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【法律解説】引用リツイートは違法?配信者が弁護士から削除要請を受けた事例から考える

【法律解説】引用リツイートは違法?配信者が弁護士から削除要請を受けた事例から考える

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引用リツイートは違法?配信者が弁護士から削除要請を受けた事例から考える

2026年2月5日、配信者の「ポケカメン」さんが以下のような投稿をして話題になりました。

「アソビシステムの弁護士から引用ツイート消せと連絡がきた… 引用しただけで言われるのか…消しました😭」

「引用しただけなのに?」と思った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、引用リツイート(引用ツイート)が法的に問題になるケースとならないケースを、判例を交えて解説します。

この記事でわかること
  • 引用リツイートが違法になる可能性のあるケース
  • 最高裁判例「リツイート事件」の概要
  • 名誉毀損になるリツイートとは
  • 弁護士から削除要請が来た場合の対応

※本記事は一般的な法律解説であり、個別の事案への法的助言ではありません。具体的な問題については弁護士にご相談ください。

引用リツイートとは

まず用語を整理します。

用語意味
リツイート(リポスト)他者の投稿をそのまま拡散する
引用リツイート他者の投稿に自分のコメントを付けて投稿する

今回問題になっているのは「引用リツイート」ですが、法的にはどちらも責任を問われる可能性があります

引用リツイートが違法になりうるケース

1. 名誉毀損

元ツイートが名誉毀損にあたる場合、引用リツイートした人も名誉毀損の責任を負う可能性があります。

大阪地裁 令和元年9月12日判決

他者の名誉毀損ツイートを引用リツイートした被告に対し、裁判所は不法行為責任を認め、損害賠償を命じました。

裁判所は「リツイートは元ツイートの内容に賛同する意思を示して拡散する行為」と判断しています。

つまり、「自分は引用しただけ」という言い訳は通用しない場合があります。

2. 著作権侵害(氏名表示権侵害)

最高裁判所が「リツイート事件」で示した判断は、多くの人に衝撃を与えました。

最高裁 令和2年7月21日判決(リツイート事件)

著作権者に無断でアップロードされた写真を含むツイートをリツイートした場合、リツイートによって写真がトリミング表示され、著作者の氏名が見えなくなったことが氏名表示権の侵害にあたるとされました。

リツイートした人は、元のアップロード行為に関与していなくても、氏名表示権侵害の責任を負うとされたのです。

この判決のポイント:

  • リツイート者は「著作物の公衆への提示」をしたとみなされた
  • Twitterの仕様(トリミング)によって氏名が非表示になった結果責任を負った
  • 著作権(複製権・公衆送信権)の侵害は否定されたが、氏名表示権侵害は肯定された

3. 肖像権・パブリシティ権侵害

芸能人や著名人の写真を含む投稿を引用リツイートすると、肖像権やパブリシティ権の侵害を主張される可能性があります。

特に芸能事務所は、所属タレントの権利保護に敏感です。

引用リツイートが適法なケース

一方で、引用リツイートが正当な行為として認められるケースもあります。

1. 著作権法上の「引用」要件を満たす場合

著作権法32条1項は、一定の要件を満たせば著作物を引用できると定めています。

  • 公表された著作物であること
  • 引用の目的上正当な範囲内であること
  • 出所を明示すること(著作権法48条)
  • 自分の著作物が「主」、引用部分が「従」の関係にあること
  • 引用する必然性があること

2. 名誉毀損の違法性が阻却される場合

名誉毀損であっても、以下の3要件を満たせば違法性が阻却されます。

    例えば、政治家の不正行為を指摘する投稿を引用して批評することは、上記要件を満たせば適法となる可能性があります。

    3. 正当な批評・論評として認められる場合

    報道や批評の文脈で、投稿内容を論評することは表現の自由として保護されます。

    今回の事例への考察

    今回の「アソビシステムの弁護士からの削除要請」について考えてみます。

    ※元ツイートの内容が不明なため、あくまで一般論としての考察です。

    削除要請の法的性質

    弁護士からの削除要請は、法的拘束力のある命令ではありません

    弁護士からの削除要請とは - 裁判所の命令ではない - 従わなければ即座に違法になるわけではない - ただし、無視すると訴訟に発展する可能性がある - 要請の根拠(法的理由)を確認することが重要

    考えられるシナリオ

    シナリオ1: 元ツイートが名誉毀損にあたる場合 → 引用リツイートも名誉毀損の責任を負う可能性があり、削除は賢明

    シナリオ2: 肖像権・パブリシティ権侵害の主張 → タレントの写真や私生活に関する内容であれば、事務所が権利保護のために削除要請することは珍しくない

    シナリオ3: 正当な批評・報道目的の引用 → 公共性・公益性が認められる場合、削除に応じる法的義務はない可能性がある

    削除要請への対応方法

      配信者・クリエイターが気をつけるべきこと

      引用リツイート前のチェックリスト

      1. 元ツイートの内容は事実か? → 虚偽や誇張があると名誉毀損リスク
      2. 誰かの権利を侵害していないか? → 著作権、肖像権、パブリシティ権
      3. 自分のコメントは誹謗中傷になっていないか?
      4. 拡散することで誰かが不利益を被らないか?

      特に注意すべき対象

      • 芸能人・タレント(事務所が権利保護に積極的)
      • 一般人のプライバシー
      • 企業の営業秘密や内部情報
      • 未確認の噂や憶測
      • 裁判中の事案

      まとめ

      まとめ

      引用リツイートと法律のポイント - 「引用しただけ」でも名誉毀損や権利侵害の責任を問われる可能性がある - 最高裁判例では、リツイートによる氏名表示権侵害が認められた - 弁護士からの削除要請に法的拘束力はないが、内容を精査すべき - 公共性・公益性のある正当な批評であれば、適法となる可能性もある - 判断に迷う場合は弁護士への相談を推奨

      SNSでの発信は手軽ですが、法的リスクは現実に存在します。「引用しただけ」「拡散しただけ」という意識では、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

      特に配信者・クリエイターは発信力があるため、リツイート一つでも影響が大きくなります。投稿前に一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。


      参考判例:

      • 最高裁 令和2年7月21日判決(リツイート事件)
      • 大阪地裁 令和元年9月12日判決(リツイート名誉毀損事件)
      • 東京地裁 平成28年9月15日判決

      ※本記事は法律の一般的な解説であり、具体的な事案への法的助言ではありません。個別の問題については必ず弁護士にご相談ください。

      よくある質問

      Q引用リツイートしただけで違法になることはある?
      A
      はい、あり得ます。元ツイートが名誉毀損にあたる場合、引用リツイートした人も名誉毀損の責任を問われる可能性があります(大阪地裁令和元年9月12日判決など)。また、著作権侵害のコンテンツを引用リツイートすると、氏名表示権侵害となる可能性があります(最高裁令和2年7月21日判決)。
      Q弁護士から削除要請が来たら従うべき?
      A
      法的拘束力はありませんが、内容を精査することをお勧めします。明らかに名誉毀損や権利侵害にあたる場合は削除が賢明です。一方、正当な批評や報道目的の引用であれば、必ずしも従う必要はありません。判断に迷う場合は弁護士に相談しましょう。
      Qどんな引用リツイートなら問題ない?
      A
      公共の利害に関する事実で、公益目的があり、内容が真実(または真実と信じる相当の理由がある)場合は、名誉毀損は成立しにくいです。また、著作権法上の「引用」の要件(出所明示、主従関係、必然性など)を満たせば適法です。
      Q芸能事務所からの削除要請は多い?
      A
      芸能人・タレントに関する投稿は名誉毀損や肖像権侵害のリスクが高いため、事務所からの削除要請は珍しくありません。特にネガティブな内容や私生活に関する投稿は要請の対象になりやすいです。

      この記事を書いた人

      TK

      モリミー

      Webエンジニア / テクニカルライター / マーケター

      都内で働くWebエンジニア。テクニカルライターをしています。 映画やゲームが好きです。

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