を分析し、「この人たちが本当に欲しいものは何か」を考えてみてください。
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