宅建免許と宅建士の違いをわかりやすく解説|不動産業界の基礎知識

宅建免許と宅建士の違いをわかりやすく解説|不動産業界の基礎知識

不動産業界でよく耳にする「宅建免許」と「宅建士」。似たような言葉ですが、実は全く違うものです。この記事では、両者の違いをわかりやすく解説します。

宅建免許と宅建士の基本的な違い

まず、最も重要な違いを簡潔にまとめます。

基本的な違い

  • 宅建士(宅地建物取引士)​ = 人に対する資格
  • 宅建免許(宅地建物取引業免許)​ = 会社・事業者に対する許可

つまり、宅建士は「個人が取得する国家資格」であり、宅建免許は「不動産業を営むための営業許可」なのです。

宅建士(宅地建物取引士)とは

宅建士の定義

宅建士は、不動産取引の専門家として国が認めた国家資格保有者です。正式名称は「宅地建物取引士」で、2015年4月から現在の名称になりました(それ以前は「宅地建物取引主任者」)。

宅建士の役割

宅建士には、不動産取引において独占業務があります。

宅建士の3つの独占業務

宅建士の独占業務

  1. 重要事項説明 - 契約前に物件や取引条件の重要な内容を説明
  2. 重要事項説明書への記名・押印 - 説明書の内容に責任を持つ
  3. 契約書(37条書面)への記名・押印 - 契約内容の確認と責任

これらの業務は、宅建士の資格を持つ人だけが行える重要な仕事です。

宅建士になるまでの流れ

  1. 宅建試験に合格 (毎年10月実施)
  2. 実務経験2年以上 または 登録実務講習を修了
  3. 都道府県知事に登録申請
  4. 宅建士証の交付を受ける

宅建免許(宅地建物取引業免許)とは

宅建免許の定義

宅建免許は、不動産業(宅地建物取引業)を営むために必要な営業許可です。この免許がなければ、不動産の売買や仲介などの業務を行うことはできません。

宅建免許の種類

宅建免許の種類

免許の種類 営業所の設置 免許権者
都道府県知事免許 1つの都道府県内のみ 都道府県知事
国土交通大臣免許 2つ以上の都道府県 国土交通大臣

宅建免許の取得要件

宅建免許を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

主な取得要件

  1. 事務所の設置 - 独立した事務所スペース
  2. 専任の宅建士の設置 - 従業員5人に1人以上
  3. 営業保証金の供託 または 保証協会への加入
  4. 欠格事由に該当しない - 犯罪歴など

宅建免許と宅建士の関係性

両者は密接な関係にありますが、それぞれ独立した制度です。

宅建免許と宅建士の関係性

関係性のポイント

  1. 宅建士がいないと宅建免許は取得できない

    • 最低1名の専任宅建士が必要
    • 従業員5人につき1人以上の宅建士が必要
  2. 宅建士の資格だけでは不動産業はできない

    • 個人で不動産業を始めるには宅建免許が必要
    • 宅建士は従業員として働くことは可能
  3. 両方必要なケース

    • 独立して不動産会社を設立する場合
    • 個人事業主として不動産業を営む場合

よくある誤解と正しい理解

よくある誤解

❌ 誤解
:宅建士の資格を取れば、すぐに不動産屋を開業できる
✅ 正解
:開業には別途、宅建免許の取得が必要

❌ 誤解
:宅建免許があれば、誰でも重要事項説明ができる
✅ 正解
:重要事項説明は宅建士しかできない

❌ 誤解
:宅建免許は一度取れば永久に有効
✅ 正解
:5年ごとの更新が必要

実際の活用シーン

不動産会社に就職する場合

  • 必要なもの:宅建士の資格
  • 不要なもの:宅建免許(会社が持っている)

独立開業する場合

  • 必要なもの:宅建士の資格 + 宅建免許
  • その他:資金、事務所、保証金など

投資用不動産を個人で売買する場合

  • 不要なもの:宅建士資格、宅建免許(反復継続しない場合)
  • 注意:業として行う場合は免許が必要

まとめ:それぞれの役割を理解しよう

宅建免許と宅建士の違いまとめ

▶ 宅建士(宅地建物取引士)​
= 人に対する資格

  • 個人が取得する国家資格
  • 重要事項説明などの独占業務がある
  • 不動産業界で働くための専門資格

▶ 宅建免許(宅地建物取引業免許)​
= 会社・事業者に対する許可

  • 会社・事業者が取得する営業許可
  • 不動産業を営むために必須
  • 5年ごとの更新が必要

宅建士は「不動産取引の専門家としての資格」、宅建免許は「不動産業を営むための許可」という明確な違いがあります。

不動産業界でキャリアを積みたい方は宅建士資格を、独立開業を目指す方は両方の取得を検討することが大切です。それぞれの役割と違いを正しく理解して、自分の目標に合った選択をしましょう。

よくある質問

Q宅建士の資格があれば不動産業を始められますか?
A
いいえ、宅建士の資格だけでは不動産業を営むことはできません。不動産業を始めるには、宅建業免許を取得する必要があります。宅建士は免許取得の要件の一つです。
Q宅建業免許の有効期限はありますか?
A
はい、宅建業免許の有効期限は5年間です。継続して営業する場合は、期限満了前に更新手続きが必要です。
Q個人でも宅建業免許は取得できますか?
A
はい、個人事業主でも宅建業免許を取得できます。ただし、専任の宅建士の設置など、法人と同様の要件を満たす必要があります。
Q宅建士証の有効期限はありますか?
A
はい、宅建士証の有効期限は5年間です。更新するには法定講習を受講する必要があります。

この記事を書いた人

TK

田中 健太

Webエンジニア / テクニカルライター

10年以上のWeb開発経験を持つフルスタックエンジニア。最新の技術トレンドや実践的な開発ノウハウを分かりやすく解説することを心がけています。

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