【2026年税制改正】基礎控除引き上げで配信者の節税額はいくら変わる?|インボイス・e-Tax対応も
「2026年の税制改正って配信者に関係あるの?」
「基礎控除が上がるって聞いたけど、いくら節税できる?」
「インボイスの2割特例っていつまで?」
2026年(令和7年度)の税制改正は、配信者・YouTuber・VTuberにとって重要な変更が含まれています。特に基礎控除の引き上げ議論とインボイス制度の経過措置の変更は、直接的に手取り額に影響します。
この記事では、各税制改正項目が配信者にどう影響するかを具体的な試算を交えて解説します。
2026年税制改正の全体像
令和7年度(2026年度)税制改正大綱に基づき、配信者に影響のある主な改正項目を整理します。
| 基礎控除 | 引き上げの議論が進行中(現行48万円) |
|---|---|
| インボイス経過措置 | 2026年10月〜80%→50%に縮小 |
| 2割特例 | 2026年9月30日含む課税期間まで(個人は2026年12月まで) |
| 青色申告65万円控除 | e-Tax or 電子帳簿保存が条件(変更なし) |
| フリーランス保護 | 契約・支払いルールの強化 |
1. 基礎控除の引き上げ議論
現行制度
現行の基礎控除は合計所得2,400万円以下の場合、48万円です。
| 合計所得2,400万円以下 | 48万円 |
|---|---|
| 合計所得2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 |
| 合計所得2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 |
| 合計所得2,500万円超 | 0円 |
引き上げが実現した場合の影響
基礎控除が引き上げられた場合、配信者の手取りは以下のように変わります(試算)。
試算の前提:
- 専業配信者(個人事業主)
- 青色申告特別控除65万円を適用
- 社会保険料控除は考慮済み
仮に基礎控除が48万円から58万円に10万円引き上げられた場合:
| 年間所得 | 所得税率 | 節税額(所得税) | 住民税節税 | 合計節税額 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 5% | 5,000円 | 10,000円 | 約15,000円 |
| 400万円 | 20% | 20,000円 | 10,000円 | 約30,000円 |
| 600万円 | 20% | 20,000円 | 10,000円 | 約30,000円 |
| 900万円 | 23% | 23,000円 | 10,000円 | 約33,000円 |
- 全ての配信者が恩恵を受ける(所得2,400万円以下)
- 確定申告の特別な手続き不要で自動適用
- 所得税だけでなく住民税も軽減される
- 扶養控除の基準額にも影響する可能性
所得税率の区分と節税インパクト
基礎控除の引き上げ効果を正しく理解するために、日本の所得税率の累進課税構造を押さえておきましょう。
| 195万円以下 | 5%(控除額 0円) |
|---|---|
| 195万円超〜330万円以下 | 10%(控除額 97,500円) |
| 330万円超〜695万円以下 | 20%(控除額 427,500円) |
| 695万円超〜900万円以下 | 23%(控除額 636,000円) |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33%(控除額 1,536,000円) |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40%(控除額 2,796,000円) |
| 4,000万円超 | 45%(控除額 4,796,000円) |
給与所得控除との関連
会社員として働きながら副業で配信している場合、給与所得控除の見直しも議論されています。給与所得控除の最低額(現行55万円)が引き上げられれば、副業配信者にとっても恩恵があります。
103万円の壁との関係:
「年収103万円の壁」(基礎控除48万円 + 給与所得控除55万円 = 103万円)が引き上げ議論の焦点の一つです。配信者で扶養に入っている方にとっては、この壁が上がることで配信収入をより多く得られる可能性があります。
2. インボイス制度の経過措置変更
2026年10月が転換点
インボイス制度の経過措置が2026年10月に変更されます。
| 2023年10月〜2026年9月 | 免税事業者からの仕入れの80%を控除可能 |
|---|---|
| 2026年10月〜2029年9月 | 免税事業者からの仕入れの50%を控除可能 |
| 2029年10月〜 | 経過措置終了(控除不可) |
配信者への具体的な影響
影響を受ける配信者:
-
企業案件(スポンサー)を受けている配信者
- 取引先企業がインボイスを求める可能性が高まる
- 2026年10月以降、免税事業者からの仕入れ控除が80%→50%に低下
- 企業側の税負担が増えるため、報酬の減額交渉が起きる可能性
-
免税事業者の配信者
- 課税売上1,000万円以下で免税事業者のままの場合
- 企業案件の受注に影響する可能性
- 2026年9月までにインボイス登録するかの判断が必要
-
インボイス登録済みの配信者
- 2割特例の期限に注意(後述)
- 消費税の申告・納付が必要
インボイス登録の判断フローチャート
3. 2割特例の適用期限
2割特例とは
インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった方が利用できる負担軽減措置です。
計算方法: 納付税額 = 売上にかかる消費税 × 20%
通常の消費税計算よりも大幅に納付額が少なくなります。
具体的な試算
| 年間売上(税込) | 売上消費税 | 2割特例での納付額 | 本則課税の場合(経費少) |
|---|---|---|---|
| 330万円 | 30万円 | 6万円 | 15〜25万円 |
| 550万円 | 50万円 | 10万円 | 25〜40万円 |
| 1,100万円 | 100万円 | 20万円 | 50〜80万円 |
期限に注意
- 個人事業主の場合、2026年分(2026年1月〜12月)が最終適用
- 2027年分からは本則課税または簡易課税を選択する必要がある
- 簡易課税の届出は、適用を受けたい年の前年末(2026年12月末)までに提出が必要
- 届出を忘れると本則課税が適用され、税負担が大幅に増える可能性
4. e-Tax推進の強化
青色申告65万円控除の条件
2020年以降、青色申告特別控除65万円の適用条件として以下のいずれかが必要です:
- e-Tax(電子申告)での確定申告書提出
- 電子帳簿保存法に対応した帳簿の作成
紙で提出した場合は控除額が55万円に減額されます。
| e-Tax + 複式簿記 | 65万円(最大) |
|---|---|
| 紙提出 + 複式簿記 | 55万円 |
| 簡易簿記 | 10万円 |
10万円の差の影響:
| 所得税率 | 控除額の差(10万円) | 節税額の差 |
|---|---|---|
| 5% | 10万円 | 5,000円 |
| 10% | 10万円 | 10,000円 |
| 20% | 10万円 | 20,000円 |
| 23% | 10万円 | 23,000円 |
所得が高い配信者ほどe-Taxの恩恵が大きくなります。
e-Taxの準備
e-Taxを利用するために必要なもの:
配信者の収入パターン別・インボイス影響シミュレーション
配信者の収入構成は人によって大きく異なります。収入パターン別に、インボイス制度の影響を具体的にシミュレーションします。
パターンA:投げ銭・サブスク中心の配信者
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間収入 | 500万円 |
| うちスパチャ・サブスク | 400万円(80%) |
| うち企業案件 | 50万円(10%) |
| うちアフィリエイト | 50万円(10%) |
| インボイスの影響 | 小さい(企業案件が少ないため) |
パターンB:企業案件中心の配信者
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間収入 | 800万円 |
| うち企業案件 | 500万円(62.5%) |
| うちスパチャ・サブスク | 200万円(25%) |
| うちグッズ販売 | 100万円(12.5%) |
| インボイスの影響 | 大きい(企業がインボイスを要求する可能性高い) |
- 取引先企業の税負担が増加するため、報酬が減額される可能性
- 2026年10月以降、経過措置が80%→50%に縮小し影響拡大
- 新規の企業案件でインボイス登録が条件になるケースも
- 他の登録済み配信者に案件を取られるリスク
パターンC:副業配信者(会社員)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与所得 | 400万円 |
| 配信副業所得 | 100万円 |
| うちスパチャ | 60万円 |
| うちアフィリエイト | 40万円 |
| インボイスの影響 | ほぼなし(課税売上1,000万円以下、企業案件なし) |
5. フリーランス保護法の強化
配信者に関連する内容
フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス保護法)により、配信者が企業案件を受ける際の保護が強化されています。
- 書面(契約書)による取引条件の明示義務
- 報酬の60日以内の支払い義務
- 一方的な報酬減額の禁止
- ハラスメント対策
- 妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いの禁止
配信者が注意すべき点:
- 企業案件を受ける際は書面での契約を求める
- 報酬額、支払い期日、業務内容を明確にする
- 一方的な条件変更があった場合は相談窓口に連絡
- フリーランス・トラブル110番(0120-532-110)を活用
配信者の所得別・節税シミュレーション
年間所得200万円の配信者(副業)
| 青色申告特別控除 | 65万円の節税効果 |
|---|---|
| 基礎控除 | 48万円(引き上げ分は別途) |
| 社会保険料控除 | 会社の給与から天引き |
| 小規模企業共済 | 加入していれば全額控除 |
| 推定所得税 | 約4〜7万円(各種控除後) |
年間所得400万円の配信者(専業)
| 青色申告特別控除 | 65万円 → 約13万円の節税 |
|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 |
| 国民健康保険 | 約30〜40万円(社会保険料控除) |
| 国民年金 | 約20万円(社会保険料控除) |
| 小規模企業共済(月3万円) | 36万円の控除 → 約7.2万円の節税 |
| iDeCo(月6.8万円) | 81.6万円の控除 → 約16.3万円の節税 |
| 推定所得税 | 約15〜25万円(各種控除後) |
年間所得800万円の配信者(専業・トップ層)
| 青色申告特別控除 | 65万円 → 約15万円の節税 |
|---|---|
| 小規模企業共済(月7万円) | 84万円の控除 → 約19.3万円の節税 |
| iDeCo(月6.8万円) | 81.6万円の控除 → 約18.8万円の節税 |
| ふるさと納税 | 上限約14万円(実質2,000円の自己負担) |
| 推定所得税 | 約50〜70万円(各種控除後) |
配信者が使える主な控除・節税制度一覧
2026年に配信者が活用できる控除や節税制度を一覧でまとめます。
| 青色申告特別控除 | 最大65万円(e-Tax+複式簿記が条件) |
|---|---|
| 基礎控除 | 48万円(引き上げ議論中) |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険+国民年金の全額 |
| 小規模企業共済 | 月額1,000〜70,000円(全額所得控除) |
| iDeCo | 月額最大68,000円(個人事業主の場合、全額所得控除) |
| ふるさと納税 | 実質2,000円の自己負担で返礼品(住民税・所得税控除) |
| 経費計上 | PC・周辺機器・ゲームソフト・通信費など |
| 家事按分 | 自宅の家賃・光熱費の配信利用割合分 |
配信者の経費として認められるもの
| 経費項目 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 配信機材 | PC、マイク、カメラ、照明、キャプチャーボード | 10万円以上は減価償却(青色申告なら30万円未満一括OK) |
| ゲームソフト | 配信でプレイするゲーム | 私的利用との按分に注意 |
| 通信費 | インターネット回線 | 私的利用割合を按分 |
| 家賃 | 配信スペースの面積割合 | 配信専用スペースの割合で按分 |
| 光熱費 | 電気代(PC・エアコン) | 配信時間の割合で按分 |
| サブスク | OBS関連プラグイン、BGM素材、Adobe等 | 配信目的であれば全額経費 |
| 衣装・美容 | VTuberモデル制作費、衣装 | 配信専用であれば経費 |
| 外注費 | 動画編集、サムネイル制作 | 支払調書の作成が必要な場合あり |
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まとめ
まとめ
2026年税制改正の配信者への影響まとめ- 基礎控除引き上げ: 議論進行中。実現すれば全配信者の手取りが増加
- インボイス経過措置: 2026年10月〜控除率が80%→50%に縮小。企業案件多い配信者は要注意
- 2割特例の期限: 個人は2026年12月まで。2027年以降の課税方式を決めておく
- e-Tax: 青色申告65万円控除のためにe-Tax利用を推奨
- フリーランス保護法: 企業案件の契約書・支払い条件の保護が強化
- 今すぐやるべきこと: 確定申告の準備、インボイス登録の判断、2027年の課税方式決定
税制は毎年変わりますが、基本的な対策(青色申告、e-Tax、控除の活用)は変わりません。まずは今年の確定申告を確実に済ませ、将来の税制変更にも対応できる体制を作りましょう。
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- 税制改正のイメージ: Photo by Olga DeLawrence on Unsplash
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