【会社員でも確定申告が必要】5つのケースと申告しないとどうなるか解説
「会社員は年末調整があるから、確定申告は必要ない」
そう思っている方は多いのではないでしょうか。
確かに、多くの会社員は年末調整で税金の精算が完了します。しかし、確定申告が必要になるケースや、確定申告をした方がお得になるケースがあることをご存知ですか?
この記事では、会社員でも確定申告が必要な5つのケースと、申告しないとどうなるかを解説します。
年末調整と確定申告の違い
まず、年末調整と確定申告の違いを理解しましょう。
年末調整とは
会社が従業員に代わって所得税を精算する手続きです。
毎月の給与から引かれている所得税は「概算」で計算されています。年末調整では、1年間の正確な所得と控除を計算し、過不足を調整します。
確定申告とは
個人が自分で1年間の所得と税額を計算し、税務署に申告する手続きです。
会社員は通常、年末調整で済みますが、年末調整では対応できない所得や控除がある場合は、確定申告が必要になります。
| 項目 | 年末調整 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 誰がやる | 会社 | 本人 |
| 対象期間 | 1月〜12月 | 1月〜12月 |
| 手続き時期 | 11〜12月 | 翌年2月16日〜3月15日 |
| 対応できる控除 | 基本的な控除のみ | すべての控除 |
【義務】確定申告が必要な5つのケース
以下のケースに該当する場合、確定申告は義務です。申告しないとペナルティが発生する可能性があります。
ケース1:副業の所得が年間20万円を超える
会社員でも、副業で得た所得(収入−経費)が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
注意点:
- 「収入」ではなく「所得」で判断(経費を引いた後の金額)
- 20万円以下でも住民税の申告は必要な場合がある
ケース2:給与収入が2,000万円を超える
年間の給与収入が2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。
高収入の会社員や、役員報酬が高額な方が該当します。
ケース3:2ヶ所以上から給与をもらっている
2ヶ所以上の会社から給与をもらっている場合、メインの会社以外の給与について確定申告が必要です。
副業でアルバイトをしている場合や、複数の会社で働いている場合が該当します。
ケース4:同族会社の役員で、会社から不動産賃貸料などを受け取っている
同族会社(親族が経営する会社)の役員が、その会社から不動産の賃貸料や貸付金の利子を受け取っている場合、確定申告が必要です。
ケース5:災害減免法により源泉徴収税額の猶予を受けた
災害で被害を受け、災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた場合、確定申告が必要です。
【任意】確定申告をした方がお得な3つのケース
以下のケースは確定申告の義務はありませんが、申告することで税金が戻ってくる可能性があります。
ケース1:医療費が年間10万円を超えた
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、医療費控除を受けることで税金が還付されます。
年末調整では医療費控除を申告できないため、確定申告が必要です。
ケース2:ふるさと納税で6自治体以上に寄附した
ふるさと納税には「ワンストップ特例制度」がありますが、6自治体以上に寄附した場合は利用できません。
確定申告で寄附金控除を申請する必要があります。
また、ワンストップ特例の申請を忘れた場合も、確定申告で控除を受けられます。
ケース3:住宅ローン控除の1年目
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、1年目は確定申告が必要です。
2年目以降は年末調整で控除を受けられますが、1年目だけは確定申告しなければなりません。
- 年末のローン残高の0.7%が税額控除(最大13年間)
- 所得税から控除しきれない分は住民税からも控除
その他、確定申告で還付が受けられるケース
義務ではありませんが、以下のケースでも確定申告で税金が戻ってくる可能性があります。
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
- 株式投資で損失が出た(損益通算や繰越控除)
- 災害や盗難で損害を受けた(雑損控除)
- 特定の寄附をした(寄附金控除)
- 配当所得がある(配当控除)
確定申告しないとどうなる?
義務なのに申告しなかった場合
確定申告が義務なのに申告しなかった場合、以下のペナルティが発生する可能性があります。
| ペナルティ | 内容 |
|---|---|
| 無申告加算税 | 本来の税額の15〜20%(自主的に申告すれば5%に軽減) |
| 延滞税 | 納付が遅れた日数に応じて発生(年率約7〜14%) |
| 重加算税 | 悪質な場合は35〜40% |
- ペナルティとして追加の税金を支払うことになる
- 税務調査の対象になる可能性がある
- 将来のローン審査などに影響する場合も
還付申告しなかった場合
医療費控除などで税金が戻ってくるケースなのに確定申告しなかった場合、ペナルティはありませんが、税金を取り戻す機会を失います。
還付申告は5年以内なら遡って申告できるので、過去に申告し忘れた分があれば今からでも申告可能です。
確定申告の基本的な流れ
確定申告が必要になった場合の流れを簡単に紹介します。
ステップ1:必要書類を準備する
- 源泉徴収票(会社からもらう)
- 副業収入がある場合は支払調書や収支記録
- 控除を受けるための証明書(医療費の領収書、寄附金受領証明書など)
- マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
ステップ2:確定申告書を作成する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の指示に従って入力するだけで申告書が完成します。
ステップ3:申告書を提出する
- e-Tax:マイナンバーカードがあればオンラインで提出
- 郵送:税務署宛てに郵送
- 持参:税務署の窓口に提出
ステップ4:税金を納付または還付を受ける
- 追加で税金を納める場合 → 3月15日までに納付
- 還付を受ける場合 → 1〜2ヶ月後に指定口座に振り込まれる
よくある質問
まとめ
まとめ
会社員でも確定申告が必要なケース 1. 副業の所得が年間20万円を超える 2. 給与収入が2,000万円を超える 3. 2ヶ所以上から給与をもらっている 4. 同族会社から不動産賃貸料などを受け取っている 5. 災害減免法の適用を受けた確定申告した方がお得なケース
- 医療費が年間10万円を超えた
- ふるさと納税で6自治体以上に寄附した
- 住宅ローン控除の1年目
確定申告は面倒に感じるかもしれませんが、正しく申告することで税金を取り戻せる場合もあります。
自分が該当するケースがないか、この記事を参考に確認してみてください。
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