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【配信者向け】企業案件・スポンサーシップ獲得ガイド|報酬相場と交渉術

【配信者向け】企業案件・スポンサーシップ獲得ガイド|報酬相場と交渉術

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【配信者向け】企業案件・スポンサーシップ獲得ガイド|報酬相場と交渉術

YouTubeやTwitchでの配信活動を続けていると、「企業案件を獲得して収益化したい」と考える方も多いのではないでしょうか。

広告収益だけでは安定した収入を得ることが難しい昨今、企業案件やスポンサーシップは配信者にとって重要な収益源となっています。しかし、「どうやって案件を獲得すればいいのか」「報酬相場はいくらなのか」「交渉はどう進めればいいのか」など、わからないことも多いはずです。

本記事では、企業案件・スポンサーシップの基礎知識から報酬相場、獲得方法、交渉術、契約時の注意点まで、配信者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

この記事でわかること - 企業案件の種類と報酬相場の目安 - フォロワー数別の報酬レンジ - 企業案件を獲得する具体的な方法 - 報酬交渉のポイントと適正価格の算出方法 - 契約時の注意点とステマ規制への対応 - 案件実績を作るための戦略

企業案件とは?配信者にとっての重要性

ビジネスミーティングのイメージ(2025年12月現在)

企業案件(タイアップ案件、スポンサーシップ)とは、企業が配信者に対価を支払い、自社の商品やサービスを紹介してもらう広告手法のことです。

従来のテレビCMや雑誌広告と比べて、配信者を通じた広告は以下のようなメリットがあります:

  • ターゲット層へのリーチ精度が高い:配信者の視聴者層と企業のターゲット層がマッチしやすい
  • 信頼性が高い:視聴者と配信者の間に信頼関係があるため、広告効果が高い
  • コストパフォーマンスが良い:大手芸能人よりも低コストで実施可能
  • エンゲージメントが高い:コメントやいいねなど、視聴者の反応を直接得られる

このような理由から、企業側も配信者とのタイアップを積極的に検討しており、市場規模は年々拡大しています。

配信者にとっての企業案件のメリット

企業案件は、配信者にとって以下のようなメリットがあります:

  1. 安定した収益源:広告収益は変動が大きいですが、企業案件は固定報酬のため安定しています
  2. 高単価:1案件で数万円〜数百万円と、広告収益よりも高額な収入を得られる可能性があります
  3. ブランド価値の向上:大手企業とのタイアップは、自身のブランド価値を高めます
  4. 新しい視聴者層の獲得:企業側の宣伝により、新規視聴者を獲得できる可能性があります
  5. コンテンツの幅が広がる:新しい商品やサービスを体験できるため、コンテンツのバリエーションが増えます
市場規模の拡大

矢野経済研究所の調査によると、日本国内のインフルエンサーマーケティング市場は2023年に約741億円に達し、2027年には約1,302億円に拡大すると予測されています。配信者・YouTuberへの企業案件は今後も増加が見込まれます。

企業案件の種類

配信セットアップのイメージ(2025年12月現在)

企業案件には様々な形態があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った案件を選ぶことが重要です。

1. 商品紹介・レビュー動画

最も一般的な案件形態です。企業から提供された商品を実際に使用し、レビュー動画や配信で紹介します。

特徴:

  • ゲーミングデバイス、配信機材、アパレル、食品など、幅広いジャンルがある
  • 商品を無料で提供される+報酬が支払われるケースが多い
  • 自然な形で紹介することが求められる

報酬相場:

  • 小規模配信者(フォロワー1万〜10万):5万〜30万円
  • 中規模配信者(フォロワー10万〜50万):30万〜100万円
  • 大規模配信者(フォロワー50万以上):100万円〜

成功のポイント:

  • 商品の良い点だけでなく、改善点も正直に伝える(信頼性重視)
  • 視聴者にとって有益な情報を提供する
  • 自分が本当に良いと思った商品を紹介する

2. ゲームプレイ配信(ゲーム会社案件)

ゲーム配信者にとって最も魅力的な案件の一つです。新作ゲームや既存タイトルのアップデート時に、ゲーム会社から依頼を受けてプレイ配信を行います。

特徴:

  • ゲームキーや先行プレイ権が提供される
  • 配信時間や配信内容に指定がある場合が多い
  • 人気タイトルの場合、視聴数が伸びやすい

報酬相場:

  • 小規模配信者:3万〜10万円
  • 中規模配信者:10万〜50万円
  • 大規模配信者:50万円〜200万円

成功のポイント:

  • ゲームの魅力を自然に伝える
  • 視聴者とのインタラクションを大切にする
  • 契約で禁止されていない限り、正直な感想を述べる
ゲーム案件の注意点

ゲーム会社によっては、「ネガティブな発言の禁止」「特定の要素の紹介義務」などの条件が設定されている場合があります。契約前に必ず確認しましょう。視聴者との信頼関係を損なわないことが最優先です。

3. イベント出演

企業主催のイベントやゲームショウへの出演依頼です。リアルイベントとオンラインイベントの両方があります。

特徴:

  • 他の配信者や有名人と共演する機会がある
  • 準備時間やリハーサルが必要な場合が多い
  • イベント当日の拘束時間が長い

報酬相場:

  • 小規模イベント:5万〜20万円
  • 中規模イベント:20万〜100万円
  • 大規模イベント(TGS、闘会議など):100万円〜500万円

成功のポイント:

  • 事前準備をしっかり行う
  • 他の出演者との協調性を大切にする
  • イベント後もSNSで拡散するなど、企業に貢献する

4. SNS投稿(Instagram、X、TikTokなど)

YouTube以外のSNSでの投稿を求められる案件です。比較的短時間で対応でき、報酬も動画案件より低めですが、手軽に実施できます。

特徴:

  • 投稿内容や文言に指定がある場合が多い
  • ハッシュタグやメンションの使用が求められる
  • 投稿後の削除禁止期間が設定されることが多い

報酬相場:

  • 1投稿あたり:1万〜50万円(フォロワー数による)
  • フォロワー単価:0.5〜2円

成功のポイント:

  • 自然な文章で投稿する(いかにも広告という雰囲気を避ける)
  • ビジュアルにこだわる(特にInstagram)
  • 投稿時間を工夫する(エンゲージメントが高い時間帯に投稿)

5. アンバサダー契約(長期契約)

特定の企業やブランドと長期的な契約を結び、継続的に商品やサービスを紹介する形態です。

特徴:

  • 契約期間は3ヶ月〜1年が一般的
  • 月額固定報酬または年間契約
  • 他社の競合商品の紹介が禁止される(独占条項)

報酬相場:

  • 月額:10万〜500万円(規模や契約内容による)
  • 年間契約:100万〜数千万円

成功のポイント:

  • ブランドイメージとの一致を重視する
  • 長期的な信頼関係を構築する
  • 契約内容を細かく確認する(特に独占条項)
アンバサダー契約の例

ゲーミングデバイスメーカーとのアンバサダー契約では、配信時に常にそのメーカーの製品を使用し、月1回の紹介動画投稿、SNSでの定期的な投稿などが求められることがあります。安定した収入が得られる反面、他社製品の使用が制限されるため、慎重に検討しましょう。

6. アフィリエイト型案件

固定報酬ではなく、成果報酬型の案件です。商品が売れた場合のみ報酬が発生します。

特徴:

  • 初期費用なしで開始できる
  • 売上に応じて報酬が増える
  • リスクが低い反面、収入が不安定

報酬相場:

  • 商品価格の3〜30%(商品カテゴリによる)
  • 高額商品(ゲーミングPC、配信機材など)の場合、1件あたり数千円〜数万円

成功のポイント:

  • 自分が実際に使用している商品を紹介する
  • 購入リンクをわかりやすい場所に配置する
  • 視聴者にとって本当に有益な商品を選ぶ

企業案件の報酬相場

報酬のイメージ(2025年12月現在)

企業案件の報酬は、フォロワー数、エンゲージメント率、視聴者属性、案件内容など、様々な要素によって決まります。ここでは、一般的な相場を紹介します。

フォロワー数別の報酬レンジ

ナノインフルエンサー(フォロワー1,000〜1万人)

報酬相場:

  • 動画1本:5,000円〜3万円
  • SNS投稿1件:1,000円〜1万円
  • フォロワー単価:0.5〜1円

特徴:

  • 企業案件を獲得するのは難しいが、不可能ではない
  • ニッチな分野に特化している場合、企業からオファーが来ることもある
  • アフィリエイト型案件から始めるのがおすすめ

獲得しやすい案件:

  • 中小企業の商品紹介
  • ローカルビジネスの宣伝
  • 新規立ち上げサービスのモニター

マイクロインフルエンサー(フォロワー1万〜10万人)

報酬相場:

  • 動画1本:5万〜30万円
  • SNS投稿1件:1万〜10万円
  • フォロワー単価:1〜3円

特徴:

  • 企業案件の獲得が現実的になる規模
  • エンゲージメント率が高ければ、大手企業からの依頼もある
  • マッチングプラットフォームを活用しやすい

獲得しやすい案件:

  • ゲーミングデバイス、配信機材のレビュー
  • ゲーム配信案件
  • アパレル、美容系商品の紹介
マイクロインフルエンサーの強み

フォロワー数は少なくても、エンゲージメント率(いいね率、コメント率)が高いマイクロインフルエンサーは、企業にとって非常に魅力的です。実際、大規模インフルエンサーよりもエンゲージメント率が高い傾向にあり、「質の高いファン」を持っていると評価されます。

ミドルインフルエンサー(フォロワー10万〜50万人)

報酬相場:

  • 動画1本:30万〜100万円
  • SNS投稿1件:10万〜50万円
  • フォロワー単価:2〜3円

特徴:

  • 大手企業からのオファーが増える
  • 事務所所属の配信者が多い
  • アンバサダー契約などの長期案件も獲得しやすい

獲得しやすい案件:

  • 大手ゲームメーカーの新作タイトル
  • ゲーミングPC、高額デバイスのレビュー
  • イベント出演

マクロインフルエンサー(フォロワー50万〜100万人)

報酬相場:

  • 動画1本:100万〜300万円
  • SNS投稿1件:50万〜150万円
  • フォロワー単価:2〜3円

特徴:

  • ほぼ全員が事務所所属
  • 企業側から直接オファーが来る
  • テレビ出演などのメディア露出も増える

獲得しやすい案件:

  • 大手企業の大型キャンペーン
  • テレビCMとの連動企画
  • 高額アンバサダー契約

メガインフルエンサー(フォロワー100万人以上)

報酬相場:

  • 動画1本:300万〜数千万円
  • SNS投稿1件:150万〜1,000万円
  • フォロワー単価:3〜10円(トップ層はさらに高額)

特徴:

  • 芸能人並みの知名度
  • 報酬は個別交渉がほとんど
  • 年間契約で数千万円〜億単位の契約も

獲得しやすい案件:

  • 全国規模のキャンペーン
  • 大手企業の公式アンバサダー
  • テレビ番組とのコラボ企画
フォロワー数別報酬相場まとめ
ナノ(1,000〜1万)5,000円〜3万円/動画
マイクロ(1万〜10万)5万〜30万円/動画
ミドル(10万〜50万)30万〜100万円/動画
マクロ(50万〜100万)100万〜300万円/動画
メガ(100万以上)300万円〜数千万円/動画

案件タイプ別の報酬相場

案件タイプ小規模配信者中規模配信者大規模配信者
YouTube動画1本5万〜30万円30万〜100万円100万〜500万円
ゲーム配信(1回)3万〜10万円10万〜50万円50万〜200万円
SNS投稿(1件)1万〜10万円10万〜50万円50万〜300万円
イベント出演5万〜20万円20万〜100万円100万〜500万円
アンバサダー(月額)10万〜50万円50万〜200万円200万〜1,000万円

※あくまで目安です。実際の報酬は、エンゲージメント率、視聴者属性、独占条項の有無などによって大きく変動します。

報酬に影響する要素

報酬額は単純にフォロワー数だけで決まるわけではありません。以下の要素が総合的に評価されます。

1. フォロワー数・登録者数

最も基本的な指標です。フォロワー数が多いほど、リーチできる視聴者数が多いため、報酬も高くなります。

ポイント:

  • YouTube登録者数
  • Twitchフォロワー数
  • X(旧Twitter)、Instagram、TikTokのフォロワー数
  • 複数プラットフォームの合計フォロワー数
複数プラットフォームの強み

YouTubeだけでなく、Twitch、TikTok、Instagramなど、複数のプラットフォームで活動している配信者は、より高い報酬を得られる傾向があります。企業側も「複数のチャネルで宣伝できる」というメリットを評価するためです。

2. エンゲージメント率

フォロワー数よりも重要視されることが増えているのが、エンゲージメント率です。

主な指標:

  • いいね率:いいね数÷フォロワー数×100
  • コメント率:コメント数÷フォロワー数×100
  • シェア率:シェア数÷フォロワー数×100
  • 平均視聴維持率:視聴者が動画をどこまで見ているか

目安:

  • いいね率3%以上:優秀
  • いいね率1〜3%:標準
  • いいね率1%未満:改善が必要
エンゲージメント率が高いと報酬も上がる

フォロワー10万人でエンゲージメント率5%の配信者は、フォロワー30万人でエンゲージメント率1%の配信者よりも高い報酬を得られることがあります。企業は「広告効果」を重視するため、エンゲージメント率は非常に重要な指標です。

3. 視聴者層とターゲットの一致度

企業が求めるターゲット層と、配信者の視聴者層がマッチしているかどうかも重要です。

チェックポイント:

  • 年齢層:10代、20代、30代など
  • 性別比率:男性・女性の割合
  • 興味関心:ゲーム、美容、ガジェット、スポーツなど
  • 地域:日本国内、海外など

例:

  • ゲーミングデバイスメーカー → 10〜30代男性が多い配信者
  • 美容系商品 → 20〜40代女性が多い配信者
  • 教育系サービス → 保護者層(30〜50代)が多い配信者

4. 案件内容(動画、配信、SNS投稿)

案件の形態によっても報酬は変動します。

報酬の高い順:

  1. YouTube動画(編集込み):制作に時間がかかるため高額
  2. ライブ配信(Twitch、YouTube Live):リアルタイムの拘束時間が長い
  3. SNS投稿(Instagram、X、TikTok):比較的短時間で対応可能

追加要素:

  • 動画の長さ(10分、20分、30分以上など)
  • 編集の複雑さ(テロップ、エフェクトなど)
  • 配信時間(1時間、3時間、5時間など)

5. 独占契約か否か

他社の競合商品を紹介できないという「独占条項」がある場合、報酬は高くなります。

独占契約の種類:

  • 完全独占:同カテゴリの全ての競合商品の紹介禁止
  • 部分独占:特定の期間のみ競合商品の紹介禁止
  • 非独占:他社商品の紹介も自由

報酬の違い:

  • 独占契約:通常の1.5〜3倍
  • 非独占:通常価格
独占契約の注意点

独占契約は報酬が高い反面、他の案件を受けられなくなるため、長期的な収益を考えると必ずしも得策とは限りません。契約期間や対象範囲を細かく確認し、慎重に判断しましょう。

6. 過去の案件実績

過去に企業案件を成功させた実績があると、次の案件の報酬交渉がしやすくなります。

評価されるポイント:

  • 動画の再生回数
  • エンゲージメント(いいね、コメント、シェア)
  • コンバージョン(商品購入、アプリダウンロードなど)
  • 企業からの評価(納期厳守、対応の良さなど)

実績の活用方法:

  • ポートフォリオとして企業に提示する
  • 過去案件の成果を数値で示す
  • 企業からの推薦状やフィードバックを活用する

案件を獲得する方法

ソーシャルメディアのイメージ(2025年12月現在)

企業案件を獲得する方法は大きく分けて4つあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。

方法1:事務所・MCN(マルチチャンネルネットワーク)に所属する

最も確実で効率的な方法は、配信者向けの事務所やMCNに所属することです。

メリット:

  • 企業からの案件を紹介してもらえる
  • 報酬交渉を事務所が代行してくれる
  • 契約書のチェックや法的サポートを受けられる
  • 他の配信者とのコラボ機会が増える
  • 配信ノウハウや機材サポートを受けられる

デメリット:

  • 報酬の一部(10〜50%)を事務所に支払う必要がある
  • 所属審査がある(一定のフォロワー数が必要)
  • 事務所のルールに従う必要がある
  • 契約期間中は他の事務所に移籍できない

主な事務所・MCN:

  • UUUM(YouTuber事務所大手)
  • Vaz(若年層向け)
  • PPP STUDIO(配信者特化)
  • E-Sports事務所(ゲーム配信特化)
  • Collab Asia(アジア圏展開)

所属の目安:

  • YouTube登録者数:1万人以上
  • Twitchフォロワー数:5,000人以上
  • 安定した配信頻度(週3回以上)
事務所選びのポイント

事務所によって得意分野や取り扱い案件が異なります。ゲーム配信者ならゲーム案件に強い事務所、美容系ならそちらに強い事務所を選びましょう。また、報酬の分配率や契約期間、退所時の条件なども事前に確認が必要です。

方法2:マッチングプラットフォームに登録する

企業と配信者をつなぐマッチングプラットフォームを活用する方法です。事務所所属よりもハードルが低く、初心者でも始めやすいのが特徴です。

メリット:

  • フォロワー数が少なくても登録できる(1,000人程度から)
  • 自分で案件を選べる
  • 手数料が比較的低い(10〜20%程度)
  • 複数のプラットフォームに同時登録可能

デメリット:

  • 案件数は事務所所属より少ない
  • 報酬交渉は基本的に自分で行う
  • 契約書のチェックも自己責任

主なプラットフォーム:

SPIRIT(スピリット)

  • YouTube、Instagram、TikTokなど幅広く対応
  • 登録者数1,000人から利用可能
  • ゲーム、美容、ガジェット系案件が豊富

Lxgend(レジェンド)

  • ゲーム配信特化のプラットフォーム
  • ゲームメーカーからの案件が多い
  • Twitch配信者も多数登録

CLOUD CASTING

  • ライブ配信者向けプラットフォーム
  • イベント出演案件が豊富
  • 報酬の即日払いオプションあり

BitStar(ビットスター)

  • 大手企業案件が多い
  • 登録者数10万人以上推奨
  • 報酬が比較的高額

登録時のポイント:

  • プロフィールを充実させる(自己紹介、実績、得意分野など)
  • ポートフォリオ動画を用意する
  • 視聴者属性データ(年齢層、性別など)を提示する
マッチングプラットフォームの手数料

多くのプラットフォームは、報酬の10〜20%を手数料として徴収します。例えば、案件報酬が10万円の場合、手数料20%なら実際に受け取れるのは8万円です。事前に手数料率を確認しましょう。

方法3:企業への直接営業

自分から企業に営業をかける方法です。難易度は高いですが、成功すれば高単価案件を獲得できる可能性があります。

メリット:

  • 手数料がかからない(報酬を100%受け取れる)
  • 企業と直接関係を築ける
  • 自分の好きなブランドとコラボできる

デメリット:

  • 営業スキルが必要
  • 返信がないことも多い
  • 契約書の作成や交渉をすべて自分で行う必要がある

営業の流れ:

  1. ターゲット企業をリストアップ

    • 自分のジャンルに合った企業
    • 過去にインフルエンサーマーケティングを実施している企業
    • 自分が本当に好きなブランド
  2. 企業の問い合わせフォームから連絡

    • 件名:「配信者タイアップのご提案」など
    • 自己紹介(フォロワー数、ジャンル、実績)
    • 提案内容(どんな形でコラボできるか)
    • ポートフォリオ(過去の動画リンクなど)
  3. メディアキット(資料)を用意

    • 自己紹介
    • チャンネル概要
    • フォロワー数、視聴者属性
    • 平均再生回数、エンゲージメント率
    • 過去の案件実績
    • 料金表
  4. 返信があれば、詳細を詰める

    • 案件内容の確認
    • 報酬の交渉
    • 契約書の作成・確認

メール例文:

件名:【タイアップご提案】ゲーム配信者〇〇と申します

株式会社△△
ご担当者様

はじめまして。ゲーム配信者の〇〇と申します。

貴社の新作ゲーム「××」に大変興味を持ち、ぜひ配信でご紹介させていただきたく、ご連絡差し上げました。

【自己紹介】
・YouTubeチャンネル登録者数:15万人
・Twitchフォロワー数:3万人
・主なジャンル:FPS、アクションゲーム
・平均同時視聴者数:1,500人
・視聴者層:10〜30代男性がメイン

【過去の実績】
・〇〇社様:新作ゲーム配信(再生回数50万回)
・△△社様:ゲーミングデバイスレビュー(再生回数30万回)

【提案内容】
・ゲームプレイ配信(3時間×2回)
・YouTube動画1本(編集込み)
・SNS投稿(X、Instagram)

ご興味をお持ちいただけましたら、詳細をご説明させていただきたく存じます。

ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

〇〇(配信者名)
YouTubeチャンネル:https://...
メールアドレス:[email protected]
営業メールのポイント

企業側は毎日多くのメールを受け取っています。簡潔でわかりやすく、数値(フォロワー数、再生回数など)を明記することが重要です。また、一方的に「案件ください」ではなく、「企業にとってどんなメリットがあるか」を伝えましょう。

方法4:SNSでのDM・オファー待ち

企業側からSNSのDMでオファーが来るのを待つ方法です。受動的ですが、ある程度のフォロワー数があれば実現可能性があります。

メリット:

  • 何もしなくてもオファーが来る
  • 企業側が興味を持っている案件なので、交渉がスムーズ

デメリット:

  • フォロワー数が少ないとオファーが来ない
  • 詐欺や怪しい案件もあるため注意が必要

オファーを受けやすくするポイント:

  • プロフィールに連絡先を記載:メールアドレスやDMウェルカムの旨を明記
  • 固定ツイートに自己紹介:フォロワー数、ジャンル、過去実績を記載
  • ビジネスアカウントに切り替え(Instagram):企業からの連絡先を設定できる
  • 定期的に投稿:アクティブなアカウントであることをアピール

詐欺案件の見分け方:

  • 報酬が異常に高額(相場の3倍以上など)
  • 先に金銭を要求される(登録料、手数料など)
  • 企業情報が不明瞭(公式サイトがない、所在地不明など)
  • 契約書がない、または内容が不明確
怪しい案件の特徴

「登録者数10万人以下でも月100万円稼げます!」「先に手数料3万円をお支払いください」などの文言がある場合は、詐欺の可能性が高いです。必ず企業の公式サイトを確認し、不明点があれば契約前に問い合わせましょう。

企業が求める配信者像

企業が案件を依頼する際、どのような配信者を選ぶのでしょうか。企業側の視点を理解することで、案件獲得率を高めることができます。

1. クリーンなイメージ

企業は自社のブランドイメージを大切にしています。そのため、炎上リスクのある配信者や、過激な発言をする配信者は避けられます。

企業が避ける配信者の特徴:

  • 過去に炎上経験がある
  • 差別的発言、誹謗中傷をしている
  • 倫理的に問題のある行動をしている
  • 法律違反(著作権侵害、違法ダウンロードなど)

クリーンなイメージを保つために:

  • 視聴者や他の配信者を尊重する
  • 政治的・宗教的な発言は控えめにする
  • 著作権やゲーム配信の利用規約を守る
  • 飲酒配信や暴言配信は避ける
炎上リスクの管理

一度炎上すると、企業案件の獲得が難しくなります。特にSNSでの発言には注意が必要です。投稿前に「これは誰かを傷つけないか」「誤解を招かないか」を確認する習慣をつけましょう。

2. 安定した配信実績

企業は「継続的に活動している配信者」を好みます。フォロワー数が多くても、配信頻度が低いと評価が下がります。

企業が評価する配信実績:

  • 週3回以上の配信頻度
  • 平均視聴者数が安定している
  • アーカイブが豊富(過去の配信動画が多い)
  • 視聴者とのコミュニケーションが活発

安定した配信を続けるコツ:

  • 配信スケジュールを決める(毎週月・水・金など)
  • 視聴者に配信予定を事前に告知する
  • 体調管理を徹底する
  • 配信を楽しむ(義務感だけで続けると疲れる)

3. エンゲージメントの高さ

単にフォロワー数が多いだけでなく、視聴者との関係性が深いことが重要です。

高エンゲージメントの指標:

  • いいね率、コメント率が高い
  • 視聴者が配信に積極的に参加している(質問、コメント、投票など)
  • リピート視聴者が多い
  • コミュニティが形成されている(Discord、ファンクラブなど)

エンゲージメントを高める方法:

  • 視聴者の名前を呼んでコメントに反応する
  • 視聴者参加型の企画を実施する(アンケート、投票、ゲーム参加など)
  • 定期的に視聴者とのコミュニケーションタイムを設ける
  • SNSでも積極的に交流する
企業が見ているデータ

企業は配信者を評価する際、YouTube AnalyticsやTwitchの分析データを確認することがあります。特に「視聴維持率」(視聴者が動画をどこまで見ているか)や「トラフィックソース」(視聴者がどこから来ているか)などは重要視されます。

4. 専門性・独自性

他の配信者にはない「強み」を持っていることも重要です。

評価される専門性・独自性:

  • 特定のゲームジャンルに特化している(FPS、RPG、格ゲーなど)
  • プロレベルのスキルを持っている
  • 独自のキャラクター性がある(トーク力、編集スキル、企画力など)
  • ニッチな分野で第一人者である

自分の強みの見つけ方:

  • 他の配信者と比較して、自分の得意なことをリストアップする
  • 視聴者からのコメントで褒められることを分析する
  • 「自分といえば〇〇」というイメージを確立する

5. プロ意識

企業との仕事は「ビジネス」です。プロとしての対応ができるかどうかも評価されます。

プロ意識のある対応:

  • 納期を守る
  • レスポンスが早い(メールやDMの返信は24時間以内)
  • 契約内容を理解し、誠実に履行する
  • 報告・連絡・相談を怠らない
  • トラブル時の対応が適切

避けるべき行動:

  • 納期遅延(事前連絡なし)
  • 連絡の無視
  • 契約内容の勝手な変更
  • ネガティブな発言(「この案件つまらない」など)

報酬交渉のポイント

交渉のイメージ(2025年12月現在)

企業案件の報酬交渉は、配信者にとって重要なスキルです。適切な価格を提示し、Win-Winの関係を築くことが大切です。

1. 適正価格の算出方法

自分の適正価格を知ることが、交渉の第一歩です。

基本的な計算式:

基本報酬 = フォロワー数 × フォロワー単価(1〜3円)

例:

  • フォロワー10万人 × 2円 = 20万円

調整要素:

  1. エンゲージメント率による調整

    • いいね率5%以上:+20〜50%
    • いいね率3〜5%:±0%
    • いいね率1〜3%:-10〜20%
    • いいね率1%未満:-20〜40%
  2. 案件内容による調整

    • 動画制作(編集込み):基本報酬×1.0
    • ライブ配信のみ:基本報酬×0.7〜0.8
    • SNS投稿のみ:基本報酬×0.3〜0.5
    • 複数プラットフォーム(YouTube + SNS):基本報酬×1.3〜1.5
  3. 独占条項による調整

    • 完全独占(3ヶ月以上):+100〜200%
    • 部分独占(1〜3ヶ月):+50〜100%
    • 非独占:±0%
  4. 拘束時間による調整

    • 動画10分:基本報酬×1.0
    • 動画20分:基本報酬×1.3
    • 動画30分以上:基本報酬×1.5〜2.0

具体例:

フォロワー10万人の配信者が、20分の動画を制作し、YouTube + SNS投稿を行う場合(独占なし、いいね率4%)

基本報酬:10万人 × 2円 = 20万円
複数プラットフォーム調整:20万円 × 1.3 = 26万円
動画の長さ調整:26万円 × 1.3 = 33.8万円

適正価格:約30〜35万円
安売りしすぎない

初めての案件だからといって、極端に安い価格を提示するのは避けましょう。適正価格よりも大幅に安い報酬で受けると、次回以降の交渉でも低い価格を提示される可能性があります。自分の価値をしっかり理解し、適正価格を提示することが重要です。

2. 実績のアピール方法

報酬交渉では、自分の価値を数値で示すことが重要です。

提示すべきデータ:

  1. フォロワー数・登録者数

    • YouTube登録者数:〇〇万人
    • Twitchフォロワー数:〇〇万人
    • X(旧Twitter)フォロワー数:〇〇万人
    • Instagramフォロワー数:〇〇万人
  2. 平均再生回数・視聴者数

    • YouTube平均再生回数:〇〇万回
    • Twitch平均同時視聴者数:〇〇人
    • 動画の視聴維持率:〇〇%
  3. エンゲージメント率

    • いいね率:〇〇%
    • コメント率:〇〇%
    • シェア率:〇〇%
  4. 視聴者属性

    • 年齢層:10代〇%、20代〇%、30代〇%
    • 性別:男性〇%、女性〇%
    • 地域:日本〇%、海外〇%
  5. 過去の案件実績

    • 〇〇社:ゲーム配信(再生回数〇〇万回、コンバージョン率〇%)
    • △△社:商品レビュー(再生回数〇〇万回、売上〇〇個)

メディアキット(資料)の作成

これらのデータをまとめた資料を作成し、企業に提示しましょう。PowerPointやGoogleスライドで見やすく整理するのがおすすめです。

メディアキットに含める内容:

  • 自己紹介(活動歴、ジャンル、特徴)
  • フォロワー数・視聴者数
  • 視聴者属性
  • エンゲージメント率
  • 過去の案件実績
  • 料金表
  • 連絡先
視聴者属性データの取得方法

YouTube Studioの「視聴者」タブで、視聴者の年齢層、性別、地域などのデータを確認できます。Twitchでも「インサイト」から同様のデータが取得可能です。これらのデータを企業に提示することで、ターゲット層とのマッチング度をアピールできます。

3. 条件の確認事項

報酬額だけでなく、契約内容全体を確認することが重要です。

必ず確認すべき項目:

  1. 案件内容

    • 動画の本数、長さ
    • 配信の回数、時間
    • SNS投稿の回数、プラットフォーム
    • 紹介する商品・サービスの詳細
  2. 納期・スケジュール

    • 動画投稿日
    • 配信実施日
    • 企業への事前確認が必要か
  3. 報酬額と支払い条件

    • 報酬総額
    • 支払い時期(動画投稿後〇日以内など)
    • 支払い方法(銀行振込、PayPalなど)
    • 源泉徴収の有無
  4. 独占条項

    • 競合商品の紹介禁止期間
    • 対象となる商品カテゴリの範囲
  5. 著作権・肖像権

    • 動画の著作権は誰に帰属するか
    • 企業側が動画を二次利用できるか
    • 肖像権の扱い
  6. 修正・やり直しの条件

    • 企業からの修正依頼があった場合の対応
    • やり直しの回数制限
  7. 契約解除条件

    • どのような場合に契約解除となるか
    • 違約金の有無
契約書は必ず書面で

口頭での約束だけでは、後々トラブルになる可能性があります。必ず契約書を作成し、双方が署名・捺印したものを保管しましょう。契約書がない場合は、メールでのやり取りを記録として残すことも重要です。

4. 交渉の進め方

交渉は「Win-Win」の関係を目指すことが大切です。

交渉のステップ:

  1. 初回提示は少し高めに

    • 企業側から値下げ交渉があることを想定し、希望価格より10〜20%高めに提示
    • ただし、非常識な高額は避ける
  2. 値下げ交渉があった場合

    • すぐに受け入れない
    • 「〇〇万円まででしたら対応可能です」と代案を提示
    • 報酬を下げる代わりに、条件を緩和してもらう(独占条項の削除、納期の延長など)
  3. 報酬以外の価値も考慮

    • 商品提供の有無
    • 企業とのネットワーク構築
    • ポートフォリオとしての価値
    • 次回以降の案件につながる可能性
  4. 感謝の気持ちを忘れない

    • 「ご検討いただきありがとうございます」
    • 「一緒に良い企画を作りましょう」
    • ポジティブな姿勢を保つ

交渉メール例:

〇〇株式会社
△△様

いつもお世話になっております。配信者の〇〇です。

この度は、タイアップのお話をいただき、誠にありがとうございます。

ご提示いただいた条件について、以下の通り検討させていただきました。

【案件内容】
・YouTube動画1本(20分程度、編集込み)
・X(旧Twitter)投稿×2回
・Instagram投稿×1回

【ご提示価格】
15万円

【こちらの希望】
上記の内容ですと、制作に約2週間を要するため、
報酬を25万円でご検討いただけないでしょうか。

なお、報酬が難しい場合は、以下の代案もご検討いただけますと幸いです。
・SNS投稿を1回に減らし、報酬20万円
・納期を1ヶ月に延長し、報酬15万円

ぜひ貴社と良い企画を作りたいと考えておりますので、
ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

配信者 〇〇
値下げ交渉の断り方

どうしても受け入れられない価格を提示された場合は、丁寧に断ることも重要です。「大変恐縮ですが、今回の条件では難しいため、見送らせていただきます。また機会がございましたら、ぜひご連絡ください」と伝えましょう。無理に受けると、後悔する可能性があります。

契約時の注意点

企業案件を受ける際は、契約内容を細かく確認し、トラブルを避けることが重要です。

1. 著作権・肖像権

動画や画像の著作権、肖像権の取り扱いは必ず確認しましょう。

確認すべきポイント:

  • 動画の著作権は誰に帰属するか

    • 配信者に帰属する場合:動画を自由に使える
    • 企業に帰属する場合:企業の許可なく削除・編集できない
  • 企業側の二次利用権

    • 企業が動画を自社サイトやSNSで使用できるか
    • 使用期間に制限はあるか
  • 肖像権の扱い

    • 配信者の顔や声を企業が広告に使用できるか
    • 使用範囲(SNS、テレビCM、店頭ポスターなど)

トラブル例:

  • 企業が勝手に動画を編集して使用した
  • 契約期間終了後も、企業が動画を使い続けている
  • 顔写真が許可なく広告に使われた

対策:

  • 契約書に「著作権は配信者に帰属し、企業は〇ヶ月間のみ二次利用可能」と明記
  • 肖像権の使用範囲を具体的に記載(「SNS投稿のみ可」など)
契約終了後の動画削除義務

契約書に「契約終了後、動画を削除すること」という条項がある場合があります。これは、視聴者数が多い人気動画でも削除しなければならないため、長期的な収益を考えると不利です。可能であれば、削除義務のない契約を交渉しましょう。

2. 独占条項

独占条項は、競合商品の紹介を禁止する条項です。高額報酬の代償として設定されることが多いですが、注意が必要です。

独占条項の種類:

  1. 完全独占

    • 同カテゴリの全ての商品・サービスの紹介禁止
    • 期間:3ヶ月〜1年
    • 例:「ゲーミングマウス全般の紹介禁止」
  2. 部分独占

    • 特定ブランドや特定商品のみ紹介禁止
    • 期間:1〜3ヶ月
    • 例:「〇〇社製のゲーミングマウスのみ紹介禁止」
  3. 非独占

    • 競合商品の紹介も自由

独占条項のリスク:

  • 他の案件を受けられなくなる
  • 視聴者が期待するコンテンツを提供できない
  • 長期的な収益機会を失う

交渉のポイント:

  • 独占条項がある場合、報酬を通常の1.5〜3倍に引き上げる
  • 独占期間を短くする(6ヶ月 → 3ヶ月など)
  • 対象範囲を狭くする(「全てのゲーミングデバイス」→「ゲーミングマウスのみ」など)
独占条項の例外

独占条項があっても、「既に所有している商品のレビューは可」「アフィリエイトリンクなしの言及は可」などの例外が設定されている場合があります。契約書で例外事項を明記しておくと、後々のトラブルを避けられます。

3. 報酬支払い条件

報酬の支払いタイミングと方法を明確にしておきましょう。

確認すべきポイント:

  1. 支払いタイミング

    • 動画投稿前(前払い)
    • 動画投稿後〇日以内(後払い)
    • 月末締め、翌月末払い
  2. 支払い方法

    • 銀行振込
    • PayPal
    • その他の決済サービス
  3. 源泉徴収の有無

    • 源泉徴収される場合、報酬の10.21%が差し引かれる
    • 源泉徴収票の発行を依頼する
  4. 振込手数料の負担

    • 企業負担 or 配信者負担

トラブル例:

  • 動画投稿後、1ヶ月経っても報酬が振り込まれない
  • 契約書に記載された金額と、実際の振込額が異なる
  • 源泉徴収票が発行されず、確定申告に困る

対策:

  • 契約書に「動画投稿後30日以内に支払い」と明記
  • 支払い遅延があった場合は、メールで問い合わせる
  • 源泉徴収票は、年末までに必ず受け取る
前払いと後払いのメリット・デメリット
  • 前払い:報酬未払いのリスクがない。ただし、動画の質が低いと次回の依頼がなくなる。
  • 後払い:企業側のリスクが低いため、案件を獲得しやすい。ただし、報酬未払いのリスクがある。

初めての企業との取引では、後払いが一般的です。信頼関係ができてから、前払いに交渉することも可能です。

4. 修正・やり直しの条件

企業から「動画の内容を修正してほしい」と言われた場合の対応を、事前に決めておきましょう。

確認すべきポイント:

  1. 修正回数の上限

    • 無制限は避ける(「修正は2回まで」など)
  2. 修正内容の範囲

    • 軽微な修正(テロップの誤字修正など)は無償対応
    • 大幅な修正(動画の撮り直しなど)は追加報酬
  3. 修正依頼の期限

    • 動画投稿後〇日以内に修正依頼がない場合、完了とみなす

トラブル例:

  • 企業から何度も修正依頼が来て、作業時間が大幅に増えた
  • 動画投稿後、1ヶ月経ってから修正依頼が来た
  • 企業の担当者が変わり、最初からやり直しを求められた

対策:

  • 契約書に「修正は2回まで、それ以上は追加報酬」と明記
  • 「動画投稿後7日以内に修正依頼がない場合、完了とみなす」と記載
  • 動画の企画段階で、企業とすり合わせを行う
事前確認の重要性

動画を投稿する前に、企業に内容を確認してもらうことで、修正のリスクを減らせます。「投稿前に動画をご確認いただけますでしょうか」と企業に提案しましょう。ただし、企業側の確認に時間がかかる場合もあるため、納期に余裕を持つことが重要です。

5. 契約解除条件

どのような場合に契約が解除されるか、また違約金の有無を確認しましょう。

契約解除の理由(企業側):

  • 納期遅延
  • 動画内容が契約と大幅に異なる
  • 配信者の炎上・不祥事

契約解除の理由(配信者側):

  • 企業からの報酬未払い
  • 契約内容の一方的な変更
  • 企業の不祥事

違約金の有無:

  • 配信者の責任で契約解除となった場合、違約金が発生することがある
  • 金額は報酬の〇%、または固定額

対策:

  • 契約書に「双方の合意なく一方的に契約解除できない」と記載
  • 違約金が高額すぎる場合は、交渉して減額する
  • やむを得ない事情(病気、家庭の事情など)の場合の免責条項を設ける

ステマ規制と適切な表示

2023年10月から施行された「ステルスマーケティング規制」により、企業案件であることを明確に表示する義務が生じました。違反すると、罰則の対象となる可能性があるため、必ず対応しましょう。

ステマ規制とは

ステルスマーケティング(ステマ)とは、企業から対価を受け取っているにもかかわらず、それを隠して商品やサービスを宣伝する行為です。

規制の背景:

  • 消費者が「広告」と認識できないため、不公正な取引となる
  • 視聴者の信頼を損なう

対象となる行為:

  • 企業から報酬を受け取って商品を紹介しているのに、その旨を表示しない
  • 商品を無償提供されたのに、その旨を表示しない

罰則:

  • 景品表示法違反として、措置命令の対象となる
  • 企業名の公表
  • 課徴金の対象となる可能性

PR表記の方法

企業案件であることを視聴者に明示するため、以下の方法で表示しましょう。

1. YouTube動画の場合

必須の表示:

  • 動画タイトル:冒頭に【PR】または【広告】を記載
    • 例:「【PR】最新ゲーミングマウスをレビュー!」
  • 動画説明欄:最初の行に明記
    • 例:「※この動画は〇〇株式会社様からの依頼によるプロモーションです」
  • 動画内:冒頭(最初の30秒以内)に口頭で伝える
    • 例:「今日の動画は〇〇社様からの提供です」
  • 画面表示:動画の冒頭にテロップで表示
    • 例:「この動画は〇〇社提供です」

2. Twitch配信の場合

必須の表示:

  • 配信タイトル:【PR】または【提供:〇〇社】を記載
  • 配信画面:常にPR表示を画面内に表示(オーバーレイ)
  • 口頭での告知:配信開始時と途中で定期的に伝える

3. SNS投稿(X、Instagram、TikTok)の場合

必須の表示:

  • 投稿文:冒頭に #PR または #広告 を記載
    • 例:「#PR 最新ゲーミングマウスを使ってみました!」
  • ハッシュタグ:#提供 #〇〇社提供 などを追加
  • Instagram:「タイアップ投稿ラベル」を使用(企業アカウントとタグ付け)
PR表記は「わかりやすく、目立つ場所に」

PR表記は、視聴者がすぐに認識できる場所に配置することが重要です。動画の最後や、説明欄の下部に小さく書くだけでは不十分です。必ず冒頭や目立つ場所に記載しましょう。

ステマ規制の例外

以下の場合は、ステマ規制の対象外です。

例外となるケース:

  • 自腹で購入した商品のレビュー:企業から対価を受け取っていない
  • 純粋なファン活動:企業とは無関係に、好きな商品を紹介
  • アフィリエイトリンクのみ:企業からの直接的な対価がない(ただし、アフィリエイトであることは明記すべき)
アフィリエイトの表記

アフィリエイトリンクを使用する場合も、「このリンクから購入すると、私に紹介料が入ります」と明記することが推奨されます。視聴者との信頼関係を保つためにも、透明性を重視しましょう。

案件実績を作る方法

「企業案件を受けたいけど、実績がない」という方も多いでしょう。ここでは、実績ゼロから案件を獲得する方法を紹介します。

1. 小規模案件から始める

いきなり大手企業の案件を狙うのではなく、小規模な案件から実績を積み重ねましょう。

小規模案件の探し方:

  • マッチングプラットフォーム:小規模案件も多数掲載されている
  • 中小企業への直接営業:地元企業やスタートアップ企業にアプローチ
  • クラウドソーシング:ランサーズ、クラウドワークスなどで案件を探す

メリット:

  • ハードルが低く、初心者でも獲得しやすい
  • 実績として次の案件につながる
  • 企業との仕事の流れを学べる

2. アフィリエイトから始める

固定報酬の案件が難しい場合は、アフィリエイトから始めるのも一つの方法です。

おすすめのアフィリエイトプラットフォーム:

  • Amazonアソシエイト:ゲーミングデバイス、配信機材などを紹介
  • 楽天アフィリエイト:幅広い商品を扱える
  • A8.net:ゲーム、アプリ、サービスなど多数
  • もしもアフィリエイト:初心者向け

メリット:

  • 企業との契約不要で始められる
  • リスクなし
  • 売上実績が次の案件交渉の材料になる

実績の活用例: 「Amazonアフィリエイトで月10万円の売上を達成しました」という実績があれば、企業に対して「私の紹介で商品が売れる」とアピールできます。

3. 自主企画で商品レビューを投稿

企業案件がなくても、自分で商品を購入してレビュー動画を投稿しましょう。

ポイント:

  • 人気商品、話題の商品を選ぶ
  • 詳細で正直なレビューを心がける
  • 企業の公式SNSアカウントをタグ付けする

効果:

  • 企業の目に留まり、案件オファーが来る可能性がある
  • ポートフォリオとして活用できる
  • 視聴者からの信頼を得られる

実例: あるゲーム配信者が、新作ゲーミングマウスを自腹で購入してレビュー動画を投稿したところ、メーカーの公式アカウントがリツイート。その後、正式に案件オファーが来た、というケースがあります。

4. 企業の公式イベントに参加

企業主催のイベントや体験会に参加し、そこで得た情報を配信で紹介しましょう。

参加方法:

  • 企業の公式サイトやSNSでイベント情報をチェック
  • 一般参加枠やメディア枠に応募
  • 配信者として参加したい旨を伝える

メリット:

  • 企業の担当者と直接会える
  • 最新情報をいち早く入手できる
  • 企業とのつながりができる

5. コラボ案件に参加

他の配信者との共同案件に参加することで、実績を作れます。

探し方:

  • 配信者コミュニティで情報交換
  • 事務所所属の配信者とのコラボ
  • マッチングプラットフォームの共同案件

メリット:

  • 単独では難しい案件も、複数人なら獲得しやすい
  • 他の配信者のノウハウを学べる
  • 視聴者層を共有できる

6. 視聴者数を増やす努力

最終的には、視聴者数(フォロワー数)を増やすことが、案件獲得の近道です。

視聴者数を増やすための施策:

  • 配信頻度を上げる:週3回以上を目指す
  • 配信時間を固定する:視聴者が習慣化しやすい
  • SNSで積極的に発信:配信告知、日常の投稿など
  • 視聴者とのコミュニケーション:コメントに反応、視聴者参加型企画
  • 他の配信者とのコラボ:新規視聴者の獲得
  • サムネイルとタイトルの工夫:クリック率を上げる
焦らず、継続することが大切

企業案件は一朝一夕で獲得できるものではありません。まずは、質の高いコンテンツを継続的に配信し、視聴者との信頼関係を築くことが最優先です。フォロワー数が1万人を超えたあたりから、案件のオファーが増えてくる傾向があります。

まとめ

ビジネス成功のイメージ(2025年12月現在)

まとめ

企業案件・スポンサーシップは、配信者にとって重要な収益源です。本記事で紹介した内容を振り返りましょう。

企業案件の種類:

  • 商品紹介・レビュー動画
  • ゲームプレイ配信
  • イベント出演
  • SNS投稿
  • アンバサダー契約
  • アフィリエイト型案件

報酬相場:

  • フォロワー数×1〜3円が基本
  • エンゲージメント率、視聴者層、案件内容、独占条項などで変動
  • マイクロインフルエンサー(1万〜10万):5万〜30万円/動画
  • ミドルインフルエンサー(10万〜50万):30万〜100万円/動画
  • マクロインフルエンサー(50万〜100万):100万〜300万円/動画

案件獲得方法:

  1. 事務所・MCN所属(最も確実)
  2. マッチングプラットフォーム(初心者向け)
  3. 企業への直接営業(難易度高、報酬高)
  4. SNSでのオファー待ち(受動的)

交渉のポイント:

  • 適正価格を把握する(フォロワー数、エンゲージメント率を基に算出)
  • 実績を数値でアピールする
  • 契約内容を細かく確認する
  • Win-Winの関係を目指す

契約時の注意点:

  • 著作権・肖像権の確認
  • 独占条項の範囲と期間
  • 報酬支払い条件
  • 修正・やり直しの条件
  • 契約解除条件

ステマ規制への対応:

  • 2023年10月から施行
  • PR表記は「わかりやすく、目立つ場所に」
  • 動画タイトル、説明欄、動画内で明示

実績を作る方法:

  • 小規模案件から始める
  • アフィリエイトで実績を積む
  • 自主企画で商品レビュー
  • 視聴者数を増やす努力

最も重要なこと: 企業案件は、視聴者との信頼関係があってこそ成立します。報酬目当てで、質の低いコンテンツを量産すると、視聴者が離れていきます。常に「視聴者にとって価値のある情報を提供する」という姿勢を忘れず、誠実に活動することが、長期的な成功につながります。

企業案件は、配信者としてのステップアップに欠かせない要素です。本記事で紹介した知識を活用し、適正な報酬で、視聴者にも企業にも満足してもらえるタイアップを実現しましょう。

最初は小さな案件から始め、実績を積み重ねることで、大手企業からのオファーも増えていきます。焦らず、一歩ずつ前進していきましょう。

配信活動と企業案件を両立させ、配信者としてのキャリアを築いていくことを応援しています!

画像クレジット

本記事で使用している画像の一部は Unsplash より提供されています。

  • Two professionals shaking hands across a table.: Photo by Vitaly Gariev on Unsplash
  • A bunch of money sitting on top of a table: Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash
  • Two businessmen signing a document at a table.: Photo by Vitaly Gariev on Unsplash
  • black and red corded headphones on white table: Photo by Fausto Sandoval on Unsplash
  • woman in white shirt using smartphone: Photo by bruce mars on Unsplash

よくある質問

Q企業案件の報酬相場はどのくらいですか?
A
フォロワー数やエンゲージメント率によって大きく変動しますが、一般的にはフォロワー単価1〜3円が目安です。例えば、フォロワー10万人の配信者であれば、1案件あたり10〜30万円程度が相場となります。ただし、視聴者層のマッチング度合いや案件内容、独占契約か否かによって大きく変動します。
Q企業案件を獲得するにはどうすればいいですか?
A
主な方法は4つあります。①事務所やMCNに所属する、②マッチングプラットフォームに登録する、③企業に直接営業する、④SNSで企業からのDMを待つ、です。最も確実なのは事務所所属ですが、ある程度のフォロワー数(最低でも1万人以上)が必要です。初心者はマッチングプラットフォームから始めるのがおすすめです。
Qフォロワー数が少なくても企業案件はもらえますか?
A
はい、可能です。フォロワー数が1万人未満でも、エンゲージメント率が高い、特定のニッチな分野に特化している、視聴者層が明確であるなどの強みがあれば、企業案件を獲得できる可能性があります。特にマイクロインフルエンサー(1万〜10万フォロワー)は、エンゲージメント率が高いため注目されています。
Q企業案件を受ける際に注意すべきことは?
A
最も重要なのは、2023年10月から施行されたステマ規制への対応です。企業案件であることを明確に表示する必要があります。また、契約書の内容(著作権、独占条項、報酬支払い条件など)を必ず確認し、自分のブランドイメージに合わない案件は断る勇気も必要です。視聴者との信頼関係を損なわないことが最優先です。
Q報酬交渉はどのように進めればいいですか?
A
まず自分の適正価格を把握することが重要です。フォロワー数×1〜3円を基準に、エンゲージメント率や視聴者層の価値を加味して提示しましょう。実績データ(平均再生回数、エンゲージメント率、視聴者属性など)を数値で示すと説得力が増します。また、一方的に高額を要求するのではなく、企業側の予算や目標も理解した上で、Win-Winの関係を築くことを心がけましょう。

この記事を書いた人

TK

モリミー

Webエンジニア / テクニカルライター / マーケター

都内で働くWebエンジニア。テクニカルライターをしています。 映画やゲームが好きです。

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