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【配信者のための著作権講座】BGM・画像・ファンアートの正しい使い方|知らないと危険な基礎知識

【配信者のための著作権講座】BGM・画像・ファンアートの正しい使い方|知らないと危険な基礎知識

公開日
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⚠️ 著作権違反は一発でアウトになることも

「みんな使ってるから大丈夫」は通用しません。著作権侵害による動画削除、チャンネルBAN、最悪の場合は法的措置のリスクを正しく理解しましょう。

この記事でわかること

配信活動において、著作権は避けて通れない重要なテーマです。本記事では、配信者が日常的に使うBGM・画像素材・ファンアートの3つに焦点を当て、著作権の基礎から実践的な活用方法まで解説します。

  • 著作権の基本ルール:何が保護されるのか、どこまで使えるのか
  • BGMの正しい使い方:フリー素材の選び方、有料ライセンスの活用法
  • 画像素材の扱い方:スクリーンショット、ゲーム画面、フリー素材の注意点
  • ファンアートのルール:二次創作の扱い方、許可の取り方

なぜ著作権を理解する必要があるのか?

著作権侵害のリスク

著作権を侵害すると、以下のような深刻なリスクが発生します。

著作権侵害による影響

  • 動画の削除:Content ID や権利者からの通報により、動画が削除される
  • 収益化の停止:広告収益が得られなくなる、または権利者に全額配分される
  • チャンネルのペナルティ:著作権警告(ストライク)が累積するとチャンネルBAN
  • 法的措置:悪質な場合は損害賠償請求や刑事告訴の可能性

YouTubeの著作権警告システム

YouTubeでは、3回の著作権警告(コミュニティガイドライン違反)でチャンネルが永久停止されます。

  1. 1回目:著作権に関する教育動画の視聴が必要
  2. 2回目:2週間、新しい動画のアップロードができなくなる
  3. 3回目:チャンネルが永久停止され、すべての動画が削除される

一度停止されたチャンネルは復活できません。


著作権の基礎知識

著作権とは?

著作権とは、創作物(音楽、イラスト、文章、動画など)を作った人が持つ権利です。 著作権法では、以下のように定義されています。

著作物:思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの (著作権法第2条第1項第1号)

つまり、誰かが創作したもの(音楽、絵、写真、文章、動画など)には、原則として著作権が発生します。

著作権の保護期間

  • 原則:作者の死後70年間(2018年の法改正により50年→70年に延長)
  • 企業が著作権を持つ場合:公表後70年間
  • 映画:公表後70年間

著作権者の許可なしに使える場合

著作権法では、一定の条件下で著作物を無許可で使える「著作権の制限規定」が設けられています。

無許可で使える主なケース(私的使用の複製)

  • 私的使用のための複製(第30条):個人的または家庭内での使用に限る
  • 引用(第32条):批評・研究などの目的で、出典を明示し、主従関係が明確な場合
  • 教育目的(第35条):学校の授業など、一定の条件下

しかし、配信活動は「公衆送信」にあたるため、私的使用には該当しません。 つまり、配信で他人の著作物を使う場合は、原則として権利者の許可が必要です。


1. BGMの正しい使い方

配信で使えるBGMの種類

配信で使用できるBGMは、大きく分けて以下の3種類です。

種類説明メリットデメリット
フリー素材(パブリックドメイン)著作権が切れた音楽、または著作権者が放棄した音楽完全無料、制限なし選択肢が限られる
フリー素材(CC ライセンス)クリエイティブ・コモンズライセンスで公開された音楽無料または低価格、選択肢が豊富利用条件の確認が必要(商用利用可否、改変可否など)
ロイヤリティフリー音源一度購入すれば何度でも使える音楽高品質、商用利用OK有料(買い切りまたはサブスク)
著作権管理団体登録楽曲JASRACやNexToneに登録されている楽曲既存の有名曲が使えるプラットフォームが包括契約していない場合は使えない

YouTubeで使えるBGMサービス

1. YouTube オーディオライブラリ(完全無料)

YouTubeが公式に提供している無料の音楽・効果音ライブラリ。

YouTube オーディオライブラリのメリット

  • YouTube Studio から直接ダウンロード可能
  • 著作権の心配なし(Content ID の申し立てなし)
  • 商用利用OK
  • クレジット表記不要(一部の楽曲を除く)

アクセス方法:YouTube Studio → 左メニュー「オーディオライブラリ」

2. Artlist(有料サブスク)

プロのクリエイター向けの高品質な音楽素材サービス。

  • 料金:月額約$16.60〜(年間契約)
  • 特徴:映画やCM品質の楽曲、無制限ダウンロード、商用利用OK
  • ライセンス:サブスク期間中にダウンロードした楽曲は、解約後も使用可能

※出典:Artlist公式サイト

3. Epidemic Sound(有料サブスク)

YouTuber に人気の音楽素材サービス。

  • 料金:月額約$15〜(個人プラン)
  • 特徴:Content ID フリー、YouTube との連携機能あり
  • ライセンス:サブスク期間中は無制限に使用可能

※出典:Epidemic Sound公式サイト

4. DOVA-SYNDROME(無料)

日本の老舗フリーBGMサイト。

  • 料金:完全無料
  • 特徴:日本人クリエイターによる和風・ゲーム音楽が豊富
  • ライセンス:商用利用OK、クレジット表記推奨(任意)

※出典:DOVA-SYNDROME公式サイト

5. 魔王魂(無料)

日本で最も有名なフリーBGMサイトの一つ。

  • 料金:完全無料
  • 特徴:ゲーム実況・RPG風の楽曲が充実
  • ライセンス:商用利用OK、クレジット表記推奨(任意)

※出典:魔王魂公式サイト

市販の音楽(J-POP、洋楽など)は使えるのか?

⚠️ 原則として使用不可

市販の音楽(CDやサブスクで配信されている楽曲)を配信のBGMとして使用するには、権利者の許可が必要です。

ただし、YouTube や Twitch などのプラットフォームが、音楽著作権管理団体(JASRAC、NexTone など)と包括契約を結んでいる場合、一部の楽曲は使用できます。

YouTubeの場合

  • JASRACやNexToneが管理する楽曲は、一部使用可能
  • ただし、レコード会社(原盤権)の許可は別途必要
  • Content ID により、広告収益が権利者に配分される可能性が高い

Twitchの場合

  • 音楽著作権に関しては非常に厳しい
  • アーカイブやクリップで著作権侵害が検出されると、該当部分がミュートされる
  • Twitch Soundtrack(無料)を使うのが安全

BGM使用時の注意点

BGM使用のチェックリスト

  • ライセンスを確認:商用利用可能か、クレジット表記が必要か
  • プラットフォームのルールを確認:YouTube、Twitchで使用ルールが異なる
  • 概要欄にクレジット表記:フリー素材でも、提供元を明記するのがマナー
  • Content ID の影響を理解:収益化が制限される場合がある

2. 画像素材の正しい使い方

配信で使える画像の種類

配信で使用する画像は、以下のように分類されます。

種類説明著作権
自分で撮影・作成した画像自分で撮った写真、自作のイラスト自分に著作権がある
フリー素材サイトの画像著作権フリーまたはCCライセンスの画像サイトごとの利用規約に従う
ゲーム画面・スクリーンショットゲームのプレイ画面ゲームメーカーのガイドラインに従う
他人が撮影した写真Googleで拾った画像、SNSの画像原則使用不可
企業ロゴ・キャラクター画像公式サイトからダウンロードした画像原則使用不可(公式が許可している場合を除く)

フリー素材サイトの選び方

1. Unsplash(無料)

世界最大級の高品質な写真素材サイト。

  • 料金:完全無料
  • ライセンス:Unsplash License(商用利用OK、クレジット表記不要)
  • 特徴:プロカメラマンによる高解像度の写真

※出典:Unsplash公式サイト

2. Pixabay(無料)

写真・イラスト・動画まで揃う総合素材サイト。

  • 料金:完全無料
  • ライセンス:Pixabay License(商用利用OK、クレジット表記不要)
  • 特徴:日本語検索対応

※出典:Pixabay公式サイト

3. いらすとや(無料)

日本で最も有名なイラスト素材サイト。

  • 料金:基本無料(商用利用は1デザイン20点まで)
  • ライセンス:商用利用可(大量使用は有償契約が必要)
  • 特徴:親しみやすいタッチのイラスト

※出典:いらすとや公式サイト

4. PAKUTASO(無料)

日本人モデルの写真が豊富な素材サイト。

  • 料金:完全無料
  • ライセンス:商用利用OK、クレジット表記不要
  • 特徴:日本人モデル、日本の風景

※出典:PAKUTASO公式サイト

ゲーム画面・スクリーンショットの使用

ゲーム実況やレビュー動画でゲーム画面を使う場合、ゲームメーカーのガイドラインに従う必要があります。

主要メーカーのガイドライン

  • 任天堂:個人の配信・動画投稿はOK(収益化もOK)
  • カプコン:個人はOK、法人は個別許諾が必要
  • フロム・ソフトウェア:個人はOK
  • スクウェア・エニックス:タイトルごとに規定あり
  • セガ:タイトルごとに規定あり

詳しくは、別記事「【2025年版】ゲーム実況の著作権ガイドライン総まとめ」をご覧ください。

画像使用時の注意点

⚠️ こんな使い方はNG

  • Google画像検索で見つけた画像を無断使用
  • TwitterやInstagramの投稿画像を無断転載
  • 企業ロゴやキャラクターを無断使用
  • フリー素材サイトの画像を規約違反の方法で使用(商用NGなのに広告付き動画で使用など)

3. ファンアート・二次創作の扱い方

ファンアートとは?

ファンアートとは、既存の作品(アニメ、ゲーム、マンガなど)のキャラクターや世界観をもとに、ファンが自分で描いたイラストや創作物のことです。

ファンアートの著作権

ファンアートは、元の作品の著作権を侵害する可能性がある「二次創作」です。

⚠️ ファンアート=著作権侵害の可能性

ファンアートは、厳密には元の作品の複製権・翻案権を侵害する可能性があります。ただし、権利者が黙認しているケースが多いのが実態です。

配信でファンアートを使う場合のルール

1. 自分が描いたファンアートを使う場合

  • 原則:元の作品の権利者の許可が必要
  • 実態:権利者が二次創作ガイドラインを公開している場合、それに従えばOK

2. 他人が描いたファンアートを使う場合

⚠️ 二重の許可が必要

  1. 元の作品の権利者の許可(または二次創作ガイドラインに従う)
  2. ファンアートを描いた人の許可(ファンアート自体にも著作権が発生)

他人が描いたファンアートを無断で配信のサムネイルや素材に使うことは、ファンアート作者の著作権を侵害します。

二次創作ガイドラインの例

多くの作品では、二次創作に関するガイドラインが公開されています。

二次創作に寛容な作品の例

  • 東方Project:営利・非営利を問わず二次創作が許可されている
  • ウマ娘 プリティーダービー:二次創作ガイドラインあり(R18禁止など)
  • 初音ミク(ピアプロキャラクターズ):PCL(ピアプロ・キャラクター・ライセンス)で利用可能

※出典:ウマ娘 プリティーダービー 二次創作ガイドライン

ファンアート使用時のチェックリスト

ファンアートを使う前に確認すること

  • 元の作品の二次創作ガイドラインを確認
  • ファンアート作者に許可を取る(他人のファンアートを使う場合)
  • クレジット表記:ファンアート作者の名前やSNSアカウントを明記
  • 商用利用の可否を確認:収益化動画で使ってよいか

まとめ:配信者のための著作権3つの鉄則

著作権を守るための3つの鉄則

  1. 「使ってもいいか?」を常に確認する
    BGM、画像、ファンアートを使う前に、必ずライセンスやガイドラインを確認する習慣をつけましょう。
  2. 出典・クレジットを明記する
    フリー素材でも、提供元を明記するのはマナーであり、トラブル防止にもなります。
  3. 「知らなかった」は通用しない
    著作権侵害は、故意でなくても責任を問われます。不明な場合は使わないのが安全です。

困ったときの相談先

  • CRIC(著作権情報センター):著作権に関する一般的な相談が可能 ※出典:CRIC公式サイト
  • 各プラットフォームのヘルプセンター:YouTube、Twitchなどのヘルプページ

よくある質問(FAQ)

Q1. フリー素材サイトの音楽なら、どれを使っても大丈夫ですか?

A. フリー素材でも、サイトごとに利用規約が異なります。

  • 商用利用の可否
  • クレジット表記の必要性
  • 改変(編集)の可否
  • 再配布の禁止

これらを必ず確認してから使用しましょう。

Q2. YouTubeのContent IDって何ですか?

A. Content IDは、YouTubeが自動で著作権侵害を検出するシステムです。

  • 動画内の音楽や映像が、登録されたコンテンツと一致すると、権利者に通知されます
  • 権利者は、動画の削除収益の配分ブロック(視聴不可)などの対応を選択できます

Content IDの申し立てを受けても、著作権警告(ストライク)にはなりませんが、収益化が制限される可能性があります。

Q3. 「引用」なら無許可で使えると聞きましたが?

A. 著作権法の引用(第32条)は、一定の条件を満たせば無許可で使えますが、ハードルは高いです。

適法な引用の条件

  • 公表された著作物であること
  • 引用の必然性があること(批評、研究、解説など)
  • 主従関係が明確(自分のコンテンツがメイン、引用部分が従)
  • 出典を明示すること
  • 改変しないこと

BGMとして音楽を流す行為は、「引用」には該当しません。

Q4. 配信中にリスナーが投げ銭してくれた場合、著作権的に問題ありますか?

A. 投げ銭(スーパーチャット、ビッツなど)自体は問題ありませんが、配信内容が著作権を侵害していれば、収益化の有無に関わらず違法です。

Q5. ゲーム配信で、ゲーム内のBGMが流れても大丈夫ですか?

A. ゲームメーカーのガイドラインで許可されている範囲であれば問題ありません。 ただし、ゲーム内BGMだけを抜き出して「作業用BGM」としてアップロードする行為はNGです。

Q6. Twitterで見つけたファンアートを、配信のサムネイルに使っても大丈夫ですか?

A. 絶対にダメです。

他人が描いたファンアートにも著作権があります。無断使用は著作権侵害です。 必ず作者に許可を取りましょう。


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この記事を書いた人

TK

モリミー

Webエンジニア / テクニカルライター / マーケター

都内で働くWebエンジニア。テクニカルライターをしています。 映画やゲームが好きです。

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