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【2025年最新】日本の動画・配信業界を牽引する上場企業完全ガイド|主要プレイヤーと市場トレンド

【2025年最新】日本の動画・配信業界を牽引する上場企業完全ガイド|主要プレイヤーと市場トレンド

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日本の動画・配信業界を牽引する上場企業完全ガイド

動画配信・ライブ配信は、いまや私たちの生活に欠かせないエンターテインメントとなりました。YouTubeでの動画視聴、ABEMAでのスポーツ中継、にじさんじのVTuber配信、TikTokでのショート動画——これらのサービスを支えているのは、日本を代表する上場企業たちです。

本記事では、配信者・クリエイター、そして投資家の両方の視点から、日本の動画・配信業界を支える上場企業を徹底分析します。

この記事でわかること - 日本の動画・配信業界の市場構造と主要プレイヤー - 各上場企業の事業内容・強み・課題 - 業界の今後のトレンドと投資観点からの注目ポイント

1. 日本の動画・配信業界の概観

1-1. 市場規模と成長性

日本の動画配信市場は年々拡大を続けています。サブスクリプション型VOD(SVOD)、広告型VOD(AVOD)、ライブ配信、そしてクリエイターエコノミーを合わせると、2025年現在で数兆円規模の市場となっています。

特に注目すべきは以下のトレンドです:

  • 5G普及による高画質・低遅延配信の拡大
  • VTuber市場の急成長(にじさんじ、ホロライブなど)
  • ショート動画の爆発的普及(TikTok、YouTubeショート)
  • ライブコマースの台頭
  • AIを活用したコンテンツ制作・配信の効率化

1-2. 業界のバリューチェーン

動画・配信業界は、以下のような多層構造になっています:

動画・配信業界のバリューチェーン
コンテンツ制作アニメスタジオ、ゲーム会社、VTuber事務所
プラットフォームYouTube、ABEMA、ニコニコ、配信アプリ
技術・インフラ通信キャリア、CDN、配信技術
広告・マーケティング広告代理店、インフルエンサーマーケ
デバイス・ハードウェアスマートフォン、PC、配信機材

このように、日本の動画・配信業界はコンテンツから技術、流通、マーケティング、デバイスに至るまで、多様な上場企業がそれぞれの役割を担い、巨大なエコシステムを形成しています。次章以降で、これらの主要企業をさらに深く掘り下げて分析していきます。


2. 主要企業分析(カテゴリ別)

2-1. プラットフォーム運営:ユーザー接点を支配するプレイヤー

動画・ライブ配信がユーザーに届く「場」を提供する企業群は、巨大なトラフィックとユーザー基盤を武器に、業界を牽引しています。

1. 株式会社サイバーエージェント (CyberAgent, Inc. / 東証プライム: 4751)

  • 企業概要: インターネット広告事業を主軸に、メディア事業(ABEMA, Ameba)、ゲーム事業(ウマ娘 プリティーダービーなど)を展開する総合インターネット企業。
  • 動画・配信事業:
    • ABEMA: 24時間365日無料で見られるインターネットテレビ局。ニュース、アニメ、ドラマ、格闘技、オリジナル番組など多岐にわたるジャンルを配信。特にサッカーW杯全試合無料生中継などでユーザー数を大幅に伸ばした。月間アクティブユーザー数(MAU)は2,000万超。
    • OPENREC.tv: ゲーム実況とeスポーツに特化したライブ配信プラットフォーム。高画質・低遅延の配信環境と、プロゲーマーや人気ストリーマーとの連携を強みとする。
    • その他: インターネット広告事業では、動画広告市場の拡大を背景に、動画クリエイティブの制作から運用まで一貫して支援。
  • インターネット広告で培ったマーケティング力と資金力
  • ABEMAの多様なコンテンツラインナップと無料視聴戦略
  • ゲーム事業とのシナジー
  • ABEMAの収益化(投資先行フェーズ)と赤字解消が継続的な課題
  • NetflixやAmazon Prime Videoなどの巨大外資系VODサービスとの競争激化
  • 市場トレンドとの関連: 5G普及による動画視聴体験の向上を背景に、ABEMAは高品質なスポーツ中継やライブコンテンツを強化。AIを活用したコンテンツ推薦や広告最適化にも注力。メタバース領域では、グループ会社の「CyberAgent Legit」がダンスメタバースを展開。

2. 株式会社KADOKAWA (KADOKAWA CORPORATION / 東証プライム: 9468)

  • 企業概要: 出版事業を核に、映像、ゲーム、Webサービス、教育事業などを展開する総合メディア企業。
  • 動画・配信事業:
    • ニコニコ動画/ニコニコ生放送: ユーザーが動画や生放送を投稿・視聴できるプラットフォーム。コメントが動画上に流れる「流れるコメント」機能が特徴で、独特のコミュニティ文化を形成。政治、アニメ、ゲーム、VTuberなど幅広いジャンルのコンテンツを扱う。
    • その他: アニメコンテンツの制作・出資、映画配給など、動画コンテンツの創出にも積極的。
  • 長年にわたる出版・アニメ事業で培った豊富なIP
  • 熱量の高い独自のユーザーコミュニティ
  • 若年層のYouTube/TikTokへの移行によるユーザー離れ
  • プラットフォームの技術的な陳腐化と外資系プラットフォームとの機能差
  • 市場トレンドとの関連: VTuber文化の黎明期からプラットフォームとして貢献し、ANYCOLORとの関係性も深い。近年は収益改善に向けたプレミアム会員制度や広告事業の強化を進める。

3. 株式会社DeNA (DeNA Co., Ltd. / 東証プライム: 2432)

  • 企業概要: モバイルゲームを主軸に、Eコマース、スポーツ(横浜DeNAベイスターズ)、ヘルスケア、ライブ配信などの幅広いインターネットサービスを展開。
  • 動画・配信事業:
    • SHOWROOM: ライブ配信とバーチャルキャラクターに特化した配信プラットフォーム。アイドルやアーティスト、VTuberがファンとリアルタイムで交流し、ギフティング(投げ銭)で収益化するクリエイターエコノミーのパイオニア。
    • Pococha: ライブコミュニケーションアプリ。DeNAが運営する別のライブ配信サービスで、SHOWROOMとは異なるユーザー層にアプローチ。
    • IRIAM: VtuberやVライバーがイラスト1枚で手軽に配信できるアプリ。モーションライブ方式により、イラストがリアルタイムで動き、より気軽にVTuber活動を開始できる。
  • モバイルゲーム開発で培った企画力と運用力
  • ライブ配信におけるギフティングモデルの成功とクリエイターエコノミーへの知見
  • ライブ配信市場での競争激化
  • ゲーム事業の収益変動リスク
  • 市場トレンドとの関連: バーチャルキャラクター文化やクリエイターエコノミーの波に乗り、SHOWROOMとIRIAMで市場を深掘り。メタバース領域での新たなサービス展開も視野に入れる。

4. ANYCOLOR株式会社 (ANYCOLOR Inc. / 東証プライム: 5032)

  • 企業概要: VTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の企画・運営を行うエンターテイメント企業。国内最大級のVTuber事業を展開。
  • 動画・配信事業:
    • にじさんじ: 所属VTuberによるYouTubeでのライブ配信、動画投稿、イベント出演、グッズ販売などを通じて収益を得る。ライバー(VTuber)一人ひとりの個性を最大限に活かすマネジメント戦略が特徴。
    • 海外展開: 英語圏、中国語圏、韓国語圏などグローバルにも「NIJISANJI EN」として展開し、高い人気を獲得。
  • VTuber業界における圧倒的なブランド力と市場シェア
  • 所属ライバーの多様な個性と高い人気
  • グッズ販売やイベント開催による多角的な収益モデル
  • 所属ライバーへの依存度が高いビジネスモデル
  • 炎上リスクや、ライバーの引退・卒業が業績に与える影響
  • 競合他社の台頭
  • 市場トレンドとの関連: メタバースやWeb3.0といった次世代のエンターテイメント領域でのVTuberの可能性を追求。AIを活用したコンテンツ制作支援や、多言語展開によるグローバル市場での成長を目指す。

2-2. コンテンツプロバイダー:世界を魅了するIPの創出

1. 株式会社バンダイナムコホールディングス (BANDAI NAMCO Holdings Inc. / 東証プライム: 7832)

  • 企業概要: 「IP(知的財産)を軸に世界中で感動を届ける」をミッションに掲げ、ゲーム、トイホビー、ネットワークエンターテインメント、映像音楽プロデュースなど多岐にわたる事業を展開する大手エンターテインメント企業。
  • 動画・配信事業:
    • ゲーム: 『機動戦士ガンダム』、『ドラゴンボール』、『ONE PIECE』、『テイルズ オブ』シリーズなど、強力なゲームIPを多数保有。これらのゲームは配信コンテンツとしても絶大な人気を誇る。eスポーツ大会の開催やゲーム配信ガイドラインの整備にも積極的。
    • 映像・音楽: グループ会社を通じて、アニメーション制作、映像・音楽コンテンツの企画・制作・プロデュース、配信、イベント事業を展開。自社IPのアニメ作品は、各動画配信サービスで広く視聴されている。
    • VTuber/バーチャル事業: バーチャルライブプラットフォーム「Mirrativ」への出資や、自社IPを活用したバーチャルキャラクター事業を展開。
  • 世界に誇る圧倒的なIPポートフォリオ
  • ゲーム、アニメ、玩具など複合的な事業展開による高いIP価値創出能力
  • 熱量の高いファンベース
  • IPの収益最大化と同時に、新たなIP創出の継続性
  • グローバル市場における競争激化と、変化の速いデジタルコンテンツ市場への迅速な対応
  • 市場トレンドとの関連: メタバース、Web3.0といった次世代のエンターテインメント領域でのIP活用に注力。ゲームIPと配信文化の融合による新たなエンゲージメント創出、およびAIを活用したコンテンツ制作効率化やパーソナライズ化を模索。

2. 株式会社KADOKAWA(アニメ・出版コンテンツの側面)

  • 企業概要: 先述の通り、出版を核とする総合メディア企業。ここでは、そのコンテンツ創出力、特にアニメや出版物の動画・配信への展開に焦点を当てる。

  • 動画・配信事業(アニメコンテンツ事業):

    • アニメ制作・出資: 『Re:ゼロから始める異世界生活』、『この素晴らしい世界に祝福を!』など、ライトノベル原作のアニメーション作品を多数企画・制作・出資。これらの作品は各動画配信サービスで上位を占め、世界中のファンに視聴されている。
    • 動画メディア: 自社運営のニコニコ動画/生放送に加え、YouTubeでの公式チャンネル展開や、IPを活用したYouTubeアニメ、Webtoonの動画化など、多角的なコンテンツ展開を実施。
    • ライセンス事業: アニメやコミックのIPライセンスを国内外の動画配信プラットフォームやゲーム会社に提供し、収益化。
  • 市場トレンドとの関連: Web小説、Webtoonといったデジタル発のコンテンツをいち早く発掘し、動画コンテンツへと展開。AIを活用した翻訳、ローカライズ、制作効率化を推進し、グローバル市場でのIP価値最大化を目指す。

2-3. 技術・インフラ提供:配信を支える縁の下の力持ち

動画やライブ配信がユーザーに届くには、高速で安定した通信インフラと、動画処理・配信を可能にする先進技術が不可欠です。

1. 日本電信電話株式会社 (NTT / 東証プライム: 9432)

  • 企業概要: 日本最大の電気通信事業者グループ。NTTドコモ(移動通信)、NTT東日本・西日本(地域通信)、NTTコムウェア(システム開発)など、幅広い事業を展開し、日本の情報通信インフラを支える。
  • 動画・配信関連事業:
    • 通信インフラ: 5Gネットワーク、光ファイバー網といった高速・大容量の通信インフラを提供。これは高画質動画やライブ配信の基盤となる。
    • NTT東日本/西日本: 地域における光回線サービスを提供し、各家庭へのインターネット接続を担う。
    • NTTドコモ: スマートフォンサービスを通じて、動画コンテンツの視聴・配信環境を提供。ドコモ独自の映像配信サービス「dTV」やスポーツ専門の「Lemino」などを展開。
    • 技術開発: IOWN (Innovative Optical and Wireless Network) 構想など、次世代の光技術を用いた情報通信基盤の研究開発を推進。これは未来の超低遅延・大容量配信を可能にする基盤となる。
  • 日本全国を網羅する圧倒的な通信インフラと技術力
  • 安定性・信頼性の高いサービス提供能力
  • 大規模な研究開発投資
  • 設備投資の規模
  • 既存事業の競争激化
  • 変化の速いコンテンツ市場への直接的な関与の難しさ
  • 市場トレンドとの関連: 5Gの展開加速により、動画・ライブ配信の品質向上と新たなサービス創出をサポート。IOWN構想の実現により、メタバースやデジタルツインといった超高速・超低遅延が求められる次世代の動画・配信サービスを支えるインフラとなることを目指す。

2. KDDI株式会社 (KDDI Corporation / 東証プライム: 9433)

  • 企業概要: 総合通信事業者。auブランドの携帯電話サービスを核に、固定通信、法人向けソリューション、ライフデザインサービス(auでんき、au PAYなど)を展開。

  • 動画・配信関連事業:

    • 通信インフラ: 5Gネットワークと光回線を提供し、動画配信の基盤を強化。
    • auスマートパスプレミアム: 映像配信サービス(TELASA含む)、音楽、書籍、クーポンなどのコンテンツを統合して提供。
    • TELASA: テレビ朝日ホールディングスとの合弁会社が運営する動画配信サービス。テレビ朝日系のドラマやバラエティに強み。
    • KDDI ∞ Labo: スタートアップ企業との共創を通じて、動画・配信を含む新たなサービス開発を推進。
  • 市場トレンドとの関連: 5Gを活用したリッチコンテンツの配信や、Web3.0、メタバース領域での新たなユーザー体験創出に向けた技術開発・投資に積極的。コンテンツアグリゲーターとしての地位確立を目指す。

3. ソフトバンクグループ株式会社 (SoftBank Group Corp. / 東証プライム: 9984)

  • 企業概要: 携帯電話サービスを提供するソフトバンク株式会社と、世界中のIT企業へ投資を行うビジョン・ファンドを主要事業とする巨大投資持株会社。

  • 動画・配信関連事業:

    • ソフトバンク株式会社: 5G通信インフラを提供し、動画・ライブ配信の高速化・大容量化を支える。
    • Yahoo! JAPAN / LINE: Zホールディングス傘下のYahoo! JAPANやLINEが、ニュース、エンタメコンテンツ、LINE LIVEなどの動画・ライブ配信サービスを提供。特にLINEは国民的メッセージアプリとして動画コンテンツの流通基盤となる。
    • ビジョン・ファンド: 世界中のAI、半導体、ロボティクス、Eコマース、コンテンツなど革新的なテクノロジー企業へ投資。動画・配信領域のスタートアップへの投資も活発。
  • 市場トレンドとの関連: 5GとAIへの積極的な投資を通じて、動画・ライブ配信の未来を形成する技術やサービスへの関与を深める。通信インフラとインターネットサービスを融合させ、新たなエンゲージメント創出を目指す。

4. 株式会社ブイキューブ (V-cube, Inc. / 東証プライム: 3681)

  • 企業概要: Web会議システム「V-cube」を核に、オンラインイベント、ウェビナー、研修など、ビジュアルコミュニケーションサービスを幅広く提供。

  • 動画・配信関連事業:

    • Web会議・ウェビナー: 法人向けに高品質なWeb会議システムやウェビナー配信プラットフォームを提供。企業内のコミュニケーション効率化や、大規模なオンラインイベントの開催を支援。
    • オンラインイベント: バーチャル株主総会、展示会、セミナーなど、多人数が参加するオンラインイベントの企画・運営から配信までトータルソリューションを提供。
    • インタラクティブ配信: ライブ配信にチャット、アンケート、Q&Aなどのインタラクティブ機能を組み合わせ、参加者エンゲージメントを高める。
  • 市場トレンドとの関連: コロナ禍でのオンラインシフトにより需要が急増。ハイブリッドイベント(リアルとオンラインの融合)のニーズに対応し、XR技術の活用やメタバース空間でのイベント開催ソリューションを開発。

2-4. 広告・マーケティング:動画広告の最前線

動画コンテンツの消費拡大に伴い、動画広告市場も急速に成長しています。ここでは、この成長を牽引する主要な広告・マーケティング企業を分析します。

1. 株式会社電通グループ (Dentsu Group Inc. / 東証プライム: 4324)

  • 企業概要: 日本最大手、世界でも有数の規模を誇る総合広告代理店。国内外で幅広いマーケティングコミュニケーションサービスを提供。

  • 動画・配信関連事業:

    • テレビCM: テレビ広告市場で圧倒的なシェアを維持しつつ、テレビCMのデジタル配信や効果測定にも注力。
    • デジタル広告: 動画広告の企画・制作から運用、効果測定までトータルで支援。YouTube、TikTok、コネクテッドTVなど多様なプラットフォームに対応。
    • コンテンツマーケティング: 企業とインフルエンサー、クリエイターを繋ぎ、ブランドストーリーを動画コンテンツで発信。
    • 技術開発: AIを活用した動画広告のクリエイティブ最適化や、効果予測ソリューションを開発。
  • 市場トレンドとの関連: 5G普及による動画広告の高画質化・インタラクティブ化に対応。メタバース空間やゲーミフィケーションを活用した新たな広告手法を模索。データドリブンマーケティングを強化し、広告効果の最大化を図る。

2. 株式会社博報堂DYホールディングス (Hakuhodo DY Holdings Inc. / 東証プライム: 2433)

  • 企業概要: 電通グループと並ぶ大手総合広告代理店グループ。顧客企業の事業成長を支援する「生活者発想」を強みとする。

  • 動画・配信関連事業:

    • デジタル動画広告: YouTube、SNS、OTT(Over The Top)サービスなど、多様なデジタルプラットフォームでの動画広告展開を支援。データとクリエイティブを統合したソリューションを提供。
    • コンテンツプロデュース: ブランドコンテンツとしての動画制作や、企業のオウンドメディアにおける動画活用を推進。
    • メディアコンテンツ開発: テレビ局や出版社などと連携し、動画・配信に適したコンテンツの開発に出資・参画。
    • インフルエンサーマーケティング: クリエイターネットワークを活用したタイアップ動画制作などを手掛ける。
  • 市場トレンドとの関連: 5G時代における「生活者データ」を基盤とした動画広告のパーソナライゼーションを推進。XR技術やバーチャル空間でのブランド体験創出にも積極的に取り組み、新たな顧客接点を開拓。

3. 株式会社セプテーニ・ホールディングス (Septeni Holdings Inc. / 東証プライム: 4293)

  • 企業概要: デジタルマーケティング事業を主軸に、マンガコンテンツ事業やメディアプラットフォーム事業を展開。国内デジタル広告市場の主要プレイヤーの一つ。

  • 動画・配信関連事業:

    • 動画広告運用: YouTube、TikTok、Instagramなど主要SNSプラットフォームでの動画広告の企画、制作、運用、効果測定を一貫して提供。特に効果的な運用型動画広告に強み。
    • クリエイティブ制作: 動画広告に特化したクリエイティブチームを擁し、ユーザーの反応率を高める動画コンテンツを制作。AIを活用したクリエイティブ自動生成・最適化にも注力。
    • インフルエンサーマーケティング: インフルエンサーを活用した動画コンテンツによる企業プロモーションを支援。
  • 市場トレンドとの関連: 5G時代の動画広告フォーマット(ショート動画、縦型動画)への対応を強化。AIによる広告配信最適化やクリエイティブの自動生成を進め、効果的なデジタルプロモーションを追求。


3. 業界の課題と今後の展望

日本の動画・配信業界は成長を続ける一方で、多くの課題に直面しています。

3-1. 収益化モデルの多様化と競争激化

  • 課題: 広告収入、サブスクリプション、ギフティング、EC連携など、収益化モデルは多様化していますが、ユーザーの可処分時間・可処分所得を巡る競争は激化。プラットフォーム間の囲い込み競争も激しい。
  • 展望: クリエイターエコノミーのさらなる発展、NFTやWeb3.0技術を活用した新たな収益源の創出、ライブコマース市場の拡大が期待されます。プラットフォームは、クリエイターが持続的に活動できる環境整備が重要となります。

3-2. 法規制・ガイドラインの整備

  • 課題: フェイクニュース、著作権侵害、誹謗中傷、青少年保護など、動画・配信コンテンツに関する法的・倫理的課題が山積。法規制やプラットフォームのガイドライン整備が追いついていない側面も。
  • 展望: 業界団体や政府による連携強化、AIを活用した不適切コンテンツの監視、デジタルリテラシー教育の普及が求められます。クリエイター自身の倫理観も一層重要となります。

3-3. メタバース・AIとの融合

  • 課題: メタバースやVR/ARといった次世代の空間コンピューティング技術が注目されていますが、キラーコンテンツやデバイスの普及、ビジネスモデルの確立にはまだ時間を要します。AIによるコンテンツ制作は倫理的な課題や著作権問題も抱える。
  • 展望: 没入感の高いインタラクティブな動画体験、AIによるパーソナライズされたコンテンツ推薦、バーチャル空間でのライブイベントなどが進化。動画・配信はメタバースにおける主要なコミュニケーション手段となる可能性があります。

3-4. グローバル市場での競争力強化

  • 課題: 日本のコンテンツはアニメやゲームを中心にグローバルで高い評価を得ていますが、プラットフォームや技術面では外資系企業にリードされている側面も。
  • 展望: VTuberのように国境を越えてファンを獲得するモデルをさらに発展させ、日本の技術とコンテンツを融合させた新たなグローバルスタンダードの創出が期待されます。ローカライズや多言語対応、海外市場の文化理解が重要となります。

まとめ

日本の動画・配信業界は、テクノロジーの進化とクリエイティブな才能が融合し、日々新たな価値を創造しています。本記事で分析した上場企業群は、それぞれの強みと戦略をもって、この巨大なエコシステムを駆動させています。

まとめ

日本の動画・配信業界の主要トレンド - 5Gと高速通信:高画質・低遅延の視聴体験を可能に - クリエイターエコノミーの拡大:多様な収益化モデルと個人の活躍 - AIの活用:コンテンツ制作、推薦、広告最適化、監視 - メタバース・VR/AR:次世代の没入型コンテンツ体験 - グローバル展開:VTuberに代表される日本コンテンツの海外進出

課題は山積していますが、これらの企業が持つIP、技術力、そして何よりも「生活者を豊かにしたい」という情熱が、日本の動画・配信業界の未来を明るく照らしています。今後の各社の動向、そして業界全体の発展から目が離せません。

このガイドが、皆様の日本の動画・配信業界への理解の一助となり、新たなビジネスやクリエイティブ活動のインスピレーションとなれば幸いです。

画像クレジット

本記事で使用している画像は Unsplash より提供されています。

  • アイキャッチ画像: Photo by Pavel Herceg on Unsplash

よくある質問

Q日本で動画配信プラットフォームを運営している上場企業は?
A
主要企業として、ABEMA・OPENREC.tvを運営するサイバーエージェント、ニコニコ動画を運営するKADOKAWA、SHOWROOM・Pococha・IRIAMを運営するDeNA、にじさんじを運営するANYCOLORなどがあります。
QVTuber関連の上場企業はどこですか?
A
VTuber事業を展開する代表的な上場企業はANYCOLOR(にじさんじ)です。また、カバー(ホロライブ)も2023年に上場しています。DeNAのIRIAMやSHOWROOMもVTuber関連事業を展開しています。
Q動画配信業界で投資対象として注目される企業は?
A
成長性ではANYCOLOR、安定性ではNTTやKDDIなどの通信インフラ企業、コンテンツ力ではバンダイナムコやKADOKAWAなど、投資目的によって注目企業は異なります。本記事で各社の強みと課題を詳しく解説しています。

この記事を書いた人

TK

モリミー

Webエンジニア / テクニカルライター / マーケター

都内で働くWebエンジニア。テクニカルライターをしています。 映画やゲームが好きです。

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